2年前に本社の社長に就任したが、昨年、私の360度評価も実施してもらった。アトランダムに社員の中からメンバーを選んで、私を評価してもらい、その結果を、社内で公表した。他の役員も360度評価を実行しているが、これは実際の評価制度とは連動していない。評価と連動させれば、必ずプラス評価ばかり書き込まれて、本音が聞こえてこない。本当の声を聞いて、マネジメントに生かしたくてやっているからだ。すごく有効だし、経営の透明化にもつながっている。今年も私の360度評価を実施する考えだ。

西井社長は「自分の360度評価の結果は社内で公表した」と明かした

伊藤:私も社外取締役として、最高経営責任者(CEO)の評価をやった経験はあるが、社長自らが360度評価の対象になるというのはあまり聞いたことがない、とても斬新な試みで驚いた。

ところで味の素がグローバルトップ10に入るには、事業の構造改革など難題も少なくない。どういう基準で整理するのか。

西井:グローバルトップ10の収益面の目標として、事業利益で1300億円(2016年実績は970億円)を掲げている。08年にグローバルに展開してきた、いくつかの事業が頭打ちになり、単体で赤字に転落した。その1つが従来の味の素の主力のうま味調味料だ。ブラジルなど新興国で生産し、それを世界の食品メーカーに供給するBtoBの事業を展開してきたのだが、それが成り立たなくなった。新興国はインフレ率が高いが、BtoB事業では即価格に転換できない。この手のビジネスは継続するのは厳しいと痛感した。

新規事業の場合は、ROI(投下資本利益率)を設定して、数字を見て事業継続の可否を判断すればいい。味の素も100年の歴史がある会社なので、いつからどの程度の資本を投下して事業を推進してきたか明確ではない既存事業もある。ただ、言えることはインフレ率を価格に転換できないビジネスは難しいということだ。

味の素は、収益面など経済価値の創出だけでなく、人類の課題である栄養改善などの社会価値を創出しながら、真のグローバル企業を目指している。そのためにもグローバル人材の活用は必要不可欠だ。

西井孝明
1982年に同志社大文卒、味の素に入社。2004年に味の素冷凍食品取締役、09年人事部長、11年執行役員、13年ブラジル味の素社社長、15年から現職。奈良県出身

(代慶達也)

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