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中途解約でも元本確保 明治安田の保険、契約32万件 顧客層広げる「ドアノック商品」

2017/8/1

PIXTA

 確定利回りで、仮に中途解約しても払い込んだ元本の100%が戻ってくる貯蓄性の保険商品があると聞きました。どんな仕組みなのですか。

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 生命保険大手の一角、明治安田生命保険が2016年10月に売り出した「じぶんの積立」は、契約件数がすでに約32万件にのぼっている。マイナス金利下で円建て貯蓄性保険の売れ行きは振るわないが、じぶんの積立は中途解約しても払込保険料を最低でも100%払い戻す元本確保の商品性が人気につながった。

■所得控除で節税効果も

 月々の保険料は1口5000円からで、4口2万円まで契約できる。払込期間は5年。さらに据え置き期間が5年あり、契約から10年後に払込保険料の103%が満期保険金として受け取れる。

 もともと貯蓄性保険は銀行預金よりやや高い確定利回りが売りだが、商品設計上、中途解約すると元本割れするのがネックになっていた。もっと利回りの高い金融商品が出てきても中途解約して乗り換えにくいからだ。じぶんの積立はこのリスクがなく、同社が経営破綻しない限り、損失が出ることはない。

 他の生命保険に入っていない若い世代などは、仮に中途解約しても実質的な収支はプラスになることが多い。払った保険料は一定の計算式に基づいて所得控除できるためだ。年収によっては所得税と住民税で年間1万円を超える節税になることがある。

 同社によると、30歳代までの平均保険料は月7000円台。1口5000円、2口1万円の契約が多いということだ。所得税を計算するうえでの所得控除が上限いっぱい4万円になるのは、保険料が年8万円以上の場合なので、節税目的なら1~2口にすると費用対効果が大きい。

 じぶんの積立は同社が「若い世代や女性などに顧客層を広げたい」(商品部)という狙いで開発したマーケティング戦略上のいわゆる「ドアノック」商品。根岸秋男社長が「これが売れなければ、営業センスがないということ」と言い切るくらい、契約者に有利な商品設計になっている。

■同業他社に追随の動きなし

 このため、実は同社の収益にはほとんどつながっておらず、営業職員にも契約獲得のインセンティブ(報奨金)は出していないという。経営体力のある大手でなければ扱うのが難しい商品設計で、業界ではいまのところ同社に追随する動きはないようだ。

 こうしたドアノック商品を足がかりに他の商品に取引を広げていく営業手法は金融業界に多く見られる。大手銀行で営業経験のあるファイナンシャルプランナーの高橋忠寛氏は「営業トークをうのみにするのは禁物。本当に契約していいものかどうか、リスクなどを自分でよく確認したほうがいい」と助言する。

[日本経済新聞朝刊2017年7月29日付]

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