娘が携帯にロックをかけています
脚本家、中園ミホさん
中1の娘と毎日衝突しています。携帯電話やタブレット端末にはロックをかけ、部屋の扉もピタっと閉めてしまいます。「何しているかわからないからそれはダメ」と言うと、「みんなそうしている。なぜウチだけ厳しいのか。考え方が古い」と反抗されます。今の子は皆、親の管理から自由なのでしょうか?(東京都・40代・女性)
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この問題、多くの親御さんが悩んでいると思います。私もそうでした。息子が中学生になって携帯を持たせたところ、あっという間に不正請求が。その失敗から、私はかなり厳しく管理していました。
まだ携帯電話もスマホもない時代、鍵つきの日記というのがありましたね。私もお小遣いをためて買い、親に知られたくない心のうちを毎日そこに書いたものです。でも、ある時、書くのが怖くなりました。私は子どものころから新聞や雑誌の身の上相談コーナーを読むのが趣味でしたが、今も忘れられないショックな回答があったのです。
娘の日記を読んでしまった母親。それが娘にばれ、彼女は「親に裏切られた」と怒っている。娘の心を傷つけてしまった。どうすればよいか。そんな内容の質問でした。回答は「子どもの日記は見てよろしい。でも、見たことは絶対にばれないように」でした。親は子どもの心の成長や変化を把握しておくべきだ。今後は気づかれないように見なさいとの主張でした。思春期の私は相談者の娘さんのようにショックを受けました。でも自分が親の立場になると、その回答は一つの真実だと思います。
高価な携帯やタブレットは日記とは次元が違う。もともと親のお金で持たせているんだから、親が見ちゃいけないというのは、理屈としてもおかしいはずです。
携帯を利用した犯罪の被害に遭ったり、いじめの温床になったりしている可能性もあります。親はこうした危険から子どもを守る義務がある。だからこそ、ちゃんと監視をしないと。
自分の反省も含めて、本当は携帯を与える前に「お金を出しているのは親。だから中身を見るからね」と言って、渡せばよかったと思います。そして親自身も、使い方やロックの解除方法を把握しておく。もし、かなり親子関係がぎくしゃくしちゃったなら、いったん、取り上げるのもアリでしょう。
一度、ちゃんと仕切り直さないと、この先、問題はどんどん大きくなっていってしまう。やはり親は毅然とすべきだし、そのくらいの覚悟を持って、子どもと対峙した方がいいと、私は思います。
[NIKKEIプラス1 2017年8月12日付]
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