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ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO

ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO

規模の拡大に伴い、フラットで情報が伝わりやすく、風通しのよかったチームは「縦割りの組織」に――。「フラットな組織・企業風土」と「効率のよいマネジメント」はトレードオフの関係にもなりやすい。ワークスアプリケーションズの牧野正幸最高経営責任者(CEO)は、イノベーションが起きる環境を重視し、創業時から「役職」の数をあえて抑え、スペシャリストが働きやすい環境をつくってきたという。

「フラットな組織」を守ってきた

私は創業のときから、役職づくりを抑えてきました。増えた社員を処遇するために役職をつくるような「役職のインフレーション」ほど、カッコ悪いことはないからです。ベンチャー企業のなかには「この人が本当に本部長なのか?」と疑いたくなるような、役職とスキルが釣り合っていない人がいる場合があります。大企業と付き合うのに、もっともらしい肩書が必要だと思うのでしょうが、それは違うと思います。今でも当社の「部長」の名刺を持つ人は、部下を100人以上率いているケースがほとんどです。

創業から約10年間は、当社は本当にフラットな組織でした。私と石川(芳郎・最高技術責任者=CTO)、阿部(孝司・最高執行責任者=COO)の3人と社員という構造です。組織を動かすために、特に優秀な社員を約10人に1人の割合で50人ほど選び、週に1度、報告、連絡、意思決定をする会議をしていました。この50人ほどが「階層」といえるかもしれませんが、手当も特権も部下を査定する権限もありませんでした。ただ、私たちが日常的に話す相手というだけだったのです。そのころは、何か問題が起きたら3人が直接社員のところにいって解決するというのも普通でした。

しかし、社員が500人を超えたころから「これではもう回らない」と思うようになりました。そこで会議のメンバーだった50人からマネジメントに向いている人を選び、この会議の上に1つ、部長という役職の階層を置いたのです。この時点で情報が伝わりにくいとか、組織が硬直化するといったような弊害はありませんでした。日常の業務は部長に任せましたが、トラブルが起きれば、私たち3人が直接指示を出せる環境だったからです。

ところが、社員が2000人に増え、さらにひとつ階層を増やしたとき、問題が起き始めました。

「管理が苦手」でもマネジャーに

最大の理由は、人の資質です。マネジメント能力の有無ではなく、個人としてパフォーマンスが高い人を評価し昇格させてきました。その結果、マネジメントに向いていないのにマネジャーになる人が出てきたのです。会社としても、フラットな雰囲気を大切にしてきたので「管理しないのであれば、しなくてもいい」というスタンスでした。「優秀な先輩として、働く背中を見せて引っ張るスタイルでいいよ」ということだったのです。

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