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ハワイ、実はアートの宝庫 海と買い物だけじゃない

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NIKKEI STYLE

夏にハワイで休暇を過ごす人は少なくないだろう。世界的なリゾートとして名高いこの地は、知られざる「アートの島」でもある。マリンスポーツやショッピングの合間にハワイのアートを楽しむ7つのキーワードを紹介しよう。

1.アート・アフター・ダーク

今年で創設90年を迎えたホノルル美術館。ヨーロッパの印象派やポスト印象派、米国有数の浮世絵コレクションなどで知られるこの美の殿堂は、毎月最終金曜日の夜、ホノルルで最もファッショナブルな場所になる。午後4時半にいったん閉館した美術館は、午後6時に再び扉を開く。ビールやワイン、軽食をつまみつつ音楽ライブやDJ、アーティストの公開制作などが楽しめるパーティー「アート・アフター・ダーク」が午後9時まで開かれるのだ。

ボランティアの若者らを交えて運営するこのイベントは2004年にスタート。当時の参加者は250人ほどだったというが、今では開場と同時に若者のグループやカップル、家族連れなど2000人が押し寄せる。ここで友人や恋人と待ち合わせ、アートを楽しんでからディナーやダンスに繰り出す人もいるそうだ。展示室やミュージアム・ショップもオープンしており、作品を鑑賞したり、買い物を楽しんだりすることもできる。

美術館のメンバーでない大人1人の入場料は25ドル。メンバーシップの年会費(25ドル~)を払えば、以降の入場料が無料になる。次回開催は8月25日。ホノルル美術館では毎年夏、サーフィンに関する映画を上映する「ホノルル・サーフ・フィルム・フェスティバル」も開催する。10回目の今年は8月2日で終了したが、同館のもう一つの人気イベントだ。

2.火山派(ボルケーノ・スクール)

19世紀後半から20世紀にかけて、米国本土や英国、フランス、オーストラリアなどからハワイ島を訪れ、溶岩を噴き上げる火山風景を描いた島外の画家たちの一派。当時はキラウエアやマウナロアの火山活動が活発で、火山派の画家は夜空を赤く染める火口を好んで題材にした。フランス生まれのジュール・タベルニエ(1844~89年)は代表的な画家の一人。パリの名門エコール・デ・ボザールで学んだ後、ロンドンやニューヨークの雑誌社で挿絵画家として活躍。40歳でハワイに渡ってからはパノラマサイズで描く火山の風景画で成功をおさめた。ホノルル美術館2階の「ハワイ美術」の展示室やビショップ博物館で、こうした「火山派」の絵画を目にすることができる。

火山活動のエネルギーは今も芸術家たちの創作意欲をかきたてる。ハワイ島を訪ねるのならば、キラウエア火山にほど近いアーティスト村のボルケーノ村に足を運びたい。絵画、陶芸、ガラス工芸、彫刻、キルトなどを制作する芸術家が数多く暮らし、一部のアトリエや工房は一般公開されている。毎年、感謝祭の時期に工房ツアーと販売会を主催するグループもある(www.VolcanoVillageArtistsHui.com)。

ボルケーノ村の芸術についての情報は「ボルケーノ・アート・センター」で入手できる。米国の写真家アンセル・アダムスに師事した建築家ブーン・モリソン氏が74年に設立したハワイのアーティストを支援する団体だ。ギャラリーで作品の展示販売もしている。

米国を代表する風景写真家のアンセル・アダムスも40年代、50年代にハワイを訪問しており、ハワイ島の溶岩台地やペトログリフ(岩絵)などを撮影した写真がアリゾナ大学のCenter for Creative Photographyなどに所蔵されている。

3.「版画」の伝統

1927年、自ら収集した作品や自宅が立つ土地を寄贈し、ホノルル美術館を創設したアナ・R・クックは世界各国の版画を熱心に収集したことで知られる。

「芸術の中心から遠く離れたこの島で、多くの人種や民族からなるハワイの子供たちがそれぞれの文化遺産と出合い、また隣人たちの芸術を通して崇高な目標に目覚めますように」。美術館の門出にこんな言葉を贈ったクックは、絵画よりも安価で収集しやすい版画によって、ヨーロッパ各国や日本、中国、フィリピンなどの多様な文化を紹介しようと考えた。

