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ビール7人夏物語

2017/8/2

ビール7人夏物語

あれから20年近く、その時がやってきた。キリンビールがヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)と提携。クラフトビール市場に参入すると、ビールの個性を引き出すホップの重要性が一気に高まってきたのだ。「もっと面白い香りを」。リクエストが来ると村上はすかさず「エサシ」を思い出した。

驚くほどうまい

20年前、村上がホップを託した管理センターの管理者は約束通りホップを守っていてくれた。移管しておいた20種類のホップにNo.1からNo.20と番号をふり、それぞれビールに仕立てて試飲したところ村上が思った通りだった。「No.7が驚くほどうまかった」。No.7はムラカミ・セブンとして復活することが決まり、商品化にこぎ着けた。

「グランドキリン」(左)などホップに焦点を当てた商品開発も数多く手がける

現在、ムラカミ・セブンは200株。ここから1500株、株分けさせて「何とか量産化させる」ところ。10アールの畑も60アールにまで広げる計画だが、簡単ではない。ムラカミ・セブンの場合、「10~20あるホップの主成分が絶妙のバランスを保っている」。そのバランスを株分けや量産化によって崩してしまわず、すべての株でムラカミ・セブンの品質を維持していくのがポイント」だという。

もともと岩手大学の大学院農学研究科時代、村上氏が没頭したのは大豆の品種改良だった。1988年に会社に入って「品種改良の仕事をしろ」と指示されて以来、ホップに没頭する。知れば知るほど興味は深まっていた。2000年にはホップ研究で農学博士号を取得し、休日も直接仕事とは関係のないホップの研究をするほど。

最初のホップ誕生は600万年前?

最近もホップの起源はどこまでさかのぼるのかを知りたくなり、英国やドイツ、ポルトガルなどの研究者と調査を手掛けた。どうやら「世界的には600万年前から100万年前に最初のホップが誕生した。日本はユーラシア大陸と日本列島が地続きだった60万年前から40万年前が起源と想定され、日本列島が大陸と離れると独自の進化をはじめた」ことをつきとめ英語で論文にまとめた。

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