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なぜ夏に多い「尿路結石」 予防・再発防止のポイント

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一度は経験するという尿路結石。「痛みの王様(king of pain)」の異名を持つほど、激烈な痛みが特徴だ。しかも、約半数の人が再発を繰り返すという、厄介な病気でもある。大口東総合病院泌尿器科部長の松崎純一氏に、尿路結石の原因と治療、再発させないためのポイントを聞いた。

尿が濃縮される夏は、尿路結石のハイシーズン

――尿路結石といえば強烈な痛みが有名です。なぜ尿の中に石ができ、痛くなるのでしょうか。

尿の中には、血液中で不要となった物質(老廃物)が、溶け込んでいます。その成分が固まり、結晶化したものが尿路結石で、多くの場合、腎臓の中にできます。石が腎臓にあるうちはあまり痛くありませんが、尿管に出て途中で挟まると痛みが生じます。9割以上は上部の腎結石、尿管結石で、下のほうの膀胱や尿道に挟まることもあります(図1)。

「石が尿管の壁を傷つけるから痛くなる」と思いがちですが、実はそうではありません。腎臓は24時間ずっと尿を作っているので、尿管に石が挟まって尿の流れが遮断されると、腎臓の内圧が上昇します。すると腎被膜という、腎臓の表面を覆う膜が引き伸ばされて痛みが出るのです。そのため、石が尿管に挟まっている場合でも、痛むのは腎臓そのものです。痛みとして感じるのはわき腹や腰背部で、どんな気丈な人も救急車を呼ばざるを得ないほどの痛みです。さらに、発熱、吐き気、血尿などの症状が出ることもあります。

――夏に多いと聞きますが、なぜですか。

気温の上昇と比例して尿路結石の患者が増えるという統計があり、夏に多いのは確かです。夏は体内の水分が汗として多量に出ていくので、毎日1~1.5リットル出るはずの尿量が少なくなります。尿が濃縮されると、尿中の成分が飽和状態になって結晶化し始めるのです。

男女比が2.4対1と、圧倒的に男性に多いことも尿路結石の特徴です。女性に少ないのは女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンが関係するといわれ、閉経すると女性にも増え始めます。

――結石のもとになる物質の正体は何でしょうか。その物質がたまる原因も教えてください。

結石の成分は数種類あります。8~9割を占めるのがカルシウム結石で、カルシウムと他の物質がくっついて石になるものをいいます。中でも特に多いのがシュウ酸と結合するシュウ酸カルシウム結石です。シュウ酸はほうれん草に含まれることで知られますが、シュウ酸そのものが結晶化するのではなく、カルシウムとくっついて初めて石になります。

尿路結石は、糖尿病、高血圧、痛風、脂質異常症などの生活習慣病の患者に多いことが分かっています。男性の尿路結石患者の40.3%が肥満だという報告もあり、メタボリックシンドロームとも深い関係があります[注1]。理由は、食生活の欧米化です。動物性脂肪の多い食事、例えば、バターやチーズ、卵などを含む食事が続くと、カルシウムやシュウ酸が尿へ溶け出す量が増え、カルシウム結石ができやすくなります。また、尿は本来、弱酸性ですが、こうした食事で尿が酸性に傾くことも、尿路結石に影響するとされます。

小さな石は自然に排出させ、大きな石は手術で砕く

――手術しないで、自然に石を出す方法はありますか。

CTスキャンやレントゲン、超音波などで石の大きさが分かりますが、4mm以下の小さい石なら8割は30~40日で自然に出ます。1日2リットル以上の水分摂取をしながら、縄跳びのような上下運動を行い、さらに薬を使って排出を促します。

薬物療法には、尿管を拡張して石を出しやすくする薬のほか、痛みがあれば鎮痛薬も使います。前立腺肥大症に用いるα1遮断薬という種類の薬も効果が高く、使わないよりは石が出やすくなります。ただし現時点では尿路結石での処方には健康保険(公的医療保険)が適用されません。

――石が自然に出ない場合はどう対処するのですか。

CTスキャンで結石の硬さを把握し、石が軟らかく割れやすい場合には体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、硬い場合は内視鏡治療を行います(表1)。体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、石の場所にピンポイントで焦点を合わせて、体外から衝撃波で砕く治療です。虫眼鏡のように、太陽光を一点だけに集めるようなイメージで石を割ります。砕かれた石は、自然に尿とともに出てくるのを待ちます。

この治療の利点は、日帰りが可能で、痛みも軽く、患者さんの負担が少ないことです。座薬や痛み止めの点滴など、無麻酔に近い状態で実施可能です。しかし、粉々に割れないと途中で詰まって再び激痛が起こるうえ、石を完全に取り除ける内視鏡に比べると再発率が高いのが難点です。

