「名義保険」相続税に注意 契約者と保険料負担者が別申告漏れに税務当局厳しく

2017/8/19

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税務当局が相続税の調査で生命保険の申告漏れに本格的なメスを入れ始めた。特に契約者が実際には保険料を負担していない「名義保険」に関連して申告漏れや課税逃れが目立ち、当局は神経をとがらせる。指摘を受けないためにはどうすればいいのか。

「税務署は生命保険の申告漏れに一段と神経質になってきた」。相続税の申告業務を数多く手掛けるランドマーク税理士法人の清田幸弘代表税理士はいう。

申告が適正かどうかを精査するのが税務調査だ。相続財産の漏れを確認して追徴課税をすることが多い。これまでは特に、親が子供名義の預金口座を作り、資金を移し替えて財産額を減らす「名義預金」に目を光らせてきた。

その名義預金と同じくらい当局が厳しく調べていると言われるのが、いわゆる「名義保険」だ。契約者の名義が子供であるにもかかわらず、親が生前、保険料を実質的に負担していたケースをいう。負担分は本来なら親から子への生前贈与の扱いとなり、課税対象となるべき財産だ。

預金の流れで発覚

保険は契約形態や課税の仕組みが複雑。誰がカネを払っているのか捕捉されにくい金融商品とされる。それをいいことに「課税逃れの手立てとして悪用する人が後を絶たない」(阿保秋声税理士)。多額の保険料を一括で払い込むタイプの終身保険で目立つという。

図Aは、税務調査で申告漏れを指摘された事例を財産の種目別に集計したもの。生命保険は「その他」(36%)に含まれ詳細は不明だが、複数の元税務署員は「ウエートは比較的高い」とみる。

名義保険について詳しく見ていく前に、死亡保険の契約形態と税金の関係を図Bで確認しておこう。父が多額の財産を抱え、相続が起きたときは、その長男らが引き継ぐという想定だ。

まず、契約形態でよくあるのがaのパターンだろう。契約者である父が自らを被保険者とし、長男らを受取人に指定していた場合だ。被保険者とは、その人が亡くなると保険金の支払いが発生する人物をいう。

この場合、父の死亡、つまり、相続の発生によって長男は保険金を現実に手にする。このため相続財産の一部として認識しやすく、申告漏れを避けやすい。

これに対して、うっかりミスで申告漏れが起きやすいのがcだ。被保険者が父以外の人(表では長男)になっており、父が死亡し相続が起きても保険金は下りないため油断しがちだ。

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