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美味しいお金の話

お得な旅、保養所も捨てがたい 健保や自治体が助成 ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢

2017/8/18

箱根の保養所の一室(2014年4月)

8月もすでに後半。一方、これから夏休みを取得しようという人も少なくないでしょう。そこで注目したいのが企業の健康保険組合の保養所。健保というと、病気になったときにお世話になるイメージがありますが、実はお得に旅行ができる制度を備えている組合も多いのです。健保財政の厳しさが伝えられる昨今、一時に比べ保養所はだいぶ減ったようですが、完全になくなったわけではありません。また、会社員でない人も自治体が保有している保養所で、割引や助成が受けられることがあります。残りの夏休みや秋の行楽シーズンにかけ、旅の選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょう。

■箱根、5400円で1泊2食付き

健保には様々な特典があります。提携している施設を割安で利用できたり、健保の組合員でないと入店できないレストランがあったりします。旅行に出かける際には、組合員専用の割安なパッケージツアーがあったり、旅行1泊に対してたとえば「5000円の補助」といった助成を行ったりする企業もあります。保養所は観光地や避暑地に多いこともあり、いずれも利用するとお得です。

私は過去、自分が勤めていた会社の保養所を利用して割安のスキー旅行に出かけたり、夫の勤め先の制度を使って神奈川県の箱根を旅したりしたことがあります。企業によっては友人など社外の人を同伴できる保養所もあります。特に箱根には多くの企業の保養所があり、この記事をご覧の方の勤務先の保養所もあるかもしれません。

夫のかつての勤め先の場合、箱根の保養所の宿泊料金は組合員だと1泊2食付きで1人当たり5400円と格安。同伴する社外の人も同1万800円でした(2014年4月時点)。

夫のかつての勤務先の箱根の保養所。部屋には和室と洋室、ヒノキ風呂まで(2014年4月)

和室と洋室の両方がある広々とした部屋にヒノキ風呂がついていて、夜と朝、豪華な食事が出てきました。ゆったりくつろげる露天風呂もありました。

夜と朝には豪華な食事(同)
1品1品の料理は手が込んでいる(同)

保養所の話ではありませんが、旅を割安に楽しむなら現地の周遊券やフリーパスも活用したいものです。私は箱根旅行の際は、芦ノ湖で運航する観光船「箱根海賊船」やロープウエー、ケーブルカー、バスなどが乗り放題になる「箱根フリーパス」を利用しました。フリーパスは2日間有効なものだと大人1人当たり5140円。入園料が割引になる施設もあります。私の場合、小田急電鉄の「特急ロマンスカー」の特急券や海賊船の特別席などの料金を別途払っても、1人当たりの交通費や入園料の合計は9120円でした。これらをすべて個別に定価で支払うと、同1万2130円かかる計算で、3000円ほど得したことになります。

■国保や自治体が運営する保養施設も

勤務先の健保に保養所がなかったり、自営業などで国民健康保険に加入したりしている人でも保養所が利用できることがあります。たとえば東京都の文京区が提携している保養所を調べてみると、区民であれば一般の来館者よりも数千円安く泊まれる保養所が多く、ほとんどの施設が1泊2食付きで1人当たり1万円未満でした。また、同区が提携している山梨県の山中湖の保養所は、無料でデザイン浴衣も借りられるといったサービスもありました(2015年9月時点)。

文京区の山中湖の保養所では無料でデザイン浴衣が借りられた(2015年9月)
食事も充実(同)

練馬区では、区が指定する保養施設に宿泊した場合、大人1人当たり1泊3000円の補助が受けられます。ただし、施設に行く前に手続きが必要なので、区役所のホームページなどをよくチェックしてみてください。

最近はインバウンドの増加で観光地では宿が取りにくいことがあります。自治体経由で予約する場合、申込者が多いと抽選になることもありますが、宿を取る際の選択肢を増やす意味で検討に値すると思います。一方、旅行サイトなどを利用すれば簡単に予約の手続きができますが、健保や自治体だと申し込みの締め切りが早めに設定されていたり、書類での事務手続きなどが必要だったりしますので、ゆとりを持って予約や手続きなどをするよう留意しましょう。

■自治体と国保の助成を併用

自治体が保有していたり提携していたりする保養所だと、住民向けのサービスと国保加入者向けのサービスを併用できることがあります。例えば武蔵野市では友好都市9施設(富山県南砺市、長野県安曇野市、岩手県遠野市)を対象に「市民宿泊助成」があり、住民だと1人1泊につき最大3000円の助成が受けられますし、国保加入者向けの補助も併用すれば同じく最大6000円の助成が受けられます。

旅行に出かける際、旅行会社の店舗で相談したり、インターネットの旅行サイトで調べたりしてから、という人が多いかもしれません。それだけでなく、企業や自治体の保養所も選択肢に含めて検討すると、もっと財布に優しい旅を見つけられるかもしれません。お得にたくさんの旅を楽しめるとうれしいですね。

風呂内亜矢
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に『その節約はキケンです―お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか―』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)などがある。管理栄養士の資格も持つ。http://www.furouchi.com/

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