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インド経済は電子化で沸騰中 日本からの投資は投信で 世界のどこに投資する?(6)インド・後編

2017/8/17

――日本の個人投資家へのメッセージは。

 「インドは短期の循環的な成長でなく、持続的な成長トレンドを志向している。短期的には揺り戻しもあるだろうが、長期で高成長が実現しそうだ。消費に支えられた経済であり、人口構成も景気に良い影響をもたらす。インドはインフラ需要が旺盛で、日本を含めた海外の投資マネーを期待している。同時に海外投資家のリスクを減らすよう、手続きを踏んでいる。インドと日本は良いパートナーになり得ると思う」

◇  ◇  ◇

 記者にとってインドとの出合いといえば、日本でも公開され静かなブームを呼んだ映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)だ。名優ラジニカーントが演じる主人公は大地主の召使。ヒロインを救い馬車で悪党の大群を振り切り、ようやく別の州にたどり着く。ところが住民に話しかけても言葉が通じない。大国インドは人であふれ、身分制度が厳然としてあり、しかも言語が地域によってばらばらであることを実感した。

 インド経済は変化が激しい。その中で特に今、注目されているのはお金のやり取りの変化だ。今回インタビューしたムンバイの2氏は共通して、昨年後半以降の電子決済の急速な進展を指摘した。

インドの八百屋、薬局、スナック菓子店にも電子マネー決済「Paytm」が急拡大。QRコードの他、相手の電話番号を入力するだけで支払うことも可能だという(ムンバイ市内)

 高額紙幣の廃止により、商店はお釣りとなる小額紙幣をたくさん用意する必要がなくなった。そこへ政府が電子決済への移行を推進する方針を掲げ、「Paytm」などの電子マネー決済が高級店から露店、地方に至るまで急速に広がった。スマホをかざして食べ物や医薬品などの生活必需品を買う姿は、今や当たり前だという。今年に入り、政府主導でQRコードや指紋、光彩などの生体認証による決済の導入も相次ぎ発表されている。

 ただし銀行口座を持たない人も多いインドで、支払いと銀行口座のひも付けはこれから。決済システムにも未熟な側面がある。とはいえ若年層主体のインドで、便利な決済手段を素早く受け入れるスピード感は日本の比ではない。

 ばらばらだったインドの各州の交通・物流も変わりつつある。高速鉄道や道路網も整備されつつあったところへ今年7月、統一的な関税であるGSTが導入された。物流が活発になれば消費は一層喚起される。州をまたいだ文化の交流も急速に進むだろう。

 日本の個人投資家がインド株を手掛けるには事実上、運用手段を投信に限らざるを得ない。ただ、多少の信託報酬を支払っても成長の果実には期待できそうだ。8月に入りインドの株価指数はやや軟調だが、中長期の経済成長はこれから。若年人口であふれるインド経済の変化からは目が離せない。

(マネー報道部 南毅)

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