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リーダーのマネジメント論

2017/8/22

リーダーのマネジメント論

――「収益化」という点でも、通常のビジネスとは異なっています。どのように運営していますか。

「すべての受益者から金をもらえるのか否か、という点は大きく違います。収入が200万円未満の世帯が71%、という母子家庭からお金をもらうことは難しい。支援するには、別の主体から、何かの理由で資金を調達しなければなりません。寄付かもしれないし、新しいしくみをつくって企業と協賛する形かもしれない。行政の補助かもしれない。お金を得る方法がバラエティーに富んでいるので、そこでクリエーティビティーが発揮できます。通常なら『もうからなそうだからやめよう』という事業でも、ある種の魔法を生み出すことができる。それがソーシャルビジネスの楽しくて、最も難しいところでもありますね」

サービスの受け手を「顧客化」させない

2014年、障害のある子どもの長時間保育を実現する日本初の保育園「ヘレン」を開園(フローレンス提供)

――顧客に対する考え方も違いますね。

「僕たちは、サービスを受ける人たちを『顧客化』してはいけない、と考えています。我々は、彼らのパートナーです。僕たちがサービスを提供する人たちは、今この時点では障害を持った子どもを持った親だったり、震災で被害にあった人だったり、助けられる存在です。しかし、彼らを永久に助けられる存在にしてはいけないのです」

「僕たちの事業のなかに、通常の保育園や幼稚園で預かってもらえない障害児のための保育園『ヘレン』と、訪問保育『アニー』という事業があります。障害を持った子どもを持つ母親は、どこにもセーフティーネットがない弱い存在です。働けない人も多い。しかし、その人たちも仕事を楽しみ、社会に価値を生み出せる、強い存在にならなければいけないのです。障害のある子どもを持つ母親の常勤雇用率は全国平均で1ケタ台ですが、『ヘレン』『アニー』に預けた母親の常勤雇用率は、88%です」

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