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3週間後でも抜きたてワイン 風味落ちない魔法の道具

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ワインのコルクを開けるとき、「1本は飲みきれないし、今日はやめておこう」とためらった経験はないだろうか。ワインは空気に触れると酸化が始まり、栓をしても翌日には味わいが落ちてしまうこともある。結局残ったワインを無駄にしてしまったり、「もったいないから、全部飲みきってしまおう」とつい飲み過ぎてしまうことも。そんな悩みを解消してくれる画期的なワインセーバー「コラヴァン」が2017年4月、日本に上陸した。

窒素ガスでワインを酸化から守る

「コラヴァン」は、ワインのコルクを開けずに専用のニードルを通してワインを注ぐ。瓶内できたスペースを不活性ガスで満たすことによってワインの酸化を防ぐ。2013年に米国でコラヴァン社を創業したグレッグ・ランブレヒトさんは、奥さんが妊娠中に「1人で飲むときもグラス単位でワインを楽しみたい」とコラヴァンのアイデアを思いついた。有名なワイン評論家であるロバート・パーカー氏が「この35年のワイン業界における最も画期的な発明だ」と絶賛したこともあり、今では世界中で愛用される。日本での発売は世界51番目となる。

使い方は、まず窒素ガスの入ったカートリッジをコラヴァン本体に装着する。ワインを注ぐには、コルクにニードルをさし、ボトルを傾けてトリガーを押し放すとワインが注ぎ口から出てくる。ニードルを通して瓶内に窒素ガスが入り、そのガス圧がワインを押し出すというしくみだ。

キャップシールを剥がしてコルクを抜く手間も省けるし、ワインの抜栓が苦手でも簡単に扱える。注いだ後はニードルを抜いたら、まだ開けていないワインと同じように保存できる。ワインセラーで横に寝かせておいてもワインが漏れることはない。

ただ、日本版コラヴァンは海外版と一つ違う点がある。日本以外で使われているコラヴァンはアルゴンガスを使っているのだ。日本でコラヴァンの導入が遅れたのは、アルゴンの食品への使用が日本で認可されていないためだ。

窒素でもアルゴンでも酸化防止の効果はほぼ同じだというが、窒素はアルゴンと違い空気より軽いので、針をさしっぱなしにしていると、その針とコルクの隙間から窒素が漏れ出てしまうので、使い終わったらすぐにニードルを外す必要がある。

三つ星レストランでもグラスワインに利用

日本のワインの現場でも早速利用が始まっている。ミシュラン三つ星レストラン「ロオジエ」シェフソムリエであり日本ソムリエ協会の副会長をつとめる中本聡文さんは、コラヴァンを率先して店に導入した一人だ。

コース料理に合わせてグラスワインを多くそろえる「ロオジエ」では、熟成ワインや高級ワインなどデリケートなワインを扱うため、昼に抜栓したワインが夜には味わいが変わっていることもある。複数のグラスワインを用意する必要性から、コラヴァンの導入を心待ちにしていたという。

高級ワインをグラスサービスすることでワイン愛好家に根強い人気を誇るワインバー「IZAKAYA VIN」の分店「ゴーディショ」でも早速コラヴァンを導入した。ソムリエールの榎本裕子さんは、「今までは予約状況や来店するお客様の好みによって抜栓するワインを考えていましたが、今はもっと自由にワインを開けられるようになった。次の日がお休みの場合でも、コラヴァンがあれば気にせず開けちゃいます」と話してくれた。「グラスでいいワインを1杯だけ飲みたい」というお客様にも好評だという。

また、ボトルを寝かせて保管できるのも筆者にとってはうれしいポイント。コルクを抜栓してしまったワインは、たとえ栓をしても横にするとワインが漏れてしまう可能性があるため、ワインセラーや冷蔵庫内で立てて保管する必要がある。コラヴァンの場合、それまでワインセラーに保管してあったのと同じ状態に戻せるので、場所を取らずに済む。

だが、魔法の道具はメリットばかりではないようだ。

まずは、コストの問題。本体が6万5000円(税抜き、以下同)もする[注]。17年8月10日には3万9880円の「コラヴァン モデル1」が追加で発売され、だいぶ安く使えるようになったが、どちらにしても安価な商品ではない。

[注]機種名は「モデル2」で色は黒のみ。赤とシルバー、限定のローズゴールドの機種は「モデル2エリート」で6万8000円。機能に違いはない。

これにプラスして、ランニングコストがかかる。窒素ガスのカートリッジは1本1500円。ガス1本でボトル約2~3本に使用可能ということなので、ボトル当たり500~750円程度のガス代がプラスされる。

ガス代を考えると、使用するワインも選んだ方が良さそうだ。カジュアルなワインではメリットが少なくなるし、若いワインで2、3日で飲んでしまうならコラヴァンを使う必要性もない。実際、美食の町として知られるスペインバスク地方・ビルバオのバルのソムリエは「ワインに力を入れているレストランやバーでは利用が進んでいるが、カジュアルなバルではあまり使われていない」と話していた。人の回転もワインの消費量も多いバーでは、コラヴァンを使って保存するまでもなく、ワインが売り切れることも多いからだ。