中でも日本の版画とのつながりは深い。質の高い浮世絵コレクションの核をつくったのは、ミュージカル「南太平洋」の原作者で作家のジェームズ・A・ミッチェナー。戦時中に南太平洋に駐留したミッチェナーは戦後まもなく、通信社の記者として来日し、下町の絵草紙屋や版画家の自宅を訪ねて浮世絵や新版画、創作版画を収集。米国人の優位な立場を利用して値切ったりすることはなく、いつも言い値で買ったとも伝えられている。終戦後の日本に駐留した経験をもつ親日家のフィリップ・ローチ、オリバー・スタットラーらが日本の版画家と親交を深めつつ収集した新版画、創作版画なども、彼らの名前を冠したコレクションとして収蔵されている。

ホノルルには28年に創設され、米国で最も古い版画協会の一つといわれる「ホノルル・プリントメーカーズ」も存在する。展覧会やワークショップを通じて版画を普及することを目的に掲げ、毎年3月に大規模な展示即売会を開催している。島外から著名な芸術家や専門家を審査員に招き、様々な価格帯の版画を出品・展示し、販売するこの催しは、来年で90回を数える。

4.チャールズ・W・バートレットとジョン・M・ケリー

「ホノルル・プリントメーカーズ」の創設者であり、ともにハワイを代表する版画家。英国出身のチャールズ・W・バートレット(1860~1940年)は15年から17年にかけて東京で浮世絵店を営む渡辺庄三郎の元で浮世絵の技法を学び、アジアの風景版画シリーズに取り組んだ。17年に母国への帰国途上、ハワイに立ち寄り、ホノルル美術館創設者のアナ・R・クックらに歓迎され、永住を決意する。ホノルルのサーファーを題材にした「波乗りする人々(サーフライダーズ・ホノルル)」は19年に再来日した時、庄三郎の店で制作したハワイのシリーズの1枚。庄三郎の孫で東京・銀座の渡辺木版美術画舗の渡辺章一郎氏によれば、色数が多く手のこんだバートレットの新版画は制作当時、川瀬巴水(はすい)、吉田博、伊東深水らほかの画家たちの作品の2~10倍の値がついたという。庄三郎の店はその後の関東大震災で焼失、ハワイのシリーズの版木も失われてしまった。ホノルル美術館がクック旧蔵のバートレットの作品を所蔵。ホノルル市内のロビン・ブンティン画廊(848 So.Beretania St.)も「波乗りする人々(サーフライダーズ・ホノルル)」をはじめとする版画を取り扱っている。

サンフランシスコからホノルルに移り住んだジョン・M・ケリー(1878~1962年)は、ハワイの先住民をモデルにした美しい版画の数々で知られるアーティスト。23年、彫刻家の妻とともにホノルルに移り住み、ダイヤモンドヘッド近くのブラック・ポイントに小屋を建てた。現在、高級住宅街で知られるこの地区には、開発の進むワイキキを追われた先住民たちが住んでいたという。孫娘のコリーンさんによると、彼らは毎日のようにケリーの自宅の前庭につどってはポイ(タロイモから作る料理)を食べ、音楽を奏でてフラを踊った。4歳でハワイにやってきたケリーの一人息子のジョンは、先住民の老女を「トゥトゥ(おばあちゃん)」と呼んで慕い、漁師に素潜りや投げ網のやり方を教えられて育ったという。ケリーの版画にもこうした先住民たちの日常がモチーフとしてよく登場する。ホノルル美術館やハワイ州立美術館などのほか、オフィシャル・サイトhttp://kellyarthi.com/で作品を見ることができる。

5.ジョージア・オキーフ

画面いっぱいに拡大した花の絵やニューメキシコ州の風景画が代表作に数えられる米国の画家ジョージア・オキーフ(1887~1986年)。実は、ハワイアン・パイナップル社(現ドール)の招きで39年2月からおよそ2カ月半ハワイ各島に滞在し、20枚の油彩画を残したことはあまり知られていない。中でもマウイ島の小さな町ハナで過ごした10日間は、彼女にとって忘れられない思い出になったという。ハナのサトウキビ農園のオーナー、ウィリス・ジェニングス邸に滞在。同家の12歳の一人娘パトリシアをガイドに海に突き出した溶岩の橋や黒砂のビーチを巡り歩き、プルメリアやハイビスカスなどをつんできては制作に没頭した。

