老後の「下流」転落防ぐ 夫婦で無理なくできる対策は終活見聞録(11)

子どもには早めの独立を促す

長寿は喜ばしいが、健康であってこそ。将来の健康悪化のリスクを減らしておきたい

そして3つ目は「子どもを早く独立させること」。子どもがいる場合、成人してもニートや就職難民などで家にいて親のすねをかじり続けると、夫婦の老後の資産形成の足を引っ張りかねない。

家計やマネーの専門家たちが言うには、人生にはお金のためどきは3回ある。最初が独身時代から夫婦のみの時期、次が子どもの幼少期、そして3回目は子どもが独立したあとだ。最初の2回は主に子どもの教育資金の備えに、そして最後が夫婦の老後資金を蓄える時期とされる。「子どもがなかなか独立しないと、この最後の貯めどきがなくなってしまう」とFPの八ツ井氏は懸念する。リタイア後なら、夫婦でもらう年金を子どもが食いつぶしてしまう可能性もある。子どもには早い時期から自立を促し、ひとり暮らしを経験させたり、就職後には親元を離れて自分の給料で生活させたりして、早めに生活力を身につけさせることが重要だろう。

ワンポイント:見逃せない親の長寿リスク

パラサイト化するのは子どもだけではない。近年では共働き夫婦の増加に伴って、孫の面倒を見る祖父母が増えている。孫に愛情を注ぐのは老後の生きがいにもつながるが、度が過ぎるとストレスがたまり、健康面での不安や経済的な負担も増す。適度な距離感が必要だろう。

そしてもう一つ見逃せないのが、高齢の親の問題だ。人口動態調査によれば、15年前の2000年には男性の死亡者のうち80歳を過ぎて死ぬ人は3人に1人だったが、15年には2人に1人に増えた。女性の死亡者で見ると00年には90歳を過ぎて死ぬ人は5人のうち1人だったが、15年には3人に1人に増えている。

厚生労働省「人口動態調査」

長寿は喜ばしいが、それも健康であってこそ。一方で要介護状態になったり、認知症を患ったりするリスクは増す。自分たち夫婦もやがて老境に差し掛かり、リタイアして定期的な収入は減る。そんな中で親の介護費用まで負担すると、自らの老後の蓄えを吐き出してしまう可能性がある。親が元気なうちに自立した生活ができなくなったらどうするか、お金の面も含めて話し合っておきたい。それが親の「終活」でもあり、自分の「終活」でもある。

(マネー報道部 土井誠司)

[日経回廊の記事を再構成]

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