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ニッチでヒット量産 ドウシシャの勝手にNo.1戦略

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ドウシシャという会社をご存じだろうか? さまざまなカテゴリーで魅力的な商品を次から次へと開発し続ける知る人ぞ知る「ものづくり」カンパニーだ。最近も「泡ひげビアー」「電動ふわふわとろ雪かき氷器」といった家電、デザインボトルの「mosh!(モッシュ)」など、ヒット商品を連発。ここ数年は着実に売り上げを伸ばし、2016年3月期は純利益でも過去最高益を更新した。そんなドウシシャの商品開発の裏側に、「ドヤ家電」の命名者である小口覺氏が迫る。

初動は軽く、意思決定は早く

小口 御社にお話を伺いに来たのは、前々から不思議な会社だなと思っていたからで、一番興味を持ったのがWebサイトに掲載されている経営理念には、「つぶれないロマンのある会社」とあることです。一般的に、経営理念は意識高いフレーズじゃないですか、「○○で社会に貢献する」「○○の未来を創造する」というような。やはりただ者じゃないなと。

井下主さん(ドウシシャ 専務執行役員 第2事業本部長。以下:井下) 1974年の創業当時から「つぶれないロマンのある会社」が社訓で、「そんな社訓はない」「奇妙な社訓だ」と言われてきました。

小口 創業メンバーの会社が倒産した経験からだそうですね。大阪の会社なのでウケ狙いだと思っていましたが。

井下 ですが、ここにきて、企業寿命20年説、30年説など、存続することの難しさが理解されるようになり、「御社の社訓は面白いけど納得感あるよね」と言っていただけることも増えてきました。

小口 43年たって時代が追いついたと。さらに、ここまで業態が広い会社も珍しいです。時計やカバンなどのブランドから、お酒、食品、服飾関係、日用雑貨、家電まで。卸売業とメーカーの比率は?

井下会社の中でものづくりをやっている部門は半分。売り上げも全体の半分が自社ブランドによるものです。さらにものづくりの半分ぐらいを私どもの第2事業本部が扱っています。業態がよく分からない会社とはよく言われますね。日経産業新聞の企業番付には「貴金属」のカテゴリーで載っていました(笑)。

実はこれに秘密がありまして、部門ごとに独立採算で動いていて、商品開発や販売もそれぞれの部門が独自に運営をしているスタイルを採っています。なので、大きなトラブルがあってひとつの市場がダメになっても、会社全体が急激に悪くなることがないのです。

小口 経営のリスクヘッジ――。まさに「つぶれない会社」のためですね。第2事業本部における商品開発の特徴を教えてください。

井下 うちのもの作りの考え方は、「自由度」「ニッチ市場ナンバーワン」「オープンイノベーション」「デザインのドウシシャ」の4つです。

小口 自由度は分かる気がしますが、具体的には。

井下 まず、商品開発に関するオフィシャルの会議が少ない。開発中の商品を報告する「開発会議」と、発売前に行う「発売会議」の2つです。発売会議では、知財や品質などについて最後の確認をします。簡単に言うと、「こんなん作りますよ」という会議と「こんなん出しますよ」という会議ですね。

小口 開発にGOサインを出されるのはどなたでしょう?

井下 それは部門の中で判断します。「初動は軽く、意思決定は早く」を重視。面白いと思ったら、やってみる。ただし、やると決めたら最速で作る。そのために意思決定は早くする必要があります。社内の会議がやらないための理由探しになるケースは多いので、それは避けたい。

小口 やらないための会議になるのは、失敗の責任を回避したいという意識が働くからですよね。俺は反対しただろうという保険として。

井下 考えて考えて、結局出さないぐらいなら、出したらいいやん、という企業風土はあると思う。それに、ものづくりの失敗には基本的には寛容でないと。全部が成功するなんてあり得ないわけですし。幸い、部署として失敗する確率は高くありません。なぜかあまり大きな失敗はない。

小口 打席に多く立っているからこその安定感なのかもしれませんね。

ニッチ市場ナンバーワンを目指す

井下 有名なメーカーがひしめく大きなマーケットで戦うのは苦手で、小さな、誰も見向きもしないようなマーケットで一番を取る戦略が好きです。たとえば家庭用のかき氷器の市場は年間約85万個ですが、そのうち55万個はわれわれが売っている。

小口 ダントツじゃないですか。昔から市場規模は変わらないのですか?

