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マエストロ自らの追悼 ビエロフラーヴェク最後の録音

クラシックCD・今月の3点

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ドヴォルザーク「スターバト・マーテル」
中村恵理(ソプラノ)、エリーザベト・クールマン(メゾソプラノ)、マイケル・スパイアーズ(テノール)、パク・ジョンミン(バス)、プラハ・フィルハーモニー合唱団(ルカーシュ・ヴァシレク合唱指揮)
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

1946年にプラハで生まれたビエロフラーヴェクは、日本と深く結びついた指揮者だった。28歳の74年4月に初来日、その2年前の財団法人解散や新日本フィルハーモニー交響楽団との分裂で満身創痍(そうい)の状態にあった日本フィルハーモニー交響楽団に対し、未来への確かな希望を与えた。85年には同フィルの首席客演指揮者に就き、2009年まで振り続けた。「ビロード革命」で母国が民主化された翌年、90年にチェコ・フィル首席指揮者へと抜てきされたが、混乱期特有の思惑も渦巻く中で93年退任。2012年に返り咲くまでの間に、英BBC交響楽団首席指揮者など国際楽壇での評価を着実に高めた。チェコ・フィルとは円熟の60代後半、ユニバーサル系列の英「デッカ」レーベルにドヴォルザークの主要管弦楽曲を集中的に録音し、現代チェコを代表するマエストロ(巨匠)の地位を揺るぎないものにした。

「スターバト・マーテル」は13世紀イタリアのカトリック聖歌の詩に基づく宗教音楽で、600人以上の作曲家が手がけてきた。日本では「悲しみの聖母」「聖母哀傷」と訳すことが多い。ボヘミア(現在のチェコ)の作曲家ドヴォルザーク(1841~1904年)は長女を失った翌年の1876年から作曲に取りかかったが、さらに次女、長男が亡くなって作業が中断、77年にようやく完成させた。「新世界」交響曲やチェロ協奏曲など不朽の名曲を通じ、人懐っこい旋律やボヘミア風の情景で人々を魅了した作曲家がみせたもうひとつの顔、古典的な造形と深い宗教的感情もまた、傑作の定評へとつながった。

16年3月23~25日にチェコ・フィルのフランチャイズ(本拠)、プラハ・ルドルフィヌムのドヴォルザーク・ホールで収めた同曲は、ドヴォルザーク・シリーズの最新録音であると同時に、最後の録音に当たる。今年(2017年)5月31日、ビエロフラーヴェクは長く壮絶ながんとの闘いにたおれ、71歳で亡くなった。今まで数多くのディスクを制作してきたマエストロだが、派手なアクションには目もくれず、音楽の内面にひたすら温かいまなざしを注ぐ芸風はときに、エモーションの不足を指摘されることもあった。しかしラストレコーディングにこめられた感情の深さは、並大抵のものではない。迫りくる死への恐れ、生への渇望といった自身の思いも重なり、まれにみる音楽の時間が連続する。独唱の1人に中村恵理の名がある偶然も、日本と縁の深かったマエストロの最後にはふさわしい。(ユニバーサル)

ルース・スレンチェンスカの芸術7 台北録音
ルース・スレンチェンスカ(ピアノ)

まさか、ということが音楽の世界では、ときに起きる。1925年にカリフォルニア州サクラメントで生まれた女性ピアニスト、スレンチェンスカは20世紀の終わりまで、日本では完全に忘れ去られた存在だった。62年に小澤征爾が急病になった指揮者の代役でサンフランシスコ交響楽団を振り、米国西海岸デビューを果たした際にハチャトゥリアンの「ピアノ協奏曲」を独奏していたとか、もはや誰も覚えていない。ましてや大ピアニストで作曲家、ラフマニノフの代役を9歳で務めた天才少女の伝説を知る人はほとんどいなくなった。

引退2年前の2003年、岡山の歯科医で熱心な音楽愛好家の三船文彰医師の知遇を得たことで突然、スレンチェンスカの日本でのキャリアが開けた。結局、13年の「ラスト・コンサート」まで8回も来日して6巻11枚のCDを制作。モーツァルト、ベートーヴェンからシューマン、ショパン、リスト、ブラームス、ラフマニノフ、プロコフィエフ、バルトーク、コープランド……と膨大なレパートリーを網羅した録音は、衰えを知らない技術の確かさだけでなく、長く練り上げられた解釈の深さ、みずみずしい感性の輝きでも高い評価を得た。偉大なピアニストの実像が、身長145センチに満たない小柄な老婦人だったことも、驚きの的だった。

