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見過ごしがち 認知症患者の「お口トラブル」

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認知症になると、口の中にトラブルがあってもうまく伝えられない場合が多く、そのせいで食事ができなくなり、栄養が低下して寝たきりにつながってしまうこともあるという。虫歯(う蝕)、歯周病、口腔粘膜の傷、炎症など、認知症高齢者の口腔内に起こりやすいトラブルについて、東京都健康長寿医療センター研究所の枝広あや子さんに話を伺った。

認知症になると歯磨きが難しくなる

認知症の人は口の中にトラブルが起こりやすい。その一番の原因は歯磨きがおろそかになるためだという。枝広さんは「認知症になると比較的初期の段階で『整容行動が崩れる』という変化が起こります。これが、歯磨きができなくなる原因の一つです」と話す。

「整容行動が崩れる」とはつまり、本来習慣化された自分のメンテナンスができなくなることである。衣服の着方が崩れる、髪をとかすのが面倒になる、顔や手をきちんと洗わなくなる、風呂に入りたがらなくなるなど、身なりをきれいにするとか、体を清潔に保つといったことがおろそかになる状態だ。歯を磨かなくなる原因の一つも、歯をきれいにすることに興味がなくなり、習慣化された行動自体がおっくうになってくることにある。

歯を磨かなくなるもう一つの原因は、認知症の人にとって、直接見えない口の中を、頭でイメージしながら磨くことが難しいためだ。「認知症でない人は、テレビを見ながらでも隅々まで歯磨きができます。右上を磨いたら次は左上、左下の次に右下といったことを、ほぼ無意識のうちに行えるわけです。しかし、認知症の人はどこまで磨いたのか分からなくなってしまいます。その結果、やり直すことも面倒になり適当に終わらせてしまうことが増えるのです」と枝広さんは話す。

問題は、歯をきちんと磨いているかどうかは、はたから見ているだけではよく分からないということだ。歯ブラシを口の中に入れていれば、「ああ、磨いているな」と思うが、本当に磨けているかどうかは家族でもなかなかチェックできないのだ。

認知症も軽度から中等度に進行すると、細かい手の動きが難しくなったり、歯を磨くという日課そのものを忘れがちになったりする。そして、歯を磨かない状態が続くと、虫歯や歯周病で大切な歯を失ってしまうことになる。

家族であっても親の口の中を把握している人は少ないし、口の中というのは、特に本人に自立したい気持ちがある時期には、なかなか確認できないものである。

「定期的に歯医者さんに行っていれば、かかりつけの歯医者さんが、前回に比べて口の中の状態が悪くなっているなどと気づくため、磨けていないのかもしれないと対処してくれる可能性も高いでしょう。でも、歯医者さんに行っていないとなかなか発見しづらいのが口のトラブルの特徴です」と枝広さんは指摘する。

急に食べなくなったら口の中に問題があるかも!

さらに、認知症も中等度以上になると、口の中にトラブルがあっても、それを伝えること自体が難しくなってくる。そのために、重大なトラブルが見過ごされてしまう場合も多い。

「例えば、ある施設で実際にあったことですが、昨日まで食事をしてくれていた認知症の高齢者が、急に口を開けてくれなくなり、ご飯を食べない、歯も磨かせてくれないという状態になったんです。数日後、ようやく口の中を見せてくれたのですが、大きな口内炎ができていたようで、すでに治りかけの状態でした」と枝広さん。

この人の身に何が起こったのか。実は数日前、家族がお菓子を差し入れに持ってきた。その袋に入っていた乾燥剤(シリカゲル)を間違えて食べてしまい、口内炎を発症していたのだ。

 シリカゲルが口の中でそしゃくされて散らばりそのまま残ってしまうと、口の中の粘膜がただれる。「本人は相当痛かっただろうと思いますが、何が原因でそうなったのか本人にも分からないし、うまく伝えられないので、口を開けられなかったのだろうと思います」と枝広さん。

こうした口の中の炎症は、薬でも起こるという。「特に便秘の薬など、唾液に溶けるとアルカリ性になる薬は、口の中に残ってしまうと潰瘍が起こりやすいので注意が必要です」と枝広さんは話す。「ただ、問題なのは単に潰瘍が起こることだけではない」と枝広さんは続ける。

「口の中に炎症や潰瘍ができたことに気づかず、食事が取れないまま1週間も経過すると、栄養状態が悪くなって明らかに認知機能が低下してしまうのです。ただ、これは認知症が進んだわけではなく、見かけ上の低下ですが、反応も悪く、呼びかけても応答できなくなり、トイレなども含め今までできていた日常生活行為に失敗するようになってしまいます」と枝広さん。

大切なのは、口の中に炎症や潰瘍が起きやすいということを把握すること。そして、普通の食事が食べられないなら、栄養補助ゼリーを試してみるなどの対応をすることだ。もちろん口の中のトラブルが疑われたら、歯科医師を頼ってほしい。

意外と気づかないあご関節の脱臼

口の中のトラブルというより、口周りのトラブルだが、「高齢者はあごの関節も脱臼しやすくなるといえます」と枝広さん。膝や股関節などと同様に、あごの関節は、加齢とともにだんだんすり減る。そのため、あくびなど、大きな口を開けただけで外れてしまうという。

また、繰り返しになるが、認知症の人は口の中にトラブルがあってもそれを伝えることが難しい。周囲も、「ああ、なんとなく口を開いているなあ」というくらいで、あごが外れていることに気づかないケースも少なくないのだという。

あご関節の脱臼は、起きてすぐであれば元に戻せるが、気づかず放置すると、再び戻すことができなくなるという。「昨日外れたくらいなら大丈夫ですが、3カ月も放置すればもう入らなくなります。あごが外れたままの状態だと、開閉できずしゃべれないし、飲み込みの機能も低下するので、口から食べられなくなってしまいます」と枝広さんは話す。

そうなると、もう手術するしか方法はないが、高齢者の場合、手術をするとそのまま寝たきりになってしまう可能性が高いため、家族も望まないケースが多いという。

大切なのは、高齢者の場合、あご関節の脱臼が起こりやすいということを知っておくことである。そして、どうも口を開けたまま、ぼーっとしていると思ったら、まずスムーズにあごの開閉ができるかを確認し、難しいようならすぐに口腔外科など処置ができる医師のところを受診することである。

次回は認知症の種類によって起こる食事のトラブルとその対処法について、引き続き、枝広さんの話を基に解説する。

枝広あや子さん
 東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と介護予防研究チーム研究員、歯学博士、歯科医師。2003年北海道大学歯学部卒業。東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座、あぜりあ歯科診療所(豊島区口腔保健センター)勤務などを経て2015年より現職。研究テーマは「認知症高齢者の口腔環境および食事支援」。

(ライター 伊藤左知子)

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