コストをかけてもいい状態をキープしたい高級ワインがコスト的には向くが、一方で熟成した赤ワインにコラヴァンを使用する場合、下に説明するような注意が必要だ。

(1)澱(おり)に注意

まず、熟成した赤ワインは、ボトルの底に澱がたまっている。通常、澱が舞わないようワインはできるだけ動かさずにそっと扱い、グラスを傾けて静かに注ぎたいところ。だが、コラヴァンではワインを注ぐときには、ニードルの先がワインにつかるようにボトルをしっかり横に傾ける必要があるので、澱が舞いやすく、ワインが濁る可能性もある。「古いワインだと澱ができるだけ入らないよう傾ける角度などにも気を使うため、サービスに時間がかかる」(榎本さん)

(2)古いコルクに注意

熟成したワインは天然コルクがもろくなっている。ロオジエの中本さんが、1989年の熟成赤ワイン(ロマネサンヴィヴァン)に使用したところ、瓶口とコルクの間からガスが漏れ出てきてしまったそうだ。年月がたちコルクが弱くなってきたワインには、ガス圧に耐えられず、そこからワインも噴き出してしまう可能性もある。

また、コラヴァン専用のニードルには3種類あり、標準装備されている「スタンダードニードル」、より太い針を使用し速く注げる「ファスターニードル」、そしてもろいヴィンテージコルク用に針を細くした「ヴィンテージコルクニードル」がある(別売り)。榎本さんの場合は、1986年の熟成赤ワインに標準のニードルを使用したところ、コルクに針がささらずコルクが落ちそうになったことも。コルクがもろくなった熟成ワインには、径の細いヴィンテージコルク専用のニードルを使用し、注意してサービスする必要がありそうだ。

(3)美しく注ぐには慣れが必要

さらに、実際使ってみてわかったのだが、スマートに注ぐには少々コツがいる。ガスを一押し注入してワイン1杯分できれいにストップすればいいが、液体が出ている途中でボトルを縦に戻すとワインの滴がうまく切れずに跳ねてしまうことがある。

高級ワインは必ずお客様の前でサービスする中本さんは、コラヴァンを使うときは、注ぐときに出る音に気を使うという。ガスを使うため、どうしても「シューッ」というダース・ベイダーが呼吸するときのような音が出てしまうのだ。他のテーブルの客からは何事かと思われかねない。

コラヴァンを試してみた

レストランやワインバーでの利用例を見てきたが、実際にコラヴァンの実力はどの程度なのだろうか。コラヴァンと3本のワインを用意し、比較試飲を行うことにした。

用意したワイン 
 (1)通常どおり抜栓(3週間前)
 (2)コラヴァン使用(3週間前)
 (3)抜栓直後
▼キャッスル・ロック ロス・カーネロス ピノ・ノワール2012
小売り価格:2700円(税抜き) 
輸入元:布袋ワインズ TEL03-5789-2728

まず準備段階として、3週間前に2本のワインを抜栓した。ひとつはソムリエナイフで通常どおり抜栓、もう一つはコラヴァンを使ってワインを1杯ずつ抽出した。抜栓したものはその後、ゴムの栓をして冷蔵庫で保存、コラヴァンで注いだものは13度のワインセラーに入れて保存した。

この2本を、抜栓直後のボトルと比べるというのが今回の実験だ。どれくらい味わいは変わっているのだろうか。

「コラヴァン、すごい!」

試飲に参加した5人全員、満場一致で納得するほどコラヴァンの効果は絶大だった。開けたてのボトルと比べて、コラヴァンを使用したものは、多少風味の違いがあった。ただ、酸化による劣化ではなく、ボトル間の違いと区別するのが難しい程度の違いであり、開けたてのボトルと遜色ない味わいを保っていた。

一方、3週間前に抜栓したワインは酸化し、紹興酒のような風味に変化してしまっていた。一口飲んだら、もうそれ以上は飲む気になれなかった。試飲した中には、ワインに詳しくない人もいたが、その違いは誰にでも明白すぎるほどだった。

日本のグラスワイン文化を変えていくか?

コラヴァンはスクリューキャップや人工コルク、スパークリングワインには使用できないのが弱点だったが、つい先日米国で、スクリューキャップに対応する製品「Coravin Screw Cap」を発表するなど、さらなる改良を行っている。多少の課題はあっても、ワインを酸化させずに保存できるメリットは絶大。コラヴァンがあれば、自宅で何種類もグラスワインを楽しめたり、レストランで高級ワインをグラスで飲めるようになったり、ますますワインの楽しみ方が広がりそうだ。

水上彩

 シャンパンと日本ワインを愛するライター。ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身した。最近は、毎日着物生活をめざして「きものでワイン」の日々を送っている。ワインの国際資格WSETのDiploma取得に挑戦中。

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