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積立王子のヤング投資入門

一発大勝ちと欲張るな 分散でリスク減らして安心投資 積立王子のヤング投資入門(5)

2017/8/10

 ヤング世代はもちろん、すべての生活者が実践していきたい新時代の投資行動3原則といえば「長期・積立・分散」投資です。前々回は「長期って何年? 答えられたら長期投資じゃない」で最初の「長期」を取り上げ、時間をかけて投資対象の成長からお金を育てていくことの意義を学びました。前回は「下げても買いの積立投資家 手に汗握らず、長期で成果」で「積立」を取り上げ、積立投資は価格下落時の恐怖を和らげる優れた精神安定剤であり、長期投資を続けていくための最適な行動プロセスであると解説しました。となれば今回は「分散」の効果を学んでいく番ですね。

 さて資産運用のイロハを語る格言の中に、「卵を一つのカゴに盛るな」というフレーズがあります。これは上のイメージ写真の通りで、もしうっかり手が滑ってカゴを落としてしまったら、卵はすべて粉々ですね。カゴを落とさないまでも、こういう管理をしていたら地震や衝撃でも卵は半分くらい割れてしまうかもしれません。なので卵の場合は、1カ所に固めずいろいろなところに分けて入れておけば、すべて木っ端みじんという確率をぐっと小さくすることができます。

 すなわちこの格言の意味は、「一つの資産に集中投資すると大きな損失を負う可能性が大きくなるので、分散投資をして、その可能性を減らしなさい」ということになります。この大きな損失を負う可能性は「リスク」と定義できますから、分散投資の最大のメリットはリスク軽減効果だといえます。

 ここでもう一つ、金融の世界には「リスクとリターンはトレードオフ」という重要な定理があります。トレードオフとは二律背反と訳され、この場合、リスクを小さくするということは期待リターンも相応に下がりますよ、という法則のことです。収益が小さくなると言われて喜ぶ人はいないと思いますが、後述するように、長期投資では「それでいい」のです。

■集中投資すると何が起こるか

 実例に即して言えば、かつて日本航空という会社が経営破綻しました(2010年)。当時、筆者の知人に「投資できる資金の全てを日航の株式に注ぎ込み、後生大事に持ち続けている人」がいました。値上がり益を狙ったというよりは株主優待券が目当てだったようで、その優待券を使って出張に行き、会社からは正規の出張旅費をもらって差額をピンハネしていたのです。でも彼の懐が潤っていたのはしばらくの間で、結局、株式の価値がゼロになって大事な資産のほとんどを失ってしまい、周りからも「そんなセコいことをしているから自業自得だ」とバカにされていました。ピンハネうんぬんは別として、これが一つの資産への集中投資で被る最大のリスクです。

 このリスクを軽減させる方法のうち代表的なのが、投資する対象を分散させることです。株式も複数銘柄に分けて持っていれば、一つの銘柄が大きく値上がりしたときに得られるリターンは少なくなる(期待リターンは下がる)代わりに、一つの銘柄が日航のように株価ゼロ円になっても、全体では被る損失を小さくすることができますよね。つまり分散投資の意義は、一発大勝ちなどと欲張らずに、リスクを減らしてそれに見合うリターンを目指すことで、投資を続けられなくなるような大きな損失を負う恐れを軽減できる、というところにあるのです。「長期」の回で見たように本当の投資には時間がかかりますから、成果を得るためには個人投資家は退場させられないよう、できるだけ長くマーケットに居続けなければなりません。それには分散投資で「細く長く」が効くのです。

■資産クラス、地域…分散も様々

 さて分散投資とひと口に言っても、単純な銘柄分散だけではなく、株式・債券など「資産クラスの分散」や、国内だけでなく海外資産へも投資する「地域の分散」などさまざまな手法があります。とりわけ金融庁が日本の生活者に勧めているのが、米国・欧州・日本・新興国など世界中に分散して資産配分する「国際分散投資」のポートフォリオです。

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