世界の激辛料理 韓国、四川に加えメキシコ、ドイツも
辛いもん(4)
辛いモン。今回は赤や黄色や緑の殺意の被害者の声を集めた。見よ、この悲惨なる現実を。反乱軍の逆襲である。
私が食べる前に、同じテーブルにいた日本人が食べてくれました。一口大のものを一気に。何せ大騒ぎするのも憚られる席だったので、その方は静かに顔だけを悲痛な表情で歪めていました。
その様子に気がついた周りの米国人は、ほほー君はベルペッパーを食べちゃったんだね、と言ってニヤニヤ笑っていました。見ると周囲の米国人はそのピーマンもどきには全く手をつけないか、せいぜい端っこを少しかじる程度だったんですね。私はその日本人のお陰で難を逃れましたが、その方がいなかったら、絶対ピーマンと間違えてガリガリとかじっていましたね(ちどりのおっとさん)
このベルペッパーは緑の地雷であった。戦友負傷!
舌休めではなかったという話。
初めて入って麻婆豆腐を注文した時に生足チャイナドレスのウエイトレスさんがささやいた不思議な言葉。「どのくらい辛くしますかー?」「一番ノーマルな奴で…」。出てきた麻婆豆腐は子供もいる一般の家庭で供されるような普通の麻婆豆腐、私と友人は思いました。「コレなら辛いくらいがちょうど良くね?」
2回目は「中ぐらいで…」。 食した友人と私、「辛いけど美味い、まだいける」。
3回目。今度は強気、「めっちゃ辛くしてください!!」。 出てきた麻婆豆腐には青く細く節くれだったサヤインゲンが山盛り。それを見た友人と私、「さすがに一番辛いと舌休めがのってるのかー…」。ヒィヒィ言いつつ老酒を飲みながら、しびれるような麻婆豆腐を食べる私と友人。ついに限界がきて、横にのけておいたサヤインゲンを口中に放り込む。
サヤインゲンと思ったのは青唐辛子でした。それから2度とその店で麻婆と名が付くものは注文していません(わのひとさん)
自損事故により口腔内大破。被害甚大。
これがとてつもなく辛くて小生はこの炒め物に添えてあるゆでそうめんにナクチポックンのソースを少し浸してすするしかありませんでした。激辛味が多い韓国料理でも最高に辛い料理と韓国人の友人から聞きました(ジジコのパパさん)
急速旋回によりミサイル回避。えがったー。
デスク残念 「韓国料理でも最高に辛い料理」だなんて話のネタにもなるのに…。なんで食べなかったんでしょう。
お試ししないよう勧告する。
衛生兵! 衛生兵!!
大きな緑色のチリのフリッターをはさんだサンドイッチはシンプルに激辛でなかなかうまいです。でも大きなピーマンかと思って油断していたので衝撃でした。日本でもなじみが出てきたアボカドのワカモレソースもメキシコでは激辛です。緑色のサルサが保護色になっているので、そんなに辛いと思わずたっぷりタコスにかけたら火を噴きました。
周りのメキシコ人は辛さを感じないのかといえば、やっぱり泣きながら食べていて、食文化の違いだなぁと感激しました。しかしチリ以外の辛味はダメなようで、寿司屋はよほど本格的なところでない限りサビ抜き。インドカレーの店は見当たりません。理由を聞いたら「だって辛いんだもん」って、アンタ…。あくまでもチリ・サル(塩)・リモン(ライム)の黄金トリオ一本やりでした(小島さん)
敵は強力なるも弱点はワサビと判明。集中的に攻撃せよ。
デスクよだれ メキシコ行きてぇ!
うわー。暗黒面のメキシコ軍がどんどんやってくる!
写真の真ん中下の小さくてカラフルなのが最も辛いといわれているハバネロ(Habanero)です。左がハラペーニョ(Jalapeno)で右がポブラーノ(Poblano)です。この順番に辛いです。試食するためにハバネロを切った手で顔を触ってしまい、ひげ剃りあとが半日ひりひりしました。
もちろん試食した口の中は言うまでも無く超刺激的でした。もう二度と買うことはないでしょう(メキシコの元大分県人 鶴さん)
ひるむな、ひるむな、反撃せよ。C-3PO、逃げるんじゃない。ハン・ソロ、ファルコン号にウーロンハイ積んでなかった? のどがヒリヒリしてきたの。
辛いものが好きな人でさえこのような被害を受けている。戦場の愛は裏切られたのであろうか。
ついでにお兄さんのメールも。
明くる日は昆布をしょうゆで煮ている匂いに混じって、全身がしびれるような山椒の湯気の洗礼です。あわてて表へ飛び出します。自家製塩昆布は好物だったんですが、「虫下しにええよって」と食べさされる山椒の数粒は、飲み込むのがやっとでおましたなぁ。
辛味への慣れはカレーを好むようになったころからですやろか。そんな辛いもんに鈍感になったわたくしでも、幾度かのギブアップがあります。開店したてのメキシコ料理店で食べたタコスの辛さは強烈でした。トムヤンクンは途中で胃けいれんをおこして半分残しました。パプリカや唐辛子をこれでもかと入れたシチューをパスタにかけた、旧東ドイツやハンガリーの名物料理「グーラッシュ」にも胃がクラッシュしました(豊下製菓の豊下さん)
大阪の古い商家の台所が見えてくるようなメールである。感心して読んでいたら、メキシコやタイから敵機が飛来してきたので、あわてて防空壕にもぐったのである。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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