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働くシニアの「年金の心得」 収入が多いと減額も!? 受給時期の繰り下げで最大142%増額

2017/8/13

PIXTA

 定年と同時に仕事を辞める人は今や少数派。60歳以降も働き続けるシニアは今後も増えそうだ。豊かな老後を送るには長く働いて収入を得るのが効果的だが、公的年金の知識も欠かせない。働き方などによって年金の額が変わる仕組みがあるからだ。働くシニアに必要な年金心得とは――。

 「定年前の会社員らを対象にした年金セミナーでは『在職老齢年金』について必ず話す。説明すると驚く人もいる」と社会保険労務士の望月厚子氏は苦笑する。在職老齢年金という名称からは、働き続けると特別にもらえる年金などを連想しがちだが、実はその逆。頑張って働くとかえって年金額が減る仕組みだ。

■65歳を境に違い

 制度は65歳を境に計算方法が異なる(図A)。基準となる額は65歳未満で28万円、65歳以上で46万円。平均の「月収」と、通常であれば受け取れる「年金月額」の合計が、基準額を上回ると、超過額の半分が年金額から差し引かれる。65歳以上だと基準額が高いので、企業役員のように収入がかなり多くないと減額の対象にはならない。

 注意したいのは65歳未満で「特別支給の老齢厚生年金」をもらう人たちだ。「特別支給の月額は平均で約10万円、大企業に勤めていれば12万~13万円ほど。もし月収が15万~20万円あれば基準に引っ掛かってしまう」(社会保険労務士の森本幸人氏)。計算上、年金月額が例えば10万円の人は月収が38万円を超えると年金額はゼロになる。

 減った分は「将来、完全にリタイアした後にまとめて支給されると勘違いしている人もいるが、戻ってくることはない」(望月氏)。特別支給の開始年齢は段階的に引き上げられており、今年4月以降の定年者では男性が63歳に上昇。女性は現状60歳で、キャリアが長く高収入の人は減額の影響を受けやすいだろう。最初の心得としてこの減額の仕組みを挙げたい。

 在職老齢年金は、60歳以降も働いて保険料を納付する厚生年金加入者を対象とする制度だ。目先の損得にこだわるなら、厚生年金に加入せずに働く手もある。だが「多く働けば月々の収入は増えるし、辞めた後に受け取る年金も増える。長生きしたときの経済的リスクへの防御策になる」と森本氏は指摘する。

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