蚊の虫よけ剤、濃度で違う プロが教える賢い使い分け

日経Gooday

世界50カ国以上で使用実績がある「イカリジン」を含む虫よけも登場しています

ディートの使用に不安がある人には、「イカリジン」の虫よけがお勧めです。イカリジンは、日本では2015年に承認されましたが、1980年代にドイツで開発されたもので、世界50カ国以上で使用実績があります。30年以上にわたって、子どもに対する大きな健康被害の報告もないため、より安全に使用できるといえます。

イカリジンの虫よけには、濃度5%と濃度15%の2種類の製品があり、いずれも防除用医薬部外品です。ディートと同様に、濃度の高いほうが効果の持続時間が長く、濃度5%は6時間程度、濃度15%は5~8時間程度です。

虫よけは原則的には、肌に使用するものです。特にディートは、衣類の上から吹き付けると、繊維を傷めて変色変形が生じることがあるので注意が必要です。一方、イカリジンにはそのような影響はないため、生地の薄い衣類やストッキングの上から蚊が刺してくるような場合には、使用してもよいかもしれません。

天然成分=安全・安心というわけではない

市販の虫よけには「ディート無添加」「化学物質不使用」とする、天然植物由来の製品も多く出回っています。確かに、ユーカリ油(レモンユーカリ油)は、厚生労働省も虫よけ剤成分として推奨しています。ただし、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、ユーカリ油に含まれるシネオールという物質には中枢神経系や呼吸の問題を引き起こす可能性があるため、虫よけに関して、3歳未満の子どもには使用しないよう注意喚起しています。また、これらの天然植物由来の抽出物を、人の皮膚に塗って、蚊による虫刺され予防の効果効能を表すことは、医薬品医療機器等法上の違反になります。

このほか、レモングラス、ローズマリー、ローズゼラニウム(蚊連草:かれんそう)、ゼラニウム、ミントなどにも虫よけ作用があるといわれていますが、天然植物やそこから抽出したオイルなどは、いつ、どこで、どのように栽培・収穫したかなどによって、品質にバラつきが生じることがあります。

冒頭でもお話ししましたが、蚊の防除対策の一番の目的は、感染症の発生と流行を防ぐことです。その効果と製品の安定性が確かめられているのは「医薬品」「防除用医薬部外品」の承認を受けている虫よけです。天然成分の虫よけは、メーカーによってその効果をアカイエカを使って検証していますので、ある程度の満足感が得られるかもしれません。しかし、中には効果や安全性などの検証をしていないところもありますので、お勧めできません。

足立雅也
日本防疫殺虫剤協会技術委員、日本ペストロジー学会評議員、日本建築衛生管理教育センター防除作業監督者講師。2001年に害虫防除用資機材を扱う鵬図商事へ入社。全国のペストコントロール協会や自治体などに、害虫防除に関係する講義や実習を行っている。共著に『トコジラミ読本』(日本環境衛生センター)がある。

(ライター 田村知子)

[日経Gooday 2017年7月28日付記事を再構成]

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