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SUVに負けぬセダン トヨタ・カムリ劇的変身しかけ人

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NIKKEI STYLE

ハイブリッドシステムからボディー骨格まで劇的大変身! いきなり1万1500台も受注した10代目トヨタ「カムリ」。しかしそもそもは30年前に日本語の「冠」から名付けられたベタなFFセダン。今回スタートダッシュでこそ成功したが、売れない日本でなぜトヨタは頑張り続けるのか。ここまで大胆戦略が取れるのか。ネアカなトヨタの勝又正人チーフエンジニアを小沢コージが直撃した。

今の子はそもそもセダンを知らない

小沢コージ(以下、小沢) いきなり厳しい質問からいきますと、今って単純に日本でセダンが売れない時代じゃないですか。ミニバンとハイブリッドばかりで普通のFFセダンは全然ダメ。カムリは米国で15年連続ベストセラーを記録したわけですが、日本とは事情が違う。とはいえトヨタが「セダン復権」などと、日本で頑張る理由は何なのでしょう?

勝又正人チーフエンジニア(以下、勝又) そもそも僕は社内で「ミディアムサイズのセダン群を見ろ」と言われていますので。北米の技術担当もやっていて、月1回は米国と往復。そういう意味では「日本はやっぱりミニバンのほうがいいでしょう」などという立ち位置にいないんですね。

小沢 そういう視点で日本のマーケットを見てはいないと。あくまでも世界全体のトヨタのミディアムセダンを見ているんですね。

勝又 それからセダンが特別厳しいとも思っていません。これは地域によっても違うんですが、日本でも例えば僕の息子、娘世代の30歳前半ぐらいでいうと、クルマに限らずモノはカッコよければ買います。極端に言うとiPhoneだろうがアンドロイドだろうがカッコよくて性能がよければどちらでもいい。

小沢 分かります。こちらがビックリするほど思い込みがないですよね。それからカムリは日本ではすでにハイブリッド専用車になっています。セダンってことを気にしなければ、売れる要素はそろっている。

勝又 後は僕らも社内でビックリするんですが「セダンってなんだと思う?」と聞くと「プリウスですよね?」とか「まあ、プリウスみたいな」という返事が返ってくる。

小沢 ええ? トヨタ社員なのにプリウスをセダンだと思ってる? ハッチバックなのに。

勝又 もちろん王道のハッチバックとは言い難いんですが、少なくともセダンじゃない。ともかくその程度の認識なんです。40代に入ると子ども時代にオヤジさんがセダンに乗っていてある程度は分かっているんですが、そこから先はミニバンが当たり前になって知識が停止している。ディーラーの若いメカニックですら「セダンって後席広いんですよね」とわけの分からないコメントが返ってきたり。小学生の子にクルマの絵を描かせるとみんなミニバンになるという。

小沢 トヨタの若い社員がセダンを知らない。それはそれで別の意味で衝撃的だ(笑)。

セダンのトランクは金庫代わり

勝又 それから今回の新型カムリのキャッチコピーとして「セダンの復権」と言いましたが、正確には「セダンの再認識」であり、新たな創造なんです。何よりセダンをカテゴリーとして見ると全然終わってない。終わってないどころかアドバンテージすらある。物理現象として見ると、重心の高いミニバンやSUVより走れば楽しいのは決まっていて、誰だってレーシングカーとしてSUVは使わないわけですから。その点、セダンは重心が低く、路面に吸いつくように楽しく走れます。

小沢 セダンが有利なのが自明の理であると。確かにその通りです。

勝又 しかも客室と荷室がしっかり分かれていて安全ですし、盗難防止にもなる。日本は能天気で安全な国なので本来の魅力を理解してない人がほとんどですが、米国でもASEANでもインドでも、世界の人は皆、セダンのメリットを理解しています。これまた日本の若い人は「なぜ室内からシートバックが倒せないんですか。不便じゃないですか」と言ってくる。実際、「マークX」は室内からシートが倒せてトランクスルーできちゃいますから。

