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長時間フライト時はご用心 不調予防に水分補給を エコノミークラス症候群は予防が肝心!

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2017/8/10

飛行機のエコノミークラスに乗った人だけに発症するわけではないので、最近は「ロングフライト症候群」と呼ばれている(C)fred goldstein 123-rf
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 休暇に旅行で長時間のフライトを予定している人もいるだろう。そんな方々に気をつけてほしいのが「エコノミークラス症候群」。発症のメカニズムが明らかになっているため、十分な注意と対策で防ぐことが可能だ。心臓血管外科医で北青山Dクリニック院長の阿保義久医師に、発症のメカニズムや予防法を聞いた。

■現在は「ロングフライト症候群」に改称

 そもそもエコノミークラス症候群とはどのような病態を指すのだろうか。

 まず名称についてだが、「エコノミークラス症候群」は、飛行機の狭い座席に長時間座ったままでいると発症しやすいことからこの呼び名が一般的に知られるようになった。2004年の新潟県中越地震では、自動車内で寝泊まりをしていた人をはじめとする避難生活者に、この「エコノミークラス症候群」を発症する人が多かったことで注目を集めた。

 2016年の熊本地震に関連する報道でも「エコノミークラス症候群」とされていることが多かったが、「実際には、飛行機の座席の種別に関係なく、長時間のフライトで発症するリスクが高まるため、現在では『ロングフライト症候群』に改められています」(阿保医師)という。ただ、ここでは一般読者になじみやすい「エコノミークラス症候群」として話していこう。

■長時間足を動かさず血液の流れが悪くなることが原因

 最初に理解していただきたいのは、「エコノミークラス症候群」は医学的には2つの病態をあわせた概念であるということだ。

 分かりやすく説明すると、下肢の深部静脈(足の筋肉より内側にある太い血管)に血の塊(血栓)ができる「深部静脈血栓症」の状態と、静脈にできた血栓が血流に乗って肺に飛び、肺の動脈を詰まらせる(塞栓)「肺血栓塞栓症」の状態をあわせて「エコノミークラス症候群」と呼んでいる。つまり、「血栓ができただけでは『深部静脈血栓症』、それに連動して、血栓が肺の動脈を塞ぐと『肺血栓塞栓症』となる」(阿保医師)わけだ。

 「エコノミークラス症候群」の発症のメカニズムを理解するには、次に簡単に血液循環の仕組みを押さえておきたい。

 全身を流れてきた二酸化炭素を多く含む血液は静脈によって運ばれ、大静脈から心臓の右側(右心房)に入って右心室から肺に送り込まれて酸素化される。その後、酸素を多く含む血液は心臓の左側(左心房)に戻って左心室から大動脈を介して全身へと運ばれていく(図1)。また、血液には、固まらせる「凝固」という性質と、溶かす「線容」という性質とがあり、このバランスが保たれることで、血液は固まることなく血管の中をスムーズに循環する。

図1 血液循環の仕組み

 下肢の血液は、ふくらはぎなどの足の筋肉を動かすことで、それがポンプの役目を果たして、心臓に戻っていく。ところが、長時間同じ姿勢で足を動かさないでいると、血流が悪くなって、血液が凝固のほうへ傾き、血栓ができやすくなる。血栓ができてしまうと、その後に動いたときなどに血流に乗って肺へ運ばれ、肺の動脈を詰まらせることにつながる。

 「とくに、座ったままの姿勢は、下腹部の腸骨静脈などを圧迫するので、血液がうっ滞して、より血栓ができやすくなります」(阿保医師)。肥満傾向のある人がエコノミークラス症候群のリスクが高いといわれるのは、座ったときに自身の重みで腸骨静脈が圧迫されやすいためだ。

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