井下 昔から85万個から90万個ぐらいですね。最終的には一家に1個ぐらいある計算になるのかな。

小口 たこ焼き器に近いでしょうか。みんな知っていて、実家にあったりするけど、そんなにしょっちゅうは買わない。

井下 そもそもかき氷器を市場として選ぶことが不思議だと思われるようで、後から参入してくる会社もほとんどありません。

小口 これだけドウシシャがシェアを押さえていれば当然にも思われます。昔はかき氷器というと、夏休みに子供が楽しむオモチャ的なイメージでした。

井下 実際にそういう流れがあって、1990年代はハローキティ、ドラえもん、セーラームーン、ウルトラマンなど、ありとあらゆるキャラクターをかき氷器に貼り付けてかなりの量を売りました。ニッチで一番でも、開発は常に新しいことを考えていて、5年ぐらい前から大人向けのかき氷器を企画しました。

小口 僕も3年ぐらい前に買いました。なぜ大人向けに作ろうと?

井下 かつては、かき氷は冷やし中華のような、喫茶店が季節モノで扱うイメージでした。ここ数年は、「アイスモンスター」をはじめ、海外のかき氷専門店が上陸し、1000円出しても行列を作っている。かき氷をスイーツとして大人が食べるといったニーズの変化が見られました。(大人向けかき氷器の)問題は、価格が(機能が高いので)5000~6000円と従来の倍ぐらいになること。高くて売れない懸念もありましたが、結構売れて、単価が高いぶん売り上げも上がるうれしい結果になりました。

勝手に小さなマーケットを設定して勝つ

小口 ニッチの市場といっても、そう簡単には見つけられないのでは。

井下 大きなマーケットは、小さく切り刻むことで新しく市場を設定します。たとえば、「mosh!(モッシュ)」です。

小口 牛乳瓶のような形で、InstagramをはじめSNSでバズったステンレスボトルですね。

井下 これは発売してから1年10カ月で約80万個売れました。ステンレスボトルの市場は大きく、上からサーモスさん、象印さん、タイガーさん、ピーコックさんの4社がひしめいている。この市場で、この4社に真っ向から戦うのは、われわれのニッチ戦略ではありません。そこで、「デザインボトル」というカテゴリーを勝手に設定して、そのマーケットで日本一を目指したのです。

小口 「ない市場」を作るというニッチ戦略。意識高い言い方だと、市場の創造ですね。

井下 また、かつて自宅をクリスマスイルミネーションで飾るブームがありましたが、あれも我々が仕掛けたものです。2003年から2010年にかけては、家庭の電飾の圧倒的ナンバーワンでした。

小口 テレビでも多く取り上げられましたし、うちの近所にもすごい家がありました。あれも、昔は「ない市場」でした。どのように仕掛けたんですか?

井下 最初の頃は、こう組み合わせるとキレイに見えますよというレシピを作って配布していました。さらにイルミネーションコンテストを実施して、昼間と夜の写真を撮って送ってもらい、表彰しました。かなり多くの応募がありまして、実はその写真が次の商品開発に役立ったんですよ。

小口 あっ、なるほど。それがご近所や町ぐるみでやるほどのブームへと。

井下 その当時は、クリスマスはドウシシャの見本市と言われるぐらいの時代です。今はLEDに代わりましたけど、ミニ球も自社工場で作っていました。ただ、このブームは東日本大震災をきっかけに一気に収束しました。

小口 幅広く手がけているので、ひとつのブームが終わっても屋台骨は揺るがない。かき氷器といい、クリスマス用品といい、季節ものを得意としているのですか。

井下 シーズン品は、通年で売られている商品よりもインパクトがある開発ができると思っています。というのも、年中置いている商品は市場にアイデアが枯渇しがちですが、シーズン品は担当者がそのシーズンが終わった後も考え続けるので、面白いアイデアが浮かびやすい。担当者には、年中その商品のことを考えろと言っています。画期的なアイデアは年中そのことを考えている人間からしか出てきませんから。

小口 スターアイデアマンがいるというよりも、社員が皆アイデアマン?

井下 基本的に専門家はいません。担当はちょくちょく変わりますし。かき氷の担当がビアサーバーの担当になれば、素人からのスタートです。昔のものづくりはプロフェッショナルの世界で、その道一筋の人でなければできなかった。今は新卒の営業社員でも、いいと思ったら引っ張ってくる。ただし、ものづくりは興味のない人はダメです。興味がある、好きという姿勢が大事ですね。

(ライター 小口覺)

[日経トレンディネット 2017年7月11日付の記事を再構成]

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