靴も眼鏡も国内回帰 機能・品質高め、価値を訴求
よくわかる 国産ファッション(5)
靴や眼鏡など、衣服以外のファッション関連商品でも国内回帰が進んでいる。眼鏡店「Zoff(ゾフ)」を運営するインターメスティック(東京・港)は眼鏡の産地、福井県鯖江市で生産した商品の販売を開始。ムーンスター(福岡県久留米市)など靴大手も国内生産の比率を増やし、付加価値を高めている。
第4回「業界活性化へ「国産認証」 課題は知名度」もあわせてお読みください。
「JINS」を展開するジンズやインターメスティックは、鯖江市で生産した眼鏡を昨年売り出した。価格は1万円台後半と、既存商品の中心価格帯より2倍以上高いが、品質の高さや掛け心地の良さが特長だ。
インターメスティックの新商品は若い世代に人気のウェリントン型などを採用し、20~50代と幅広い世代から支持を集める。訪日外国人(インバウンド)の購入も多く、今後は女性向け商品も充実させる計画だ。
機能性に富んだ商品を充実、日本製の良さ伝える
靴業界では4月に社名変更したアサヒシューズ(福岡県久留米市)が国内生産に軸足を移している。これまでの中国での製造から方針を転換。履き心地を追求した1足6000円程度の「快歩主義」などを販売し、新たな顧客を掘り起こしている。5年以内に国内生産比率を100%にする計画も掲げる。
ムーンスターはこの3年間で国内生産を3割増やした。チヨダも2020年2月期までの中期経営計画に、国内生産の強化を盛り込んだ。現在2%程度にとどまる国内生産比率を6%まで高める方針だ。機能性に富んだ商品を充実させ、日本製の良さを伝えていく。
大手靴メーカーが国産回帰する背景には「脱・中国」の思惑もある。
人件費の安さから中国生産を増やしたが、経済成長に伴って「この10年間で中国の人件費は約7倍に膨れ上がった」(大手靴メーカー幹部)。
このため各社はベトナムやカンボジア、バングラデシュなどに生産国を分散。価格競争の一方で、高品質の日本製シューズも作り、コスト一辺倒からの脱却を図る。
新素材や先端技術を取り入れた商品への関心高まる
小売りでも国産をキーワードにする企業は多い。かばん小売り最大手のサックスバーホールディングスは、日本製の商品をそろえた店舗の出店を加速している。12年の初出店から売り上げは好調に推移し、現在13店まで増えた。価格帯は5000~2万円で、20~30代の若者に人気という。
少子化などが響き、国内のファッション市場は大きな成長が期待しにくい。それでも消費者の嗜好は多様化し、新素材や先端技術を取り入れた商品への関心は高まっている。海外産とは違う「メード・イン・ジャパン」をどう打ち出していくかが国産ファッション復活のカギを握る。
=この項おわり
[日経産業新聞 2017年5月10日付を再構成]
第4回「業界活性化へ『国産認証』 課題は知名度」もあわせてお読みください。
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