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ブラザー工業 「介護しながら働く」を当たり前に

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経済産業大臣が表彰する平成27年度の「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれるなど、女性や外国人を含む多様な人材の活躍を推進し、働きやすい環境づくりに力を入れてきたブラザー工業。同社は、社会構造の変化を背景に今後ますます多くの社員が直面するであろう介護の問題にもいち早く取り組んできました。両立の実情に即した制度づくりや支援策のポイントについて聞きました。

負担を大きくする介護休職は「最後の手段」

「介護休職は最後の選択」。これは、ブラザー工業が介護と仕事の両立支援に取り組むにあたって決めたポリシーだ。ただ単に法令にのっとって制度を整えるだけではなく、まずゴールを明確に定め、実現のためにはどんなしくみが必要かを考える。そうしたステップが、使いやすく実効性の高い支援策につながった。

同社が介護支援の必要性を認識し始めた時期は2008年ごろ。介護を理由に退職する人が目立ち始め、30代と50代を2つのピークとする社員の人員構成を考えると、この先介護が事業継続のリスクになることが想定された。また、女性社員の勤続年数が長くなっており、高齢化、晩婚化、晩産化という社会構造の変化によって育児と介護に同時に直面するケースも出てくると推測。これらを念頭に支援制度の準備に着手した。

冒頭の「介護休職は最後の選択という働き方」を施策の軸に据えたのには理由がある。長期間にわたって仕事から離れることは、社員の精神面、経済面の負担を大きくすることにつながるからだ。また実際に介護をしている人に話を聞くと、四六時中付きっきりというケースは少なく、配偶者やきょうだいとケアを分担したり、デイサービスを使ったりしながら介護の一部を担うケースが多い。それならば仕事との両立は十分可能であると判断し、介護しながら柔軟に働ける制度づくりに力点が置かれた。

その一つが、年10日までの介護休暇。各自の事情に合わせてこまめに分けて使えるようにと、時間単位での取得も可能にした。また、2015年からは週2日までの在宅勤務制度も導入。介護や育児での利用を想定したもので、介護の場合は親の家でも勤務できる。「昨今増えている認知症の介護の場合、普段は通常の生活が送れるけれど、いざ何か起きたときに誰かが家にいないと緊急対応ができなかったりします。そういった役割をきょうだいと分担し、『週に2日は自分が親のそばで働く』というような使い方を想定しました」と、人事部労務グループシニア・チーム・マネジャーの青木勝彦さんは話す。

そのほか、短時間勤務も通算6年まで2回に分けて使えるなど、法定を上回る制度でフレキシブルな働き方を支えている。

制度の利用者は増えつつあり、最も多いのが在宅勤務の31人(2016年度)。最長3年までの介護休職を利用する人は少数で、期間も短期化しているという。「1、2カ月だけ休職してケアマネージャーと介護の計画を立てたり、行政上の手続きをしたりして、その後は仕事に復帰。短時間勤務などを活用して働くといった状況です」(青木さん)。休職はあくまで「両立するための体制づくりの期間」として使われている。

両立事例を役職も含めて公開

同社が介護支援でもう一つ重視しているのが情報の共有だ。2012年に、40歳以上の全社員に対して介護に関するアンケートを実施したところ、97%の人が「今はまだ介護に直面していないが、漠然とした不安を感じる」と回答。そこで、20代から50代まで幅広い年代の両立社員の事例5件を、役職も含めてイントラネット上で紹介している。

不安を抱くのは、両立に関する知識や備えがないために「介護することになったら辞めなくてはいけないのでは」と思ってしまうから。「一般社員から上級職までどの社員でもロールモデルを設定でき、今ある制度と組み合わせてどう両立したらいいのかイメージしやすくすることが狙い」と、施策を担当する人事部労務グループの伊藤祐樹さんは話す。

この事例紹介には想定外の効果もあった。介護は育児と違ってポジティブな話ではないため、職場で積極的に相談しづらい部分があったが、体験談の多くで「同僚や上司などの協力がとても大切」ということが語られていた。それを目にすることで、周囲の協力を得ることの重要性が当事者以外にも伝わり、結果的に職場での相談のしやすさにもつながっているという。特に在宅勤務中の社員から、「職場の人に協力してもらえるようになってよかった」という声が上がっている。

組織のマネジメントをシミュレーション

また、2011年から始まった介護セミナーは当初管理職のみを対象としていたが、その後、40歳以上に拡大し、現在は全社員が参加できる。2016年の下期からは管理職の参加を必須としたセミナーを開始し、「両立の実現には、マネジメントの役割が重要である」という会社の姿勢をより明確に伝えている。

管理職向けのセミナーでは公的な介護制度や社内の支援制度についての説明も行うが、一番の狙いは「介護は自然災害と同じで、突然起こるもの」であるとしっかり認識してもらうこと。そのために取り入れているのがケーススタディーだ。

自身のチーム内の特定の一人がある日突然介護の当事者となったと想定し、本人と他のチーム員に対して時系列で何を働きかけるかをシミュレーションする。社内の制度を使ってどう本人をマネジメントするのか、チーム内でどのようにフォローしていくのか……。

「このワークにはもちろん正確な答えはありません。ただ、何かしらの気づきを得ることで、職場に戻ったときに介護中の部下との面談で何を聞くべきか、突然誰か一人が不在となった場合にチーム力を落とさないためにはどんな仕事の仕方をすべきなのか、といったことを考えるようになります」(伊藤さん)

大切なのは、日ごろからのマネジメントの備えの大切さに気づき、それを具体的な行動に反映させること。セミナー参加後、自分のチームでもケーススタディーをやってみたいので資料を分けてほしいといった申し出もあり、今後はそうした各職場での取り組みについて人事で進捗確認も行っていくという。

「上級職には特に、介護の当事者はもちろん、ほかのチーム員もきちんとフォローして、これまで以上に介護している人を支援しやすいような風土づくりをするよう伝えています」と伊藤さん。誰にでも起こり得ることだからこそ、一人で抱え込まず、チームで乗り切っていく。目指すのは、「介護しながら働くこと」を当たり前に実践できる環境だ。

(ライター 谷口絵美)

[日経DUAL 2017年7月4日付記事を再構成]

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