ハワイアン・パイナップル社に届けられたオキーフの原画のうち、パイナップルの絵は缶詰やジュースを宣伝するための広告に使われた。銀色に輝くパイナップル畑にオキーフは感激し、近くの小屋に泊まり込んで描きたいと言ったほど。マウイ島は甘さがきわだつ「マウイゴールド」というパイナップルでも有名だ。

オキーフがハワイの風物を描いた作品のうち、ハナで描いた5点はホノルル美術館が所蔵。そのほかは全米の美術館や収集家が所蔵するため、まとめて見る機会は少ないが、2018年5月から10月にかけてニューヨーク・ボタニカル・ガーデンで「ジョージア・オキーフ ビジョンズ・オブ・ハワイ」展が開かれる予定。

6.パブリック・アート

ハワイは、州立の建物を建設する際、建設費の1%をアート制作・設置にあてる「パーセント・フォー・アート」という法律を全米で最初に制定したパブリック・アートの先進地だ。1967年に発令された同法は、米国のほかの地域のモデルとなり、多くの州や自治体がこれに続いた。ハワイ州内ではこれまでに1400人のアーティストによるおよそ5000点の作品が官庁オフィスや学校、図書館、空港、病院などに設置されている。

 ホノルル市役所別館(Honolulu Hale Annex)とホノルル市行政府ビル(Honolulu Municipal Building)の間の芝生にそびえるイサム・ノグチの巨大彫刻「スカイゲート」もそうしたパブリック・アートの一つ。移り変わる自然界のサイクルや大地の地形に着想した壮大なアートを数多く手がけたノグチは、黒い鉄の彫刻作品にも、ある「仕掛け」を施した。年に2度、太陽がホノルルの真上を通る「ラハイナ・ヌーン」と呼ばれる時刻にだけ、この作品は大地に完全な円形の影を落とすのだ。2017年は5月26日の午後12時28分と7月16日の午後12時37分。ラハイナ・ヌーンの時期にホノルルに滞在していたら、迷わずこの彫刻を目指したい。

ハワイ州立美術館などで「art in public places:Self-Guided Walking Tours」というパンフレットを手に入れることができる。州都地区(Capital District)とハワイを代表する企業の本社などが立ち並ぶビジネス地区(Business District)にある作品の場所、これらをめぐるルートが記されていて、手軽にパブリックアート鑑賞を楽しめる。

7.ジャン・シャルローの壁画

ハワイ大学マノア校の広大なキャンパス内、ベックマン・ホールと呼ばれる事務棟の1階に「オールド・ハワイ 人間と自然の関係」(1949年)と題した壁画がある。中央には、死者を敬うフラを踊るダンサー、タロイモを調理する男たちが描かれている。英国のキャプテン・クックが寄港する以前のハワイで、自然と融和して暮らす先住民たちの姿だ。同じ壁の2階部分には、肌の色や顔つきの異なる学生たちが主人公の壁画「卒業」(53年)も残る。

この2作を制作したのは、パリの貿易商の息子に生まれ、ホノルルで亡くなった画家ジャン・シャルロー(1898~1979年)。メキシコの原住民の血を引くシャルローは20代でメキシコに渡り、ディエゴ・リベラらの壁画運動に身を投じた。米ニューヨーク、ジョージア、コロラド、フィジーなどを経て、49年、壁画を制作するためホノルルに招かれるとそのまま定住。30年間でハワイの学校など公共の場に36点の壁画や彫刻を残し、600点にのぼる絵画を描いた。シャルローの壁画は上記のハワイ大学の作品のほか、ファースト・ナショナル銀行ワイキキ支店の「外界とハワイの初期の出合い(Early Contacts of Hawaii with the Outer World)」、ハワイ・コンベンション・センターの「チーフのカヌー(Chief's Canoe)」など各所で見ることができる。

(編集委員 窪田直子)

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