ワークス創業以来の危機 上場廃止を選ばせた「初心」ワークスアプリケーションズの牧野CEO

「優等生ベンチャー」と呼ばれたが…

牧野氏は「ベンチャーの優等生ともてはやされる一方で、悩みは大きくなっていった」と話す

「ワークスは優等生ベンチャーだ」「売り上げが伸びても赤字ではダメだ。ワークスのようになろう」――様々なところで取り上げられました。しかし、自分としては、とてつもない苦痛でした。「利益よりも製品開発にお金を投下すべきだ」「製品がよくなったら顧客にもっと多くの価値を提供できるし、売り上げも伸びるじゃないか」という気持ちは消えませんでした。そうするうちに売上高の伸び率が急激に低下し始めました。

上場後、最高益が出たのが08年6月期でした。売上高は200億円程度、34億円の経常利益が出たけれど、このとき「もう100%無理だ」と思いました。成長が鈍化してくるのがわかり、毎年5%程度の成長しか見込めないだろうと見通せたのです。

私たちには、売上高1000億円という目標がありました。数字にこだわっていたわけではありませんが、統合基幹業務システム(ERP)で競合する独SAPや米オラクルなどを見て、売上高が1000億円なければ投資がまかなえないとわかっていました。それが最低のラインでした。それなのに売上高が200億円あたりで止まってしまいそうな状況だったのです。

成長が鈍化したら、株価も下がり始めました。そうすると、世界的な競合企業から買収の申し入れが相次ぎました。申し入れの条件は「友好的」でしたが、買収後も本当に友好的なままなのか、疑問でした。買収で経営者が変われば、「日本オリジナルの製品はいらないよ」となるかもしれません。海外では、そういう前例がいくつもありました。

私たちは、日本企業の生産性をあげる日本発のERPをつくろうと創業しました。それなのに買収されて当社の製品の販売が中止され、すべて買収先の製品になってしまったら、数百社に上る顧客はどうなるのかと思いました。もし、友好的な買収をのまなければ、次は必ず敵対的なTOB(株式公開買い付け)になるだろうと思いました。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
次のページ
創業以来の危機 最高の「やめどき」でもあった
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら