「下唇をかんでとまどう星野源の表情が好き」というファンの声が多い

設定も、どん兵衛のCMとして初めての試みに挑んだ。10年以上キャラクターを務めた中居正広に続き、前作は加山雄三と佐藤健のコンビと、男性で和のイメージが続いていたのに対して、今回は初めて恋愛の要素を取り込んだ。「今まで手を出さなかったキュンキュンする世界観を、あえてブランドとしてやってみたかった。ネットでの反響などを見ても、2人の関係がこの先どうなるということも含めて、想像力をかきたてる展開が若い世代に受け入れられているようです」(安武氏)

続編を秋に向けて制作中

CM総合研究所によると、好感要因は「商品にひかれた」が全銘柄中で1位、「かわいらしい」と「セクシー」が同じく2位、「心がなごむ」が同じく3位だった。関根心太郎代表は「40年以上売れ続けているロングセラーで、誰もが食べたことがあると思いますが、それでもなお『商品にひかれた』が1位になるのはすごいこと。具材のおあげを訴求するとなると、厚さや製法を言いたくなるものですが、それをせずに、2人のやりとりで食べてみたい気持ちにさせるのはキャストとクリエイティブの力ですね」と評価する。

CMのクリエイティブディレクターを務める福部明浩氏は、大塚食品「MATCH」やアキタのブランドたまご「きよら グルメ仕立て」なども手がけている。最近では、NTTドコモとMr.Children(ミスターチルドレン)の25周年ムービーを手がけて話題を呼んだ。

キャストや設定を一新して、変化を打ち出したどん兵衛のCMだが、実はストーリー自体のどん兵衛らしさは変わっていない。「1970年代の山城新伍さん、川谷拓三さんの時代から、2人のかけあいで、ほのぼのとしたストーリーが続いていくのはどん兵衛のCMの王道。そこは外さずに、続編を秋に向けて制作中です」(安武氏)

長く愛されているロングセラーの核となるテイストは継承しつつ、キャストや設定で旬の要素をうまく取り入れ、ブランドを若返らせたCMの好例といえそうだ。

(日経エンタテインメント! 小川仁志)

■調査対象期間:2017年5月20日~6月19日(東京キー5局)
■当月オンエアCM:全2668銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある