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なぜ夏に多い「尿路結石」 予防・再発防止のポイント

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2017/8/20

「痛みの王様」の異名を持つ尿路結石は夏がハイシーズン。予防や再発防止のためにできることとは?(c)Maitree Laipitaksin-123rf
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 日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一度は経験するという尿路結石。「痛みの王様(king of pain)」の異名を持つほど、激烈な痛みが特徴だ。しかも、約半数の人が再発を繰り返すという、厄介な病気でもある。大口東総合病院泌尿器科部長の松崎純一氏に、尿路結石の原因と治療、再発させないためのポイントを聞いた。

■尿が濃縮される夏は、尿路結石のハイシーズン

――尿路結石といえば強烈な痛みが有名です。なぜ尿の中に石ができ、痛くなるのでしょうか。

 尿の中には、血液中で不要となった物質(老廃物)が、溶け込んでいます。その成分が固まり、結晶化したものが尿路結石で、多くの場合、腎臓の中にできます。石が腎臓にあるうちはあまり痛くありませんが、尿管に出て途中で挟まると痛みが生じます。9割以上は上部の腎結石、尿管結石で、下のほうの膀胱や尿道に挟まることもあります(図1)。

 「石が尿管の壁を傷つけるから痛くなる」と思いがちですが、実はそうではありません。腎臓は24時間ずっと尿を作っているので、尿管に石が挟まって尿の流れが遮断されると、腎臓の内圧が上昇します。すると腎被膜という、腎臓の表面を覆う膜が引き伸ばされて痛みが出るのです。そのため、石が尿管に挟まっている場合でも、痛むのは腎臓そのものです。痛みとして感じるのはわき腹や腰背部で、どんな気丈な人も救急車を呼ばざるを得ないほどの痛みです。さらに、発熱、吐き気、血尿などの症状が出ることもあります。

――夏に多いと聞きますが、なぜですか。

 気温の上昇と比例して尿路結石の患者が増えるという統計があり、夏に多いのは確かです。夏は体内の水分が汗として多量に出ていくので、毎日1~1.5リットル出るはずの尿量が少なくなります。尿が濃縮されると、尿中の成分が飽和状態になって結晶化し始めるのです。

 男女比が2.4対1と、圧倒的に男性に多いことも尿路結石の特徴です。女性に少ないのは女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンが関係するといわれ、閉経すると女性にも増え始めます。

――結石のもとになる物質の正体は何でしょうか。その物質がたまる原因も教えてください。

 結石の成分は数種類あります。8~9割を占めるのがカルシウム結石で、カルシウムと他の物質がくっついて石になるものをいいます。中でも特に多いのがシュウ酸と結合するシュウ酸カルシウム結石です。シュウ酸はほうれん草に含まれることで知られますが、シュウ酸そのものが結晶化するのではなく、カルシウムとくっついて初めて石になります。

 尿路結石は、糖尿病、高血圧、痛風、脂質異常症などの生活習慣病の患者に多いことが分かっています。男性の尿路結石患者の40.3%が肥満だという報告もあり、メタボリックシンドロームとも深い関係があります[注1]。理由は、食生活の欧米化です。動物性脂肪の多い食事、例えば、バターやチーズ、卵などを含む食事が続くと、カルシウムやシュウ酸が尿へ溶け出す量が増え、カルシウム結石ができやすくなります。また、尿は本来、弱酸性ですが、こうした食事で尿が酸性に傾くことも、尿路結石に影響するとされます。

■小さな石は自然に排出させ、大きな石は手術で砕く

――手術しないで、自然に石を出す方法はありますか。

 CTスキャンやレントゲン、超音波などで石の大きさが分かりますが、4mm以下の小さい石なら8割は30~40日で自然に出ます。1日2リットル以上の水分摂取をしながら、縄跳びのような上下運動を行い、さらに薬を使って排出を促します。

 薬物療法には、尿管を拡張して石を出しやすくする薬のほか、痛みがあれば鎮痛薬も使います。前立腺肥大症に用いるα1遮断薬という種類の薬も効果が高く、使わないよりは石が出やすくなります。ただし現時点では尿路結石での処方には健康保険(公的医療保険)が適用されません。

――石が自然に出ない場合はどう対処するのですか。

 CTスキャンで結石の硬さを把握し、石が軟らかく割れやすい場合には体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、硬い場合は内視鏡治療を行います(表1)。体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、石の場所にピンポイントで焦点を合わせて、体外から衝撃波で砕く治療です。虫眼鏡のように、太陽光を一点だけに集めるようなイメージで石を割ります。砕かれた石は、自然に尿とともに出てくるのを待ちます。

 この治療の利点は、日帰りが可能で、痛みも軽く、患者さんの負担が少ないことです。座薬や痛み止めの点滴など、無麻酔に近い状態で実施可能です。しかし、粉々に割れないと途中で詰まって再び激痛が起こるうえ、石を完全に取り除ける内視鏡に比べると再発率が高いのが難点です。

――内視鏡を使う場合は、どうやって石を取り除くのでしょうか。

[注1] 日本尿路結石症学会「第5回尿路結石症全国疫学調査」(2005 年)

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