ダブルウォッチの月次リポートを見ると、設定直後の昨年2月を除き、ほぼ全期間で組み入れ資産に占める短期金融資産(実質キャッシュ)の比率が4割を超えていた。早期償還を回避するための保守的運用の結果と思われるが、これではリターンは限られる。収益を生まないキャッシュの比率が4割の運用に対する信託報酬の水準として、年1.3%が妥当かどうかも議論は分かれるだろう。ちなみにダブルウォッチの7月末時点の過去1年のリターンは0.32%、リスク(標準偏差)は1.91%だ。

 この手の損失限定型ファンドについて、楽天証券経済研究所の篠田尚子ファンドアナリストは「一定のニーズはあるだろうが、さほど広がらないのではないか」と予想する。運用が保守的過ぎて、基準価格の値上がりがあまり期待できないからだ。守り重視のファンドは、相場の上昇局面でも指数ほど値上がりしないケースが多い。

 一方、吉井氏は「まっとうな資産運用を日本に広げようという、時代の流れに逆行している」と手厳しい。リスクとリターンはトレードオフで、相応のリスクを取らなければ運用の見返りは得られない。個人の関心をリスクからそらすのではなく、「市場は変動するもの、運用すれば一時的な損失もあり得ることを受け入れてもらえるよう、金融機関はもっと個人にしっかり説明するべきだ」と主張する。

コスト倒れしない低リスク投信

 多くの人は「損失限定」という一面に注目しがちだが、それがリターンを犠牲にしたものであれば、コストとの見合いで考えると投資妙味は乏しい。損失限定型はまだ設定間もないファンドで、評価を下すのは早すぎるし、急いで購入する理由もない。これからどんな運用をして、どれだけのリターンを上げていくかに注目だ。

 現実的な問題として、家計にとって預貯金に代わる資金の置き場が見当たらない状況はますます深刻だ。日銀のマイナス金利導入で実質元本保証だったMMF(マネー・マネジメント・ファンド)は消滅し、「証券会社版の預金」といわれたMRF(マネー・リザーブ・ファンド)も利回りゼロの「預け金」と化している。

 では、既存の投信の中で、低リスクでコスト倒れの心配が少ないファンドはあるのだろうか。最後に、篠田氏と吉井氏に候補となりそうな投信を挙げてもらったので上の表を参考にしてほしい。シュローダーYENターゲット(1年決算)はバランス型、ノーロード明治安田社債アクティブは国内債券型で、いずれもネット証券などでは販売手数料がかからない。

 低リスクファンドはリターンもそれなりにしか得られない。それでも、そのリターンの水準がコストや運用で負うリスクに見合っていれば納得できる。

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