家計

もうかる家計のつくり方

子どもにすねをかじらせない 老後資金づくりの鉄則 家計再生コンサルタント 横山光昭

2017/8/23

PIXTA

 「大学の学費など2人の子どもにかけるお金が膨らみ、貯蓄がどんどん減っている。このままでは老後の生活が不安だ」。男性会社員のSさん(57)がパートの妻(55)と連れだって相談に来ました。Sさん夫妻の貯蓄は現在、600万円ほど。一方、60歳の定年時に受け取れる退職金は1300万円程度の見込みです。「老後資金は一般的に3000万~5000万円が必要だと聞いているが、貯蓄と退職金を足しても3000万円には遠く及ばない」。定年が近くなり、Sさんは焦っています。

■独立した長女に日用品渡す

 Sさんは妻と大学2年の長男との3人暮らし。また、社会人として独立した長女(26)が電車で15分のところにある賃貸マンションに住んでいます。長女は週末や仕事が早く終わった日など、頻繁にSさんの家に帰り、食事をしたり、泊まったりします。長女が自分のマンションに戻る際、日用品などを持たせると喜ぶからと、常に多めに準備していることで生活費が膨らんでいます。

 自宅から大学に通学している長男は、友人との飲み会などの外食費や交遊費はアルバイト代で賄っています。ただ、自宅にいるときは当然ながら家で食事するし、学費や通学定期など必要な費用は親が払っています。Sさん夫妻は長男の学費のために月5万円を積み立てていますが、それだけでは足りず、貯蓄から年間70万円ほどを拠出しなくてはなりません。老後に不安を覚えた今、とてもつらい支出と感じるようになりました。

 Sさん夫妻の話を聞くと、夫婦の生活費が膨らんでいるというより、むしろ子どもにかけるお金が家計を圧迫しているようです。家計簿を細かく分析すると、教育費はもちろんですが、様々な費目に子どものための支出が隠れていました。Sさん夫妻の支出では、入りっぱなしで見直していない生命保険の保険料が高く、通信費も多めです。結果として毎月の収支は5万円もの赤字となっていました。

■家計の窮状に驚く子どもたち

 Sさん家族の家計は全体を見直す必要があったので、「ぜひ子どもも一緒に話し合いを」と提案。週末に2人の子どもが集まったところで、貯蓄額や毎月の収支の状況、老後資金の見通しなどを子どもたちに伝えてもらいました。

 家計の現状に驚いた子どもたちは、それぞれが改善策を提案しました。長女は時々、家に帰ることはあっても、日用品などをもらったり、食事を頻繁に出してもらったりするようなことはしないと約束。あと2年も学費などを親に負担させることが心苦しくなった大学生の長男は、友人の半分近くが利用している奨学金を自分も借りると提案しました。ただ最近では奨学金を借りたものの、就職後も返済できずに自己破産したケースが少なくありません。両親がそのことを指摘すると、長男はパソコンのソフトを使ってシミュレ―ションしました。

■弟の奨学金、返済は姉も負担

 月5万円の奨学金を残りの大学生活の2年間、利用したとすると、利息を含めた返済総額は144万円強になります。就職後、毎月1万円を返済するとしたら、完済するまでに12年。この条件での奨学金利用を検討しはじめると、親がすべてを負担して大学を卒業した長女が「自分のせいで貯蓄が減ったので、弟が奨学金を返済し始めたら、半額の5000円を負担する」と申し出ました。

家計

ALL CHANNEL