慶応義塾高校の古田幹校長

塾高出身の経営者とは様々な場面で取材するが、共通しているのは勉強よりもスポーツなどの部活に力を入れていたという点だ。星野社長は「スキー三昧だった」とホテル経営を本気で学んだのは、慶大卒業後に米コーネル大学大学院に留学した後だと話す。豊田章男社長もホッケー、大学進学後は日本代表に。全国クラスの選手になった経済人も少なくない。

現在も塾高には全国大会に出場するクラブが多い。ラグビー以外にも、元プロテニス選手の松岡修造氏も活躍したテニス、サッカー、アメリカンフットボール、ボートなど。文化系の部活も盛んで「8割方の生徒がどこかの部に入ってます」と古田校長は話す。

アイドルスターも無遅刻無欠席

塾高では授業を優先している限り、アルバイトをしたり、芸能活動をすることも自由だ。昭和の映画史を飾る石原裕次郎、加山雄三という両ビッグネームも出身者だが、最近ではアイドルグループ「嵐」のメンバー、桜井翔さんが有名だ。古田校長は「彼は高1の時は無遅刻・無欠席でした。まじめな生徒で、仕事と勉強をきちんと両立していた。先生も生徒も彼を悪くいう人は全然いなかった」と振り返る。

塾高の白亜の校舎、歴史も古い

塾高は1学年18クラス編成で、全部で約2200人の生徒が通うマンモス高校。原則全員が慶大に進学できる。部活やバイト、芸能活動に精を出すのは自由だが、やはり甘くない。留年制度がある。1年から2年は15~20人、2年から3年、3年から大学進学時にはそれぞれ10人近くが落第する。部活や遊びにかまけると、落とし穴にはまる懸念もある。「僕らの時には、厳しい先生がいて、1クラス分の40人近くが落第したこともある。幼稚舎から大学卒業までストレートで進むのは結構しんどい」と30代の塾高OBは話す。

慶大医学部に22人

塾高には猛烈に勉強するグループもいる。慶大医学部(1学年は約110人)に22人の推薦枠があるからだ。東京大学や京都大学の両医学部と並ぶ国内最高峰の難関学部に最も多くの学生を送り込む高校でもある。

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異端を創る教育棟を建設
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