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あせもができる前に、湿った状態を放置して蒸らさないように、ときどき風を通すことを心がけてください。汗の蒸発を促しやすい、つまり吸湿性が良く湿ったあとでも乾きやすい素材の衣類を選ぶことも大切です。最近は新素材を使った高機能な下着なども多く市販されていますから、そういったものを利用するのもよいと思います。

日本人は吸湿性の良い綿を好む傾向があるようです。綿ももちろんよいのですが、皮膚表面に汗を残さないという意味では、「肌に密着したポリエステル」を選ぶほうが綿よりも水分を素早く吸収・放散するため汗の蒸発で奪われる気化熱がより多く、体温調節に貢献しているという報告もあります[注3]。アスリートのユニホームも最近は密着したポリエステルに変わってきていますね。

汗はかいたほうがいい!かかないとドライスキンに!?

――先生はアトピー性皮膚炎で汗をかけない人に対しても、できるだけ汗をかくことを目標に指導されるということでした(「『汗かき下手』は肌トラブルのもと 汗の意外な役割」参照)。一般の人も上記のような対策をしながら、どんどん汗をかいていくほうがよいのですね。

運動など、汗をかく習慣を持つことが重要(c)maridav-123rf

そうですね。これはあくまでも推測ですが、本来なら、汗をかけるはずの年代であっても、空調環境下で過ごすことが多く汗をかく機会が少なくなると、汗をかけなくなって肌もドライな方向に進むのではないかと思います。汗を毛嫌いせず、定期的に運動するなど、きちんと汗をかくような習慣を持つことが重要です。

私たちは生まれつき200万~500万個の汗腺を全身に持っています。汗腺の数自体は生涯変わることはないのですが、生まれてきたときはほとんど汗を出せず、成長の過程で、体を動かす、泣く、温度環境にさらされるといったことによって徐々に汗腺が発達して汗がかけるようになっていきます。3歳くらいまでのこの発達の過程で、汗を出す「能動汗腺」と汗を出さない「不能汗腺」の割合が決まってくるといわれています。

そして汗がかけるようになってくると、子ども時代はどんどん汗が出て12歳ごろがピークで、成人の2倍くらい汗をかきます。40代を超えると徐々に発汗能力が失われていき、高齢者はかなり発汗量が減ります。発汗能力は最初は足から失われていき、スネの乾燥を自覚する人が増えてきます。次は背中、体幹、頭は最後まで発汗能力が残ります。

汗はいろいろな意味でライフスタイルの影響を受けています。汗腺は筋肉の膜に囲まれているので、足腰の筋肉と同じで動かなくなると衰えるのだろうと考えられます。しかし、筋肉がトレーニングで発達するように、いったん能動化した汗腺は運動などでしっかり汗をかいて使うべき機能を使うようにすればまた汗がかけるようになります。汗をかきやすい季節だからこそ、上手にかいて上手にケアするなど、うまく汗と付き合ってほしいと思います。

[注3]平田耕造ほか 「被服による皮膚圧迫が体温調節反応に及ぼす影響」 デサントスポーツ科学 2003;24:3-14.

室田浩之さん
大阪大学医学部皮膚科学教室准教授。1995年長崎大学医学部卒業、2002年長崎大学大学院修了。国立療養所川棚病院(現長崎川棚医療センター)、長崎大学医学部附属病院(現長崎大学病院)などを経て、2004年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学教室助手となり、アトピー性皮膚炎専門外来などを担当してきた。日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版の作成委員と分担執筆を担当。

(ライター 塚越小枝子)

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