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話題の「損失限定型」投信 投資妙味はあるのか QUICK資産運用研究所 北澤千秋

2017/8/16

投資信託にはいろいろなタイプがある(投信の販売窓口)

 新規資金の流入が細りがちな投資信託市場で、残高を急速に増やしているファンドがある。アムンディ・ジャパンが運用するSMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド(あんしんスイッチ)だ。基準価格に「プロテクトライン」と呼ぶ下限値を設け、その水準まで下落したら繰り上げ償還するという損失限定型。残高は7月末の新規設定から1カ月足らずで680億円を超えた。大きなリスクは負いたくないが、少しでも有利にお金を回したいという人々の関心を集めているもようだが、どんな投資妙味があるのだろう。

■銀行保証で償還原資を確保

 同ファンドは「マーケットの様々な変化などから資産を守る」がうたい文句。世界の株式、債券など様々な資産に投資するバランス型投信で、最大の特徴は、基準価格に「これ以上は下がらない」という下限の水準を設定している点だ。その水準は当初が9000円(1万口当たり)で、基準価格が1万600円に達すると1万円、1万1111円になって以後は基準価格の最高値の9割となる。一度設定した下限値は下がることがない。

 下限値を上回る運用をめざしながらも、もしも下限値まで下落するとその水準で繰り上げ償還する。外国銀行(仏クレディ・アグリコルグループ)と保証契約を結んでおり、下限値に達すると償還を賄う資金が支払われる。「日本初のプロテクトライン付き」をうたっているが、仕組みは一時期はやった元本保証型の変額年金保険(ラチェット型)の投信版といえなくもない。

 8月9日時点の基準価格(1万口当たり)は1万3円なので、現在の下限値は9000円。9日の基準価格で購入した投資家の損失は最大で1003円(=1万3円-9000円)となる。今後、運用が好調に推移し、基準価格が仮に1万1500円まで上がったとすれば、下限値はその9割の1万350円に引き上げられる。この場合、1万1500円で購入したときの最大損失額は1150円だ。

 多くの人が投信の購入に二の足を踏むのは、元本割れで損失を被るのが怖いから。最悪時の損失額があらかじめ分かる点は、投資の初心者層の不安を薄める効果があるだろう。しかも、購入時の販売手数料は無料(ノーロード)。運用といえば銀行預金しか経験のない人にも抵抗感は少なそうで、銀行窓口で販売好調なのもうなずける。

 もっとも、損失が限定されるのと、どれだけリターンが得られるかは別問題だ。運用期間が短いうえ、目論見書に目標リターンの表示もないので推測するしかないが、過大な期待は抱かない方がよいだろう。

 独立系ファンドコンサルタントの吉井崇裕氏は「仮に10%の下落を回避するためにファンドのリスク(値動きのブレ幅)を10%程度に抑えようとすれば、コスト控除前の期待リターンは3%程度になる」という。そこから信託報酬(1.22%)と銀行に払う保証料(0.22%)を差し引くと、投資家に残るリターンは年率1%台だ。

■リスクなしではリターンもない

 ただし、これはあくまで一般論。あんしんスイッチの今後のリターンを予測するうえで、参考になるバランス型の投信がある。同じくアムンディが運用するアムンディ・ダブルウォッチだ。銀行との保証契約こそないが、基準価格の最高値の90%を「フロア水準」と名付け、このラインを下に抜けると組み入れ資産をキャッシュに代えて繰り上げ償還する。やはり損失の限定に重点を置いた投信で、昨年1月の設定からじわじわと残高を増やし、足元では1200億円を超えている。

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