35歳までに「自分の本職」を決めるべき3つの理由ミドル世代専門転職コンサルタント 黒田真行

しかし、日本企業の多くが終身雇用の名残として「就職型=ジョブ型雇用」ではなく「就社型=カンパニー型雇用」のスタイルをいまだに保持しています。「総合職」という名のもとに、特に将来の幹部候補と期待される優秀な人材に対して頻繁なジョブローテーションを実施し、大量のゼネラリスト=非スペシャリストを生み出す構造になっているのです。

「新卒で入社して営業に配属されて3年、その後の3年間は人事部で採用業務に就き、そこから人事評価制度と教育研修の担当に移って3年。さらに別の事業部で再び営業を3年やりました。気がつくと35歳になっていて『あなたの専門性は?』と聞かれると少し詰まってしまいます」

転職相談でお会いするミドル層には、こういうパターンの方が本当に多いことに驚かされます。そして、その中でよくあるのが、「これまでの業務では○○の仕事が自分には合っていて、本当はそれをもっと究めたかったんですが、人事異動の命令には逆らえませんから」というケース。自分自身の意思として専門性を磨きたい仕事がありながら、渋々キャリアチェンジを受け入れてしまっているのです。

会社の都合で、あるいは会社側から見た育成観点での人事異動を甘んじて受け入れ、自らのキャリアを自らデザインしていくことを諦めてしまうのは、あまりにもったいない時代になっていると思います。もっと言うと、企業寿命が短期化している中で会社の指示に従っていても、いつまで会社そのものが存続しているのかも読み切れません。自分が築きたいキャリアを捨てて、会社にとって最適な人材になっていくこと自体に大きなリスクが潜んでいるのです。

逆に、「自分は○○のスペシャリスト」と誇れる本職を作り上げておくことが、生き残れるキャリア形成の第一歩になるといえるでしょう。

「自分の本職」を決め、看板を掲げ続けるべき理由

特に35歳の一線を超えると、中途採用市場では、一気に専門性のレベル、マネジメントの質に対する要望が高まります。35歳までに「自分の本職」を決定して、できれば平均以上のスペシャリティーを保有しておくことは、満足度の高い仕事生活を送るための必須条件といえるかもしれません。

(1) 「自分は何者か」を10秒で説明できない人に企業は振り向かない

35歳までに「自分の本職」を決めておくべき最大の理由は、人材市場における買い手である企業から、「あなたが魅力的に見えるかどうか」を決定づける要素となるからです。企業が中途採用を実施する背景には、必ず事業を前進させたいという欲望があります。明確な事業課題や解消したい問題があり、それをクリアできる人材を求めています。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら