ナショジオ

ニュース

イヌが人懐こくなった理由 遺伝子変異でオオカミと差

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/8/7

 科学者たちは今回、イヌの行動も検証した。工夫しないと開けられない箱の中にソーセージのかけらを入れ、この箱を開けられるようにイヌとオオカミを訓練した。それから、よく知る人がいる場合、知らない人がいる場合、人がいない場合という3つの状況で動物たちに箱を開けさせた。(参考記事:「犬は人に『戦略的なウソ』をつく、実験で証明」)

 どの状況でも、オオカミはイヌよりも大幅に良い成績をおさめた。人がいるところで箱を開けなければならない場合には、その差はいっそう大きくなった。

 「イヌたちに箱を開ける能力がなかったわけではありません。人の様子を見るのに時間を取られすぎて、制限時間内に開けられなかったのです」と、フォン・ホルト氏は言う。

■いまも進化は続いている

 フォン・ホルト氏は続けて、多くのイヌとオオカミについて、変異したWBSCR17遺伝子の近くにある遺伝子の解析を行った。

 その結果、イヌとオオカミのWBSCR17遺伝子の変異を確認できただけでなく、その近くにあるGTF2IとGTF2IRD1という2つの遺伝子にも変異があることが明らかになった。

 遺伝子データと行動データから、ゲノムのこの領域の変異が、孤高のオオカミを人間大好きなイヌに変えたのだとフォン・ホルト氏はとらえている。

 オーバーオール氏は、実験の規模が小さいのでまだ断定することはできないとくぎをさしながらも、遺伝子解析の威力を称賛した。

 「現代人は、狭い室内で長期間過ごすことのできる、飼いやすいイヌを選択しています」と彼女は言う。

 「人間は、イヌの行動を1年ごとに変化させているのです」

(文 Carrie Arnold、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年7月21日付]

ALL CHANNEL