小沢 まさに平和ボケニッポン! 世界じゃ「セダンのトランクが金庫代わり」になるのを、わかってないんですね。ある意味幸せなことですが。

勝又 以来、僕は「セダンだから」って答えることにしたんです。もうちょっと自分で知ろうよって。

小沢 そう考えると僕も日本に居すぎた部分があるのかもしれません。日本にいるとセダンのネガティブさというか、古臭さばかりが目に付きますから。音楽でいう四畳半フォークソングみたいなイメージすらあります(笑)。でも世界的に見るとセダンは普通に終わっていないし、たまたま日本でだけ売れてないようにも見えると。

勝又 何よりこれは日系メーカー全体の罪だと思ってますが、われわれも含めていいセダンを出してこなかったと。逆にドイツ系は売れてるわけですから。

デザインには反対意見もあったけれど

小沢 ところで勝又さんは、基本的にやたらネアカでポジティブですよね。セダンを自信満々で作っているのもそうだし、発表会でテリー伊藤さんにガンガン突っ込んでるのを見て感心しました。これだけしゃべれるエンジニアって見たことがない。

勝又 能天気だと思いました?(笑) でも普通にフラットに見るとセダンをネガティブに思ってる人もいないし、ジャンル分けすること自体が間違ってたんじゃないかと。

小沢 とはいえ日本じゃ実際そんなに売れていないですよね。平均で月平均1000台ぐらい?

勝又 500台ぐらいです。弊社で言うと「マークX」「サイ」「カムリ」、他の日本のFFセダンを含めて「500台クラブ」と僕は言っていて(笑)。

小沢 そういう意味ではつらくないですか。

勝又 そこでカムリが総取りできるとすごいし、僕らはセダンユーザーがSUVに流れているなどと分析しますが、そもそもセダンを知らない人にそれを言っても意味がないんで。作る側からすると、ミニバンとセダンは作り方が違うから大事かもしれないけれど。

小沢 しかし今回はなんでここまで大胆チェンジが可能になったんですか。特にデザイン。なかでもフロントマスクに関してはビックリしました。ほとんど歯ぐきがニカっと出た笑顔(笑)。

勝又 正直、リスキーだという反対意見もありました。例えばセクシーな全体シルエットは、そもそもデザイナーのノートの落書きなんですよ。それが本当のきっかけとなって「これで行け」「行け行け」と。

小沢 そんなにカムリ、もしかして不調だったんですか?

勝又 台数は一時北米で40万台を超えていたのが、36万台とか37万台に落ちてましたし、販売も収益も大黒柱なので、このまま本当に何でもかんでもSUVに流れたらとは思っていました。

小沢 やはりSUVに負けないセダンを作るという意識はあったんですね。

勝又 タイミングも良かったんです。変えなきゃいけないと思ってたうえに、今回はいわゆるTNGA(Toyota New Global Architecture)という新型プラットホームのモメンタムがあって、うまい具合に波に乗れて。

小沢 一見目立たないけどハイブリッドもほとんど新作ですよね。2.5リッターエンジンの熱効率40%もジミにすごいと思いましたけど。

勝又 いろんな技術の集合体ですが、分かりやすい目玉技術では混合気を燃焼室にまっすぐに入れてます。生産技術も含めてゼロからやらせてもらったからできた結果で、インテークがまったく折れてないので空気の流れがそのまま入るんです。

小沢 ハイブリッドもギアボックスからバッテリーまで全然昔とは違いますよね? 名前はTHS IIで2代目のままですが。

勝又 中身に詳しい人から見ると、システムは第4世代。基本的な考え方は新型プリウスと同じですが、容量的にも制御的にも新しくなっています。

小沢 実燃費、マジで20km/Lを超えますからね。1.6トン弱もある大きなセダンなのに。ボディー骨格もTNGA-Kでこれまた新しいし、この総取っ替えぶりはすごい。それを日本ではジミなセダンにいろいろ詰め込んだところに違和感を覚えるくらいで。

勝又 しかし、グローバルでは大黒柱。これからこれをベースにいろいろ作っていきますから注目していてください!

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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