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3週間後でも抜きたてワイン 風味落ちない魔法の道具

2017/8/18

また、コラヴァン専用のニードルには3種類あり、標準装備されている「スタンダードニードル」、より太い針を使用し速く注げる「ファスターニードル」、そしてもろいヴィンテージコルク用に針を細くした「ヴィンテージコルクニードル」がある(別売り)。榎本さんの場合は、1986年の熟成赤ワインに標準のニードルを使用したところ、コルクに針がささらずコルクが落ちそうになったことも。コルクがもろくなった熟成ワインには、径の細いヴィンテージコルク専用のニードルを使用し、注意してサービスする必要がありそうだ。

(3)美しく注ぐには慣れが必要

さらに、実際使ってみてわかったのだが、スマートに注ぐには少々コツがいる。ガスを一押し注入してワイン1杯分できれいにストップすればいいが、液体が出ている途中でボトルを縦に戻すとワインの滴がうまく切れずに跳ねてしまうことがある。

高級ワインは必ずお客様の前でサービスする中本さんは、コラヴァンを使うときは、注ぐときに出る音に気を使うという。ガスを使うため、どうしても「シューッ」というダース・ベイダーが呼吸するときのような音が出てしまうのだ。他のテーブルの客からは何事かと思われかねない。

■コラヴァンを試してみた

レストランやワインバーでの利用例を見てきたが、実際にコラヴァンの実力はどの程度なのだろうか。コラヴァンと3本のワインを用意し、比較試飲を行うことにした。

用意したワイン 
(1)通常どおり抜栓(3週間前)
(2)コラヴァン使用(3週間前)
(3)抜栓直後
左から(1)3週間前に抜栓、(2)コラヴァンで3週間前に抽出、(3)新しいボトル
▼キャッスル・ロック ロス・カーネロス ピノ・ノワール2012
小売り価格:2700円(税抜き) 
輸入元:布袋ワインズ TEL03-5789-2728

まず準備段階として、3週間前に2本のワインを抜栓した。ひとつはソムリエナイフで通常どおり抜栓、もう一つはコラヴァンを使ってワインを1杯ずつ抽出した。抜栓したものはその後、ゴムの栓をして冷蔵庫で保存、コラヴァンで注いだものは13度のワインセラーに入れて保存した。

この2本を、抜栓直後のボトルと比べるというのが今回の実験だ。どれくらい味わいは変わっているのだろうか。

左から(1)~(3)。写真ではわかりにくいが、3週間前に開けた(1)は、色が黒ずみ、褐色化している

「コラヴァン、すごい!」

試飲に参加した5人全員、満場一致で納得するほどコラヴァンの効果は絶大だった。開けたてのボトルと比べて、コラヴァンを使用したものは、多少風味の違いがあった。ただ、酸化による劣化ではなく、ボトル間の違いと区別するのが難しい程度の違いであり、開けたてのボトルと遜色ない味わいを保っていた。

一方、3週間前に抜栓したワインは酸化し、紹興酒のような風味に変化してしまっていた。一口飲んだら、もうそれ以上は飲む気になれなかった。試飲した中には、ワインに詳しくない人もいたが、その違いは誰にでも明白すぎるほどだった。

■日本のグラスワイン文化を変えていくか?

コラヴァンはスクリューキャップや人工コルク、スパークリングワインには使用できないのが弱点だったが、つい先日米国で、スクリューキャップに対応する製品「Coravin Screw Cap」を発表するなど、さらなる改良を行っている。多少の課題はあっても、ワインを酸化させずに保存できるメリットは絶大。コラヴァンがあれば、自宅で何種類もグラスワインを楽しめたり、レストランで高級ワインをグラスで飲めるようになったり、ますますワインの楽しみ方が広がりそうだ。

水上彩

シャンパンと日本ワインを愛するライター。ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身した。最近は、毎日着物生活をめざして「きものでワイン」の日々を送っている。ワインの国際資格WSETのDiploma取得に挑戦中。

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