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東芝レグザのそっくりさん ジェネリック家電は買いか

西田宗千佳のデジタル未来図

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NIKKEI STYLE

数年前からネットなどで「ジェネリック家電」という言葉を目にすることが増えた。特定流通で販売される、低価格な家電製品のことをそう呼ぶことが多いようだ。医薬品の「ジェネリック」から転じた名称だ。「ジェネリック家電」も、価格は安いが機能はブランド機種と変わらないのだろうか。

ジェネリック医薬品は、医薬品の特許が切れた後、他社が同じ有効成分で製造した「後発薬」と呼ばれるもの。価格は安いが、効き目はこれまでの薬と変わりない。

実は幻想だった「ジェネリックREGZA」

最近の例で見てみよう。

2017年6月にドン・キホーテが売り出した「5万4800円」の4Kテレビが話題になった。3000台がまたたくまに完売。7月に1400台増産されたが、それで打ちきりであり、同じものはもう手に入らない。

この製品が注目を集めた理由は、4Kテレビとしては価格が安いことに加え、人気ブランド「REGZA」のユーザーインターフェースにそっくりだったからだ。実際、メインボードとそれを動かすソフトの部分は、REGZAを販売・開発している東芝映像ソリューション製なので、似ているのも当然だ。REGZAに似たものがREGZAの3分の1の価格で手に入る。だから「ジェネリックREGZA」などと呼ばれ、人気が沸騰したのである。

だが、「ジェネリックREGZA」の機能はREGZAの4Kテレビとは大きく違う。メインボードは東芝映像ソリューション製だが、REGZAに入っている高画質化エンジンである「レグザエンジン」は搭載されていない。だから、画質はかなり異なっている。例えば、4Kテレビには必須といわれる、2Kの映像を4Kで見ても見劣りしない高画質なものにする「超解像技術」が搭載されていない。また、NetflixやAmazon Prime Videoなどの映像配信を見る機能や、全チャンネル録画などの付加的な機能もない。REGZA、特に4K REGZAのブランド価値を構成している部分はやはり本物のREGZAにしか搭載されておらず、同等の機能とはとてもいえない。「ジェネリックREGZA」と呼んでしまったのはユーザーの思い込み、といっていい。

「メーカー名の見えないテレビ」が増えている

では、なぜドン・キホーテから「東芝映像ソリューションの技術を使ったテレビ」が出たのか?

実はこのようなことは珍しくない。

ドン・キホーテなど、ディスカウントストアでは大手メーカー製以外のテレビが目立つ。そういったテレビは、テレビの製造を担当する「裏方」のような、製造専業のメーカーが作っている場合が多い。正確には、低価格専業の企画企業が、製造専業の企業に依頼して製品化し、量販店に売り込む形で世に出て行く。

テレビを作るには様々な部品が必要だ。液晶などのディスプレーパネルのほか、チューナーやスピーカーや処理用LSIなど、必要なパーツは多岐にわたる。このうちチューナーなど、放送を受信するのに必須のパーツを作るのは意外と面倒だ。特に日本の放送は独自の部分が多く、ノウハウのない企業に低価格なものを作るのは難しい。そこで出てくるのが「外販」である。東芝映像ソリューションは、いくつものテレビメーカーに、そうした中核部品と、それを動かすためのソフトウエアを提供している。ドン・キホーテのテレビにも東芝映像ソリューションの部品とソフトウエアが使われており、ユーザーインターフェースがREGZAに似ていたのもこのためである。

前述のように、このソフトウエアには「レグザエンジン」も「超解像技術」も含まれていない。基本機能は同じでも同じクオリティーにはならない。価格差には、それだけの意味があるのである。

低価格品では差はほとんどなくなる

しかし、4Kテレビといったハイエンドのモデルではなく、普及価格帯のモデルの話になると「メーカーのブランド」と「機能差別化」の関係は変わってくる。大手メーカーといえども低価格品では製造専業メーカーに委託して作ることがあるからだ。

例えば、三菱電機のテレビのうち多くの部分を、現在は船井電機が生産している。東芝のレコーダーも、過去には東芝自身が設計製造していたが、現在は船井電機との共同開発で、生産は船井電機が担当している。

船井電機は長く自社ブランドのテレビを国内で販売してこなかったが、17年に、ヤマダ電機と組んで「FUNAI」ブランドテレビの販売を始めた。大手ブランドと対抗するのではなく、ヤマダ電機のプライベートブランドとしてFUNAIの名前を使っているようなものだ。

家電の「価格の価値」をもっとわかりやすく

ハイエンドなテレビは質がいいが、その質は、きちんと説明されないとわかりづらい部分が多い。わかれば圧倒的に違うのだが、それを気付かせることを、メーカー側はできているだろうか。それが十分にできていないからこそ「ジェネリックREGZA」といった言葉が独り歩きするのではないだろうか。

人々が家電に求めるものは多様化している。「長く使える良いモノを」と思い、ハイエンドの家電を買ってくれる人はもちろんいるが、一方で、「どうせすぐに買い換えるので、高いものはいらない」という人も増えてきた。残念ながら、昔ほど高い家電を買う余力がない人も増えている。

その中で、「価値と価格のバランス」がわかりやすい製品が求められるようになっているのは事実であり、そこでは誰にでもわかる「価格」「パネル解像度」といった仕様で選ばれやすい。

筆者は、個人的見解としては超解像などの高画質化機能の弱い4Kテレビを買うべきではない、と思っている。2Kとの差があまりにも小さいからだ。きちんとした高画質化機能のある4Kテレビではまだメーカー間の違いも大きい。だから、「ジェネリックREGZA」をあまり評価しない。

しかし、最初から4Kの解像度を持つゲームやUltra HD Blu-rayの視聴が目的であるなら、超解像機能の価値はそこまで大きくない。ネット配信の4Kコンテンツも同様だ。「テレビ」に大きな付加価値を求めない人にとっては、ハイエンド4Kテレビは「過剰」に思えるのだろう。そういったユーザーであれば、低価格な4Kテレビは魅力的だろう。

家電とコストのバランスの変化にメーカーと量販店がどう対応するか。それが「ジェネリック家電」と呼ばれるものの正体だ。ほとんどは単に「安い家電」がそう呼ばれるだけである。だが、安いだけの製品は長く売れない。家電の価格の価値はどこにあるのか、コストパフォーマンスのために割り切ったのはどこなのかをきちんと伝えることが、今求められていることなのではないだろうか。

西田宗千佳
 フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

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