インド経済は電子化で沸騰中 日本からの投資は投信で世界のどこに投資する?(6)インド・後編

2017/8/17

――実際にムンバイに住み、人々の変化をどう感じているか。

「モディ政権に変わってから、経済重視の路線にシフトしてきたと実感する。インドは州ごとに言語が異なる国家で公用語の一つである英語を話せない人も多いが、20~30歳代の英語通用度は高い。スマートフォン(スマホ)もかなりのスピードで普及している。身分制度の『カースト制度』は残っているが、企業は階層を気にしていると思うように人材が採れないので、募集広告で『カースト不問』をうたうほど、採用条件が緩んでいる。収入を増やす目的で転職を繰り返す人も多い。町にたむろしている『仕事をしているかどうか不明の男性』は、モディ政権前に比べイメージ的には半減している」

――年初からインド株式市場は上昇続きだ。どのような銘柄が注目に値するか。

「銀行や消費、インフラなど内需関連株が望ましい。外需株に比べ、インドの内需成長による果実を直接受け取ることが可能だからだ。ただインド政府は外国人の金融取引に厳しい規制をかけており、現物株の売買は困難。米国預託証券(ADR)などなら売買可能だが、本国の株価と異なる可能性もある。日本の個人投資家なら、内需株を多く組み込んだ投資信託を選択するのが現実的だろう」

中長期的な成長トレンドを維持

2人目はインドの格付け会社クリシルのダルマキルティ・ジョシ チーフエコノミストだ。インドの政府や中央銀行の政策にも関与した経験があり、新聞や電子メディアでも経済の見解を語る大物エコノミストである。

――18年にかけてのインド経済をどうみるか。

クリシルのダルマキルティ・ジョシ チーフエコノミスト

「インド経済はとても良い成長を遂げている。高額紙幣の廃止による一時的な経済後退があったにもかかわらず、17年度は前年度比で0.3ポイント高い7.4%成長を実現しそうだ。低インフレや財政赤字が安全な領域で推移していること、通貨ルピーの安定などが経済成長を支えている」

「消費が経済成長の要だ。経済成長率を見る上で重要なモンスーン(夏の季節風による雨期)は平年並みの降雨量となりそうで、インフレ率は低位にとどまりそうだ。インド準備銀行(中央銀行)の政策金利引き下げにより、各種金利も下がりそうだ。インドは今のところ中国のように過度な借り入れ、信用創造に支えられているわけではない。当面は経済大国として高成長が続くとみている」

――モディ政権の改革は実際のところどうなのか。

「モディ政権は14年の発足当初から大型政策を成功させているわけではない。16年の(破産処理期間を早めて不良債権処理の加速につなげる)『倒産法』と、今年の『GST導入』が2つの鍵となる改革だ。GSTは一時的なショックはあるかもしれないが、長期的には経済の効率性を高め、成長、インフレ、輸出、財政の面で良い影響を与える」

「ただし銀行の不良債権は増える一方、GDPに占める投資の比率は低下する傾向にある。この傾向を変えなければ持続的な成長は見込めない。中小の起業家への支援策も必要だ」

――高額紙幣廃止の政策効果についてはどうか。

「高額紙幣廃止の影響で商品をより安い価格で売る傾向が強まり、食品を中心としたインフレが落ち着いた。また銀行では余剰資金が膨らみ、貸出金利を一段と低下させる方向に作用している」

「電子決済も急速に広がっている。これにより消費の機会が増えればインドの財政にとってもプラスだ。電子決済を広げるには、利用者に対し追加のメリット付与が必要だ」

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