生地選びと採寸だけ 衝撃コスパの人気オーダースーツ
特集 秋にほしい最新ビジネスファッション 前編
いよいよ9月。今から衣替えシーズンを見据えて秋の身支度に取りかかりたい。ビジネスシーンでは昨今、オーダースーツの人気が高まっているという。そこで今回は、手を出しやすいコストパフォーマンスに優れたオーダースーツを3つ紹介する。
スーツは体形に合うことが最重要
スーツで一番重要なのはサイジングにほかならない。サイズが合っていないとだらしない印象を与え、いくら高級なブランドや生地であっても安っぽく見えてしまう。その点、オーダースーツは、自分の体形にジャストフィットするため、ビジネスマナーに即した品格を備える。
「でもオーダースーツはハードルが高い」と思っている人も多いはず。しかし昨今は、生地選びと採寸をメインとした簡易なオーダースーツなども登場し、手軽に自分の体形に合ったスーツを手に入れることができるのだ。
「これまでオーダースーツというと、価格やオプションの多さ、あるいは店の雰囲気などから『一部の人のもの』という印象がありました。しかし、ここ数年でカジュアルなオーダースーツブランドも増え、気軽にカスタマイズした自分だけの一着を求める方が増える傾向にあります。やはり体形に合った美しいオーダースーツを着ていると周りからの印象も良く、その自信がビジネスにも良い影響を与えることが認識されてきたのではないでしょうか」(オンリー 営業商品本部チーフ 土屋敦子氏)
累計で30万着を超えるオーダースーツを手がけてきたオンリーでは、オーダースーツの人気上昇を受けて、2017年6月より生地選びと採寸のみで完結するシンプルなオーダースーツの展開もスタート。1着2万5000円(税抜き)ながら、生地は高品質でバリエーションも豊富、かつ動画を見ながら自分で採寸すれば、1着目からネットで注文も可能なため、全国から注文が殺到しているという。
「一度採寸して自分のサイズカルテを作れば、何度でも簡単に自分のサイズに合ったスーツを作ることができます。ネットでのリピート購入や、家族による代理購入もできるため便利です」(土屋氏)。最近は女性からの需要も高まっているため、8月26日から女性用オーダースーツの販売も始めた。
そんなオーダースーツのコストパフォーマンスの高い注目ブランドを3つ紹介する。オーダースーツは納品まで期間を要するため、秋の衣替えに備えるなら今から用意しておくことをお勧めする。
オンリー/生地選びと採寸だけの均一価格
先述した、オンリーが新たに展開する手軽なオーダースーツ「ミニマルオーダー」。生地選びと採寸のみというシンプルなオーダーのため、いわゆるオーダースーツの注文のわかりにくさ、細かい仕様やオプション選びなどのわずらわしさがないのも魅力だ。
なにより1着2万5000円という価格設定がうれしい。ワンプライスのためオプションや生地によって価格が跳ね上がる心配もなく、気負わず毎日着用できる。生産、流通にかかるコストを徹底的にそぎ落とし、文字通りミニマルな商品設計にすることで大幅なコストダウンを実現。また、早期受注システムを採用しており、納期には約2カ月かかるが、計画的に企画、仕入れ・生産ができるため、この価格でオーダースーツの提供が可能になったという。
100%ウール素材の高品質なオリジナル生地を中心に、全32種類の生地を用意。フォーマルやビジネスに最適な色・柄をラインアップしている。手軽に作れるため、既製品ではサイズが合わない人はもちろん、オーダースーツ未経験の人にも最適だ。
「発売当初から、採寸店舗の予約枠が終日埋まってしまうほどの採寸予約がありました。日本全国からネット経由の自己採寸の注文もあり、消費者に求められている商品であると手応えを感じています。お客様は30~40代の男性が多く、生地見本やサンプルスーツをご覧になり、『生地クオリティーの高さに驚いた』という声を多数いただいています」(土屋氏)
グローバルスタイル/約5000種の生地をそろえる
創業80年を超える老舗生地問屋、タンゴヤが展開するコスパの高いオーダースーツブランド「グローバルスタイル」。老舗生地問屋の独自のネットワークと素材の購買力を生かし、手ごろな価格でオーダースーツを提供している。
店舗でスタイリストによる採寸を行い、ゲージ服をベースにして好みや悩みに合わせて調整していく。選べるスーツモデルは10型以上あり、業界最多のバリエーション。さまざまな年代や好みに合わせたスタイルが選べるよう、アパレルデザイナーとのコラボを通して、トラッドからモードまで幅広いデザインが用意されている。
生地もゼニア、ロロピアーナ、カノニコ、レダといった人気のインポートブランド生地から、国内生地まで約5000種類をそろえ、納得の一着を仕立てることができる。選べる仕様やオプションも豊富で、スタッフの接客のもと、スーツのいろはを学びながら本格的なスーツオーダーが可能だ。
「2017年5月期の売上高は約49億円と、前年比140%を達成しました。メイン購買層は30代と比較的若い方が多く、コストパフォーマンス重視のビジネスマンからエグゼクティブまで、幅広く支持されているのが従来型のオーダースーツ店と大きく異なる特徴です。お客様からは『同じインポートブランド生地のスーツでも他店より圧倒的にリーズナブル』との声をよくいただいています」(タンゴヤ GS事業本部 ネットマーケティング部 部長 吉田招代氏)
ディファレンス/スマホで手軽にオーダー
紳士服のコナカが展開するオーダースーツブランド「ディファレンス」。「スマホでスーツをパーソナライズ」をコンセプトに、スマートフォンやタブレットで手軽にオーダーできるシステムを持つ。
初回のみ店舗で採寸。2着目以降は採寸データをもとに、注文・受け取りまで、すべてのプロセスをスマホの専用アプリで完結できる。自分好みにフィットを変更したり、さまざまなオプションを組み合わせてオリジナルのスタイルを作ることも可能。来店予約もスマホで空き状況を確認して予約できるなど、現代のニーズに合わせた手軽なオーダーシステムがうれしい。
サイジングは縦横の調整箇所が多く、ジャケット5カ所、パンツ6カ所と細かいところまで体形に合わせて仕立てることができる。生地もゼニアやロロピアーナといったインポートブランド生地をはじめ、国内外のウール生地など常時150種類以上をラインアップ。スーツモデルは5型から選べるなど、自分にぴったりのスーツが手に入れられる。
コストを抑えられた最も大きな理由は、国内に協力工場があるため。コナカが長期にわたり工場を安定的に稼働してきたことで、現在オーダースーツを縫製できるスキームが整っており、最速2週間で純国産の高品質なオーダースーツを購入できるという。
「2016年10月にブランドがスタートしてから、店舗数も増加し、売り上げは計画通り、好調に推移しています。ビジネス需要という25~40歳の方が多く、ショップとオンラインを上手にご利用していただいています」(コナカ DIFFERENCE事業部 ゼネラルマネージャー 中嶋傑氏)
前編 生地選びと採寸だけのお手軽オーダースーツが人気
中編 オーダーシャツは動きやすくて1枚でもサマになる
後編 休日もOK 伸びる、洗える、畳める高機能ジャケット
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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