更年期には「ホルモン補充療法」 まずは婦人科へ
前回記事「『更年期かも?』に効くホルモン療法 不調の波小さく」では、30代後半女性が直面する更年期前の不調を「かも更」、リアルな更年期症状を「リア更」と名付けた。「かも更」や「リア更」で生じる月経異常や体調不良には、婦人科でエストロゲンやプロゲステロンを処方してもらうホルモン補充療法が有効だ。今回は「リア更」の治療法について見ていこう。
実は、「リア更」に対するホルモンを「補う」治療(ホルモン補充療法=HRT)に用いるホルモン剤は、「かも更」に使うものよりもっと低用量だ。
「ほてりや発汗などの症状を抑えるには、足りなくなったエストロゲンをほんの少し補うだけでいい。『かも更』のように排卵を抑えるわけではないので、少ない投与量で十分効く」と、東京歯科大学市川総合病院産婦人科の小川真里子准教授は話す。剤形も飲み薬、貼り薬、塗り薬、膣に入れる膣錠があり、自分に合ったものを選べる。
更年期症状がつらい人はもちろん、閉経が早かった人にもHRTは適している。エストロゲンには骨を守る働きもあるので、閉経が早いと骨粗しょう症のリスクが上がる。「45歳未満で閉経した人は更年期症状がなくてもHRTを」と小川准教授。骨を守るだけでなく、動脈硬化予防などの効果も期待できる。
スタートは閉経前でも後でもOK。「60歳未満に始めて、使用期間が5年以内なら、乳がんになるリスクが上がることもない」(よしかた産婦人科の善方裕美副院長)。「かも更」であれ、「リア更」であれ、つらい症状があるなら、我慢せずに婦人科で相談を。更年期は長丁場。気軽に相談できる婦人科医を見つけておくと心強い。
東京歯科大学市川総合病院(千葉県市川市)産婦人科医長。准教授。専門は更年期医学。福島県立医科大学卒業。慶應義塾大学産婦人科を経て、東京歯科大学市川総合病院産婦人科。2015年より現職。日本女性医学学会専門医、日本女性心身医学会認定医など。
よしかた産婦人科(横浜市港北区)副院長。横浜市立大学産婦人科女性健康外来でも診療。日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医など。著書は『最新版 だって更年期なんだもーん治療編』など。
(ライター 佐田節子、構成:日経ヘルス 岡本藍)
[日経ヘルス2017年9月号の記事を再構成]
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