家計

美味しいお金の話

夏のエアコン 「3台つけっ放し」が1台よりもお得? ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢

2017/8/4

PIXTA

 夏のエアコン、つけっ放しと小まめに切るのはどっちがよいか――。インターネット上などでたびたび話題になるテーマです。様々な実験結果から「つけっ放しほうが安い」という結論も導き出されています。実際にはどうなのでしょう? このコラム「美味しいお金の話」では、お金を食べものの話にたとえて解説してきましたが、私は身近なお金に関する様々な実験も行っていますので、これからはお金を「美味(おい)しく」使う方法、つまり効率的に使ったり節約したりするヒントもお伝えできればと思っています。今回は夏のエアコンの効率的な使い方です。

■1カ月24時間つけっ放しでも650円増

 実は我が家も2015年夏、エアコンをつけっ放しにする実験をしました。帰省で家を空けた1週間も含め、8月の電気代の請求期間にほぼ相当する7月15日~8月17日の間、設定温度を28度にしてつけっ放しにしました。通常利用をしていた14年8月の請求額と比較すると、結果はわずか650円の増加。いつ家に帰っても涼しく、部屋が冷えるまで暑さに耐えなければならない瞬間もなかったことを思えば、個人的には「割安」と感じる金額の差でした。

家庭で実験をする際は、毎日電気メーターの写真を撮るなどして電力使用量が急激にアップしていないかチェックしたい(筆者撮影)

 「エアコンつけっ放し」のテーマは夏には盛り上がりますが、冬にはあまり話題になりません。これは、暖めるより冷やすほうが電気的な効率が良く、特にエアコンが電力を多く必要とするのは、外気温に左右される室内の温度とエアコンの設定温度の差が大きいときだという構造に起因します。外気温が30度の夏に設定温度28度としても、その差は2度です。しかし、外気温が10度の冬に設定温度を20度にするとその差は10度。冬だとエアコンをつけている最中でも室温が下がって設定温度との差が生まれやすく、電力を消費しがちなのです。

 一方、冬に比べると室温と設定温度の差が小さくなりやすい夏は、小まめにエアコンのスイッチを消すと、せっかく涼しくなった部屋を暖めてしまい、再度、部屋を冷やすことに電力が使われます。「短時間であればつけっ放しでもよい」という判断は、夏だからこそ生まれます。

■夜間、18分以内ならばつけっ放しがお得

 ただ、私の実験ではエアコン以外の家電などの消費電力を排除できませんし、年や月をまたぐことで電力の単価も変わります。そこで大手空調メーカーのダイキン工業が16年に実施した実験を紹介します。この実験では、同社が同じサイズの部屋を2部屋借り、同じ機種のエアコンを取り付けたうえで調査しています。実験結果によると、午前9時から午後6時の日中は30分、午後6時~11時の夜間は18分以内の外出であれば、つけっ放しのほうが電力を使わないという結果が出ました。

 エアコンの消費電力量は、その部屋の気密性やエアコンの省エネ性能などの影響も受けるため、一概につけっ放しの損得は計れません。しかし、一日の稼働時間は減らしつつも、30分以内などのちょっとした外出では、あえてつけたままにするという選択肢は悪くないといえます。少なくとも、ちょっとした瞬間、エアコンを消し忘れたからといって罪悪感を持つ必要はなさそうです。

■適正サイズの機種を正しく使う

 エアコンの電力消費量を削減するには、適正サイズの機種を正しく使うことも大切なポイントになります。我が家では前年に続き16年の夏は、エアコンを1台だけつけておくのと、3台つけておいた場合、どちらが電力を使うのかを実験しました。先の実験と同じく、あくまで日常生活の中での実験なので、エアコン以外の家電などの消費電力や外気温の変化の影響は排除はできませんが、平均気温、最高気温、最低気温が似通った日を比べると興味深い結果が得られました。

 比較的条件を整えることができた7月の13日(水)と17日(日)で、エアコンを1台のみ動かした場合と、3台動かした場合で比較しました。平均気温25.1度の13日はエアコン1台のみをつけ、電気代はこの日だけで約358円でした。平均気温25.9度の17日はエアコン3台を稼働させ、同じく約305円でした。我が家はオール電化住宅のため、朝、昼、夜で電気代の単価が違います。このためスマートメーターで計測した各時間帯の前日の値との差額から電力使用量を計算し、単価をかけて計算しています(下記に例示)。

 17日のほうが平均気温が高く、エアコンを3台とも稼働させたにもかかわらず、電気代が50円以上安くなっています。14畳のLDKを対象としたエアコン1台で、すべての部屋を冷やそうとした13日は、電気代はかえって高くつきました。あくまで家庭での実験のため参考値ですが、一般的には「部屋の広さに対応していないエアコンに負荷をかけると、電力を使う」といわれていることは、おおむね正しいと確認できる結果になりました。

 最近のエアコンは、自動運転にすると効率的な省エネ稼働を選択する機能がついています。適切なモデルのエアコンを設置して上手に活用することで、暑さを我慢しすぎず、快適でお得な夏を過ごせるとうれしいですね。

風呂内亜矢
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に『その節約はキケンです―お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか―』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)などがある。管理栄養士の資格も持つ。http://www.furouchi.com/

家計

ALL CHANNEL