13年。「引退」したはずのスレンチェンスカが再び東京と岡山に現れた。三船医師の娘さんの結婚式に出席し、お祝いの曲を弾くためだったが、せっかくだからと演奏会を開き、皇居では美智子皇后との連弾も楽しんだ。さらに、かねて客員教授として訪れてきた台湾の台北まで足を伸ばし、12月20日、東呉大学のホールでリサイタルを行った。今回のCDの大半は、そのリサイタルのライヴ録音。モーツァルトのソナタK.570、ベートーヴェンの同第21番「ワルトシュタイン」、シューマン「交響的練習曲」などの名曲を、88歳とは思えない確かなテクニック、途切れない緊張で弾ききっている。特に温かく、厚みのある左手の打鍵には、深い味わいがある。

「私はもっと演奏できる」というスレンチェンスカの願いを聞き入れた三船医師は年明けの14年1月9日、同じホールでベートーヴェンのソナタ第12番、プロコフィエフの同第3番のセッション録音を行い、2枚目の後半に収めた。ベートーヴェンは「亡くなった私の夫のため」、プロコフィエフは「もう年だから簡単な曲しか弾けない、と思われたくないから」との理由で、アルバムに加わった。

ここまででも十分に驚きなのだが、スレンチェンスカは今年7~8月にも日本を訪れ、プライベートながら、岡山市でリサイタルを実現した。92歳。この演奏もやがてはディスク化され、ピアノ音楽がまだ人間の営みを映し、確かな息づかいを持っていた時代の証言として、長く聴き続けられることになるのだろう。(レグルス)

テレマン「12のファンタジア」[無伴奏リコーダーのための]
ドロテー・オーバーリンガー(リコーダー)

今年(2017年)はJ・S・バッハ、ヘンデルと並ぶ18世紀ドイツの大作曲家、ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681~1767年)の没後250年に当たる。「12のファンタジア(幻想曲)」はバッハの「無伴奏チェロ組曲」や「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ」と同じく、たった1つの楽器でソロ、通奏低音、重奏など様々な表現をこなす、極めて挑戦的な創作といえる。ヴァイオリンで演奏される機会も多いが、今日の研究ではバロック時代のフルート、フラウト・トラヴェルソのために書かれたのがオリジナルだと判明している。

1969年にアーヘンで生まれたドイツのリコーダーの名手、実家はパイプオルガンの製造業者というオーバーリンガーは「一部の曲で移調すれば、リコーダーでの演奏が可能」との見解に基づき、全曲盤の制作に踏み切った。「感情の輝きを強調するために4つのファンタジアでアルト・リコーダーを使い、それ以外の8曲ではフラウト・トラヴェルソに近い音高と音域を持つヴォイス・フルートを使った。その結果、今回の録音ではほとんどのファンタジアがオリジナルの調で聴けることになった」と自負する。より厳密にいえば、アルト・リコーダーもヴォイス・フルートも、それぞれ2本を吹き分けているので、4本の楽器を駆使しての録音だった。

テレマン自身、全12曲を「アマチュア・フルート奏者を実用的かつ音楽理論に基づいた訓練を積んだ名手へと成長させる手助け」として構想したことを記していた。オーバーリンガーも「教育用に役立つとともに、様々なスタイルへの手引きとなり、演奏しても楽しいという3拍子がそろった『練習曲集(エチュード)』の先駆け」とみなし、4本の楽器を自在に操り、生き生きと楽しく、演奏している。リコーダーといえば、日本の小学生にもおなじみだが、名演奏家の手にかかると、ここまで立派な楽器に変身するのかと、感心することしきり。(ソニー

(コンテンツ編集部 池田卓夫)

ドヴォルザーク:スターバト・マーテル

演奏者 : イルジー・ビエロフラーヴェク
販売元 : ユニバーサル ミュージック
価  格 : 3,780円 (税込み)

テレマン:無伴奏リコーダーのための12のファンタジア

演奏者 : ドロテー・オーバーリンガー
販売元 : SMJ
価  格 : 2,450円 (税込み)

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