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しゅわしゅわ、シャンパン飲み放題 フリーフロー人気

2017/8/21

シャンパンを時間制で飲み放題にする「フリーフロー」が人気になっている(写真はANAインターコンチネンタルホテル内にあるシャンパン・バー)

泡の立つアルコール飲料が飲み放題、といえばビールを連想する人が多いかもしれない。しかし、近年人気を集めているのが「フリーフロー」。これは主にシャンパンを時間制で飲み放題にするプランにつけられている名称だ。一般的な飲み放題にくらべると料金は高めで、6000円から1万円が主流。実施しているのもホテルのレストランやラウンジが中心となる。

■シャンパンを飲み比べる楽しさ

シャンパンの飲み放題プランを8年前から提供しているのはANAインターコンチネンタルホテル内にあるシャンパン・バー。都内でも草分け的存在だ(ただプラン名に「フリーフロー」という名称は使っていない)。

「2003年10月にシャンパン専門のバーとしてオープンしたのですが、現行のプランはANAインターコンチネンタルホテル東京になってから導入しました」(ANAインターコンチネンタルホテル東京・広報推進担当マネージャーの森直美さん)

ANAインターコンチネンタルホテル東京のシャンパン・バー。カウンターに置かれたシャンパングラスは下から光が当てられ、泡の立ち方も楽しめる

シャンパン・バーはオープン以来、グラス単位でシャンパンを楽しめると人気を集めていた。さらに楽しめるように、当初「ハッピーアワー for Ladies」などのタイトルを付けて、わかりやすい価格設定のお得なプランとして始め、その後改良を加えながら変遷し、現在の「シャンパン・ソーシャル」という飲み放題プランとなった。

料金によって3種類のコースがあり、選べるシャンパンも異なる。最上位の1万2800円(サービス料・税別)のゴールドプランの場合、シャンパンはルイ ロデレール ブリュット プルミエ、ヴーヴ・クリコ イエロー ラベル、テタンジェ ブリュット レゼルヴ、モエ エ シャンドン モエ アンペリアルの4種類に、お任せシャンパン1種類とクリュッグ グラン キュヴェのグラス1杯。これに3種類のタパス(前菜)がつく(9月以降に一部メニュー変更予定)。

著名なシャンパンを飲んだことはあっても、ほかの銘柄との味の違いを行き来しながら飲むのはなかなかできない経験。繊細な泡のなかでも強弱や口当たりの強さを、各メゾンが作るそのシャンパンをおいしく飲める形で作られたオリジナルのグラスで飲むことでより感じられた。

シャンパン・バーの「シャンパン・ソーシャル」では、ブランドごとに作られているロゴ入りのフルートグラスで提供し、比較する楽しみを提供している

週末の予約は1週間前に埋まってしまうほどの人気プランだが、導入時には反対意見もあったという。その1つが「飲み放題で提供することで健康を害することになるのでは」という外国人上層部の危惧だった。実際、日本では当たり前のように存在する「飲み放題」というプランは外国の人にはなじみのないものらしい。シャンパン・バーでは、グラスごとに提供することで、飲み過ぎて体調不良になることのないように配慮しているという。

利用者は3~4人の女性グループが圧倒的に多いが、平日は午後5時から午後10時までと比較的遅くまで利用できることから、ビジネスパーソンの利用も少なくない。定期的に訪れる男性のみのシャンパン愛好家グループもいるという。

料理はアフタヌーンティーセットのようなスタイルで提供。限られたスペースでも、多彩な料理も楽しめる工夫がされている

「シャンパン専門店ならではの、複数の種類を飲み比べられるのが特徴です。異なるブランドのシャンパンを飲み比べることで、お好みの味を見つけていただければと考えています」(森さん)

■カクテルからシャンパンへ

その他のホテルでもフリーフロープランは広がっている。

大手町にあるパレスホテル東京では、1階の「グランド キッチン」のテラス席で「Summer Terrace Gathering」というフリーフロープランを平日限定で実施している(9月29日まで)。4人以上のグループで、午後6時と午後8時半の2時間枠の予約制。料金は1人7000円でスパークリングワインやサングリアなどのドリンクが楽しめる。シャンパンはプラス5000円でローラン・ペリエ ブリュット L・Pをフリーフローに加えられる。

