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MVNO拡大、カギ握る実店舗 楽天の担当役員に直撃

佐野正弘のモバイル最前線

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NIKKEI STYLE

格安な料金で利用者を急速に増やしているMVNO(仮想移動通信事業者)。だがその弱点として指摘されるのが、SIMを購入して開通できる実店舗が少ないこと。その中で「楽天モバイル」は、MVNOとしては多い45店[注1]の実店舗を持ち、さらに拡大しようとしている。

[注1]2017年7月28日時点

楽天モバイルを運営する、楽天の通信&メディアカンパニー楽天モバイル事業担当役員である大尾嘉宏人氏に実店舗政策について話を聞いた。

差がなくなったネット広告と実店舗の顧客獲得コスト

MVNOの中では早い時期から直営店を設けるなどして、実店舗展開に積極的に取り組んできた楽天モバイル。大尾嘉氏によると、楽天モバイルは取材時点で、直営店のほか、家電量販店の窓口や販売代理店による店舗など、全国に155の顧客接点を提供しているとのことだ。

このうち、楽天が直接運営している直営店は8店舗のみ。多くは家電量販店での即日開通コーナーの展開となるが、最近では販売代理店を活用した専売店「楽天モバイルショップ」の展開に力を入れているそうで、これまでに40程度の店舗を出店しているという。

実は「ドコモショップ」「auショップ」などを展開する大手キャリアも、自社で直接運営している店舗はごく一部。大半はティーガイアコネクシオなどの販売代理店が運営している。楽天モバイルはその方法をなぞっている。

かねてより多くのMVNOは、販路をコストがかからないインターネット上に絞ることで、販売にかかるコストを抑え通信料金の低価格を実現してきた。だが大手キャリアと同じ手法で実店舗を構えるとなると販売コストがかさみ、「格安」を実現するのが難しくなってしまうのではないかと想像される。

しかしながら大尾嘉氏は、「顧客1人を獲得するコストを考えれば、実店舗もオンライン販売もそれほど大きく変わらない」と、従来の説を大きく覆す回答をしている。MVNOに参入する企業が増えたことでMVNO同士の競争が激しくなり、インターネット広告が高騰しているためだという。

インターネット広告は需要と供給で価格が決まるため、多くの会社が広告を出稿するほど、広告の単価が上がってしまう。現在は格安の市場を巡り、多くのMVNOや大手キャリアのサブブランドがインターネット広告を出稿していることから、広告価格が急速に高騰しており、実店舗で顧客を獲得するコストと変わらなくなってきているというのだ。

コストを抑えながら店舗を増やす秘訣とは

さらに、実店舗に力を入れる理由として、大尾嘉氏は、オンラインと実店舗とで、獲得できる顧客の層が違っていることを挙げている。

オンラインでMVNOのサービスを探して契約する人は詳しい知識を持つことから、他社のサービスと比較してサービスを選ぶ傾向があり、より安いサービスを見つけると短期間のうちに他社へ移ってしまうことも多いという。だが実店舗で契約する人は、楽天のブランドやサービスに価値を感じて契約する人が多く、長く利用してもらえるユーザーの獲得につながりやすいのだそうだ。

また大尾嘉氏は、「顧客がじっくり話を聞くことができる環境を提供できる」ことも、実店舗を展開するメリットになっていると答えている。楽天モバイルのショップに訪れる顧客は、あらかじめ「楽天モバイルが欲しい」と目的を持って訪れている人だ。そうした人達に対してじっくり話を聞き、丁寧に商品を説明する上でも、実店舗の存在が重要になってくるのだそうだ。

データを可視化、実店舗の改善に生かす

楽天モバイルではオンラインで申し込みした人の住所や、各店舗で契約した人などの情報を収集し、それを分析して店舗出店計画に生かすなど、店舗運営に新しい技術も取り入れているという。そうした取り組みから、例えば「銀座の店舗に来る人は千葉の遠い所から来ることが多く、『千葉から銀座は近い』と感じている人が多いことが分かった」(大尾嘉氏)など、従来にはない発見もあるそうだ。

だがより楽天らしい取り組みといえるのは、「情報を可視化し、短い期間で細かな改善のサイクルを回すことだ」と大尾嘉氏は話す。楽天では1時間、1日といった単位でアクセス数をチェックし、アクセスが伸びていないと判断すると、短時間のうちに2つのWebページを用意し、どちらがアクセスが多いかを試す「ABテスト」などの施策を多く打つことで、改善につなげている。

そうしたネットサービスで培った取り組みを実店舗にも導入しているとのことで、楽天モバイルの店舗では来客数や契約数、カスタマーサービスに寄せられた声などを可能な限り短い期間で確認し、その情報を基に売り場のPOPを変えたり、接客時のコミュニケーションを変えたりするなど、細かな改善を多数、スピーディーに反映させて売り場の改善を進めているのだそうだ。

コスト負担になる実店舗でのサポートはどうする?

実店舗を構える上ではいくつかの課題も出てくる。一つはショップ店員にかかる負担の大きさだ。携帯電話の商品やサービスは複雑になりがちで、顧客に説明しなければいけないことも多い。ショップ店員にはかかる負担が大きく、以前より離職率の高さが指摘されている。

楽天モバイルは大手キャリアより商品がシンプルだとはいえ、その傾向は変わっていないと、大尾嘉氏は話す。しかも楽天モバイルは実店舗を本格展開してからの期間が短く、ショップ店員に対する教育プログラムは大手キャリアほど充実していない。そうした大手キャリアとの差を埋める上でも、大尾嘉氏は先のパンフレットのように、分かりやすく説明する道具を用意したりするなどして、日々改善を進めている。

そしてもう一つ、より大きな問題となってくるのが、実店舗の位置づけである。

大手キャリアの実店舗は販売拠点であると同時に、故障やトラブルなどいざというときの「駆け込み寺」であり、サポート拠点としても重要な存在となっている。それに対して、MVNOの実店舗の多くは、新規契約による顧客獲得の拠点にすぎない。楽天モバイルも現在のところ、ショップでの対応は新規契約が主体で、契約変更や解約などをしたい顧客が訪れた場合は、Webサイトでの契約変更に関する操作を店員がサポートするのみにとどまっているという。

楽天モバイルで実店舗のコストがネットと大きく変わらないといっても、それはあくまでも顧客獲得に専念した場合であって、サポートのコストは別問題だ。実店舗でのサポートは、コストが大幅に増して、低価格の維持の障害となる。できればやりたくないというのが本音だ。

とはいうものの、現在の急成長が一段落した後は、実店舗で新規契約を大きく伸ばすことはできなくなってくる。そのときに、拡大してきた実店舗をどのように活用していくのかは、非常に重要な意味を持ってくるだろう。

この点について大尾嘉氏は「まだ議論し尽くされていない」と話す。楽天モバイルも料金の安さを重視していることから、サポートはあくまでインターネットや電話を主体にしたいという。だが実店舗を持つ以上、顧客に不都合が起きないよう、最低限何ができるのかは考えていく必要があるとのことだ。

「できることはきちんとやるが、できないことはやらない。無理をしないことが大事」と大尾嘉氏は話すが、低価格を維持してユーザー拡大に力を入れたいMVNOと、大手キャリアの手厚いサポートに慣れているユーザーとの間には、実店舗でのサポートに対する捉え方に大きな溝があるのも事実だ。それだけにMVNOが実店舗を拡大する上では今後、サポートに対する双方の溝をいかに埋めていくための取り組みも求められることとなりそうだ。

佐野正弘
 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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