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人生を変えるマネーハック

60歳で転職? 人生100年時代、働き方の新常識 人生100年時代をマネーハック(3)

2017/8/21

社会にとっては、65歳から35年もの長期にわたり、社会保障制度が全面的に国民を支えることは困難であり、現役時代の延長が必須です。個人にとっても、35年の長きにわたる老後の生活余裕資金の確保は困難です。社会保障制度は「引退後の20年ほど」をしっかり支えてくれることに専念し、そこを確実にキープすべきです。

公的年金が最低限度の日常生活費を保障するとしても、現役時代43年に対し老後が35年もあったら、1年働くごとに老後の約10カ月分の余裕資金をためなければなりません。現役時代が延び、老後がせめて20年程度に収まればバランスは大きく改善します。

しかし、法律改正で定年を75歳にしたとしても、「何の仕事をして50年も稼ぐか」という問題は残ります。50年ものあいだ安定して働ける職種もなければ、50年まったく陳腐化しないビジネススキルもおそらくないからです。

■働きながら学び直す

転職は現在考えられている以上に、人生100年時代に重要になります。また、そのとき必要になるのは「学校で学んだ知識や今まで獲得したスキル以外」の仕事にも携わるという意識です。

電子メールに始まり、エクセルやパワーポイントのようなビジネスツールは今後も変革していきますので、キャッチアップを意識することはこれからの人生で欠かせません。

しかし、それ以上に考えなければならないのは、自分の働き方そのものを柔軟に変えていくような発想です。35年前の人気業種と今の人気業種は様変わりしました。もしかしたら、今はまだ存在しない企業が35年後の成長分野を切り開き、たくさんの雇用を創出するかもしれません。そのとき、そんな会社で働く力が必要になるのです。

転職35歳限界説というのがかつてありましたが、人生100年時代には転職は60歳になっても成立するものになるでしょう。自分の使えるスキルは生かしつつ、今ないスキルを獲得することもためらわない姿勢がなければ転職は成功しません。

国の政策としては、雇用保険制度などを通じた職業訓練を行い、新しいスキルの習得を促し、新しい業種へ雇用をシフトさせる必要がありますが、個人も意識を変えなければならないでしょう。

人生100年時代の働き方の変化で、苦労することになるのは2000年前後に生まれた「ミレニアム」世代だけではありません。むしろ数十年後に50~60歳代を迎える世代かもしれません。今は30~40歳代の団塊ジュニア世代やゆとり世代も人ごとではないのです。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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