今年のテーマは「夏のギャザリング」。タンドリーチキンや子羊など、スパイスを効かせたメニューをグループでシェアして楽しむパーティスタイルのプランは、水辺で夜風に吹かれるシチュエーションも相まって例年予約が埋まるという

「夏はやはりビアガーデンやバーベキューなど、大勢でワイワイと楽しめるプランが人気ですので、普段ホテルをご利用されない方にもお気軽にお楽しみいただけるようにと始めました。女子会など親しい友人同士でお仕事帰りにご利用くださる方も多くいらっしゃいます」(パレスホテル東京・広報の塩原沙織さん)

帝国ホテル東京でも本館17階にある「インペリアルラウンジ アクア」で、8月31日まで夏季限定のフリーフロープランを実施している。こちらではシャンパンはモエ・エ・シャンドン ブリュット アンぺリアルとバロン・ド・ロスチャイルドの2種類のほか、生ビールやカクテル3種類も選べ、「スモークサーモンとパイナップルのピンチョス」など4種類のアペタイザーがセットになっている(アペタイザー・サービス料・消費税・カバーチャージ込みで6000円)。

8月31日までの実施で、サービス料・消費税・カバーチャージなど込みで6000円とホテルのサービスに慣れていない人でもわかりやすい料金設定にしている

「以前はカクテルを中心としたお飲み物のハッピーアワーを提供しておりましたが、お客様からのリクエストもあり3年前からシャンパンフリーフローに変更、一定料金で軽食も一緒にお楽しみいただけるプランを夏季限定で実施しています。女性の2人利用が約半数を占めております。ほとんどがインターネットからのご予約で、30~40代のご利用が比較的多いです。午後4時から提供していることもあり、ご利用の約半数が午後6時までに入店されております」(帝国ホテル東京ホテル事業統括部・広報課の伊藤千夏さん)

■「写真映え」も重要な要素

フリーフローの人気について、シャンパン専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長の岩瀬大二さんは「シャンパンならなんでもありがたい、という時代から、シャンパンの中でも好きなブランドを楽しむというスタイルが定着した」と分析する。

「リーマン・ショックなどで一時的に落ち込んだことはありながらも、シャンパンは着実に輸入量、金額とも増え続けています。10年前はシャンパンの輸出先として日本は世界で8位程度でした。それが昨年は英国、米国に続いて、ドイツと並んで3位を争うところまで増えています」

岩瀬さんによると、WEBマガジンを立ち上げた10年前はアンケートをとってもライトユーザーが認知しているブランドはごく限られたモノだったという。「しかし、フリーフローが一般的になり始めた3年ほど前から、さまざまなブランドの名前が上がるようになりました」。フリーフローでさまざまなブランドに触れた人たちがさらに新しいブランドを探すようになる。それがシャンパンの売り上げを向上させ、シャンパン生産者の目を日本に向けさせる。「魅力的なビジネス展開ができ、それが消費者、愛好家を喜ばせる。好循環ですね」(岩瀬さん)

フリーフローの普及とともに、「シャンパンは特別な時に飲むもの」という認識も変わりつつある。17年3月に行ったシュワリスタ・ラウンジの調査によると、シャンパン人気をけん引しているのは首都圏、関西都市圏在住で35歳~50歳前後の女性だが、楽しみ方は「自宅で飲む」「同性の知人と飲む」「プレゼント」という回答が多かった。「一時はナイトマーケットでの派手な部分がクローズアップされていましたが、現在はそれも落ち着きを見せ、派手さよりも地に足を着けた大人のたしなみという方向で楽しむ人が増えています」(岩瀬さん)

もう1つ、岩瀬さんがフリーフロー人気を支えているものとして指摘するのが「SNS」だ。

確かに華やかさを持つシャンパーニュは絵になりやすい。シャンパン・バーでさまざまなシャンパンが異なるグラスに注がれる様子を見ながら、写真映えすると感じた。ビールにくらべると口当たりも味わいも試しやすいので、女性やアルコール離れの進む若者でも楽しむことができる、インスタ映えする素材というわけか。

ビアガーデンは楽しみつくしたという男性も、残りの夏はフリーフローで違った泡の世界を体験してみてはどうだろう。ただしビールよりアルコール度数は高いので、くれぐれも飲み過ぎにはご注意を。

(ライター 北本祐子)

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