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味の素の西井孝明社長

味の素の西井孝明社長

世界30カ国・地域に拠点を展開する味の素。日本の食品メーカーは自動車などと比べて海外展開で遅れているといわれるが、西井孝明社長は今春、2020年度にグローバル食品企業トップ10に入ると宣言した。ネスレなど世界の食品大手を目標とするが、課題はグローバル人材の育成だ。経営人材をどう育て、マネジメントするのか。一橋大学大学院の伊藤邦雄特任教授が西井社長に迫った。

伊藤:日本企業にとって健全で効率的な経営を進めるためのコーポレートガバナンス(企業統治)が大きな課題になっているが、味の素はガバナンスをしっかりやるために、最も大事なポイントとして働きがいを重視している。ガバナンスの一丁目一番地を働きがいとしている会社は非常に珍しい。

20年、働きがい実感社員を8割に

西井:味の素の拠点は世界中にある。インドネシアなどアジアやブラジルなど南米、欧米、そしてアフリカ。文化とか、考え方とか全然違う。そんな多様な環境の中で、1つのルールや監査のもとで、ガバナンスを構築して、それを守るというのはとても難しい。だから世界中の社員にわかりやすい、働きがいという概念を提示した。

味の素では、17年10月に国内外のグループ企業130社の正規従業員約3万3千人に対して働きがいの調査をやる。質問事項は約60項目に上る。理念やビジョン、目標、戦略への理解のほか、組織や個人の倫理性、仕事に対する正当な評価、報酬、給与、ダイバーシティー(多様性)、革新性などについての質問を外国籍を含めた社員に聞く。その調査の後に結果を分析し、改善して19年にもう一度調査して、20年の目標年次に働きがいを実感しているという従業員の割合をグループ全体の80%にしたいと考えている。

伊藤:味の素はグローバルな人材マネジメントのやり方を大きく変えようとしている。当然、日本の人事制度を海外に適用してもうまくいかないだろうが、どのように仕組みを構築していくのか。

年功序列は機能しない

西井:味の素の海外売り上げ比率は10年前に3割程度だったが、現在は5割を超えた。かつては海外の法人のトップも日本人の社員が大半だったが、それではグローバル企業としては効率的に機能しない。インドネシアとか、ブラジルとか、各国・地域にローカル適合しながら、人材をフル活用して価値を最大化しなくてはいけない。当然、日本型の年功序列制度は機能しない。グローバル人材のマネジメントにすれば、結果的に降格する人もいれば、若くても大幅に昇進する人もいる。ローカルの有能な人材を登用し、国をまたいでそれぞれのトップポジションで挑戦してもらい人材を育成する。

私はブラジル法人のトップを経験した。ブラジル事業を推し進める上で専門家は必要だが、有能な人材であれば、ほかの事業や他の国も経験してもらい、能力をさらに磨いて、地位を上げて本社に戻ってもらうということもある。

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