「私とお酒どっちが大事?」 酒と答える依存症の末路アルコール依存症にならないために(1)

日経Gooday

2013年の厚生労働省研究班の調査による推計。アルコール依存症者数は「ICD-10」の診断基準によるもの。ハイリスク群の多量飲酒者は、飲酒する日には純アルコール換算で60g以上飲酒している人

「2013年の厚生労働省研究班の調査によると、アルコール依存症者は109万人いると推計されています。そして、その予備群ともいえる多量飲酒者(ハイリスク群)は980万人いると推計されています(※詳細は図1参照、[注1])」(垣渕さん)

聞いてびっくり。依存症が109万人もいるのも驚きだが、リスクの高い多量飲酒者が1000万人近くいるとは! 垣渕さんから昨今は女性のアルコール依存症も増えていると聞き、もしや筆者もその中に入るのかと、ますます不安になってくる。

「妻より酒!」恐るべき依存症の実態

109万人いるというアルコール依存症とはどういう状態なのだろうか。垣渕さんはこう説明してくれた。

「単純に飲酒量で『ここからが依存症』などと定義できるわけではありません。明確な境界があるわけではなく、その方の生活環境によっても変わります。飲酒量自体より、お酒を飲むことで、身体疾患、精神疾患、暴力、家庭不和や無断欠勤など様々な問題が起こり、医師、上司、家族など周囲から注意されているけれど、節酒も断酒もできず、問題が継続しているかどうかを慎重に判断して、アルコール依存症と診断します」(垣渕さん)

垣渕さんによると、アルコール依存症の診断基準にはWHO(世界保健機関)が作成した「ICD-10」(国際疾病分類第10版)によるアルコール依存症の診療ガイドラインがあるのだという。

具体的には、「飲酒したいという強い欲望・強迫感がある」「飲酒の開始・終了、あるいは飲酒量に関して行動を統制することが困難」「禁酒、減酒の際に離脱症状がある」「明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず飲酒をしている」といった6項目があり、過去1年間に3項目以上が同時に1カ月以上続いたか、繰り返し出現した場合に依存症と診断される(詳しくは久里浜医療センターのサイトhttp://www.kurihama-med.jp/outpatient/clinic/cl_alcohol_shindan_kijun.htmlを参照)。

実際には、本人に加えて、家族や周りの人に、どんな飲酒問題が起こっているかの話を聞きながら診断していくのだと垣渕さんは話す。中には、診断基準に照らし合わせるまでもなく、極めて重度な問題になっていて、どう考えても依存症だというケースも少なくないそうだ。

「私のところには夫婦で訪ねてくる方が多いのですが、その際、お酒がやめられない夫に対して奥様が『私とお酒とどっちが大事なの?』と聞くと、間髪入れずに『お酒』と答える方もいます。ここまで来るともう即入院レベルのアルコール依存症といっていいでしょう。ご想像できると思いますが、こうなると高い確率で離婚です。実際、アルコール依存症の方は離婚率が高いことでも知られています」(垣渕さん)

妻よりお酒を取る……、素人の私から見てもアルコール依存症だと思う。垣渕さんによると、離婚して一家離散となっても飲酒を続け、会社もクビとなり、収入がなくなって生活保護を受けるようになっても飲み続け、孤独死する人もいるとか。

こ、こわい……。こうなる前に何としてでもリスクが高い人たち(ハイリスク群)より上には行きたくない。いや、それよりももしハイリスク群であれば、ローリスク群に下がる努力をしなくては。

毎日、日本酒を3合以上飲んでいる人は要注意

次に、アルコール依存症のリスクが高い予備群(ハイリスク群)に該当するのは、どのような人たちなのだろうか。

[注1]厚生労働省研究班の調査では、純アルコール換算の1日平均飲酒量で男性40g以上、女性20g以上を「リスクの高い飲酒者」として、1039万人いるとの推計も出している。

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