――内視鏡を使う場合は、どうやって石を取り除くのでしょうか。

[注1] 日本尿路結石症学会「第5回尿路結石症全国疫学調査」(2005 年)

内視鏡には、尿道から内視鏡を入れる経尿道的結石破砕術(TUL)と、背中から腎臓に穴を開けて内視鏡を入れる経皮的結石破砕術(PNL)の2つがあります。

このうち、よく行われるのは経尿道的結石破砕術(TUL)です。細くて曲がりやすい内視鏡を使うので、尿道から膀胱を経由し、腎臓の隅々まで届きます。レーザーなどで石を砕き、そのまま体外に除去することができるのが特徴です。ただし、内視鏡手術の成功は医師の腕によるところが大きいため、症例数の多い病院を選ぶことをお勧めします。

――背中から入れるタイプの内視鏡はどんな場合に使うのですか。

ガイドラインでは、結石が2cm以上であれば、背中から腎臓に穴を開けて石を砕く経皮的結石破砕術(PNL)を推奨しています。

大きな石にも対応できるのが利点ですが、腎臓に穴を開けることによる大量出血のリスクが問題です。腎臓では血液をろ過して尿を作っていて、血液が網目のように流れているからです。石が2cm以上であっても、尿道からの経尿道的結石破砕術(TUL)を複数回に分けて行う施設が多いほど難しい手術で、件数は多くありません。日本では体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が年間約2万6000件、経尿道的結石破砕術(TUL)が約2万9000件なのに対し、経皮的結石破砕術(PNL)は2000件を下回っています[注2]

カルシウム結石は半数近くが再発、放置すると腎障害の恐れ

――尿路結石の原因が生活習慣であれば、治療しても再発する可能性は高いのでしょうか。

再発率が高いのが尿路結石の特徴で、カルシウム結石は5年で45%も再発します。予防のポイントは水分摂取と運動、バランスの取れた食事です(表2)。

ほうれん草など、シュウ酸を多く含む食材を避ければいいと思うかもしれませんが、シュウ酸をゼロにすると食べる物がないほど、さまざまな食材に含まれます。そこで有効なのが、食事で牛乳などの乳製品全般や緑黄色野菜、ゴマなどカルシウムを多く含む食品を積極的に摂取することです。食べ物からカルシウムを摂取すると、胃腸の中のシュウ酸とカルシウムがくっついて、便と一緒に排せつされます。そのぶん尿に溶け出すシュウ酸が減り、尿管結石ができにくくなるのです。カルシウム結石なのにカルシウムを摂取するというのは一見矛盾して見えますが、現在ではこれが通説です。

痛みが治まると、患者さんは治ったと思って油断しがちですが、再発するともっと深刻な病気に進行するリスクも高まります。尿路結石よりもその先の病気が怖いのです。

――再発するとどんな病気につながるのでしょうか。

再発しても痛くないからと放置すると結石はどんどん大きくなり、7~8cmにもなれば治療が難しくなるだけでなく、腎臓に石があることで、腎機能がどんどん低下します。大きな石ができている患者さんは慢性腎臓病[注3]になる可能性が高くなります。慢性腎臓病、さらに腎不全に至れば一生人工透析を要することになるのです。また、抗がん剤をはじめ、薬の量はその人の腎機能を考慮して設定するため、腎機能が落ちると、がんなどの大病を患ったときに薬が十分に使えません。

治療後、患者さんには半年に1回の定期通院を勧めていますが、痛みが消えれば安心するのか半数以上の人は再発するまで受診しません。再発を防ぐために定期的に通院して状態をチェックすることがどれだけ重要か、患者さんに理解してもらうのが、われわれ医師の課題です。

[注2] DPC対象病院・準備病院・出来高算定病院の合計治療実績(2015年4月~2016年3月退院患者)

[注3] 慢性腎臓病(CKD):たんぱく尿などの腎臓の障害、もしくはGFR(糸球体ろ過量)60 mL/分/1.73m2 未満の腎機能低下が3カ月以上続く状態。末期の腎不全になれば人工透析や腎移植を要することもある。

●参考資料

日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡学会/日本尿路結石症学会編「尿路結石症診療ガイドライン2013年版」(第2版)

松崎純一さん
 特定医療法人財団慈啓会大口東総合病院泌尿器科部長。1989年横浜市立大学医学部卒業。横須賀共済病院、神奈川県立がんセンター、藤沢市民病院を経て、2002年に大口東総合病院泌尿器科部長に着任。2015年から副院長を兼任し、日本トップクラスの尿路結石手術を牽引している。著書に『経尿道的尿管砕石術-安全・確実なTULの手術手技』(2015年メジカルビュー社) など。「尿路結石症診療ガイドライン2013年版」(第2版)作成委員の1人でもある。

(ライター 田中美香)

[日経Gooday 2017年7月27日付記事を再構成]

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