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リクルートキャリアが7月中旬にまとめた調査によると、転職前後で賃金が1割以上増えた人の割合が2016年度は28.7%と4年連続で上昇した。また、「金融危機直後の09年度の18.9%と比較して大幅に改善している」という。実態はどうなのか。変化する転職市場の未来予想図はどうなるのか。事例とともに掘り下げてみた。

生涯年収に3倍の格差、増減率だけで読めない実態

リクルートキャリアが発表したデータでは、そもそも求人数自体が製造業から流通業まで幅広い業種で増えており、14カ月連続で前年同月を上回っているという状況。さらに細かく見ると、転職前後で賃金が1割以上増加した人の割合が高かった職種は、

●接客・販売・店長・コールセンター 35.6%
●営業職 30.8%
●IT(情報技術)系エンジニア 26.4%
●機械・電気・化学エンジニア 26.1%
●経理や法務などの事務系専門職 25.4%

という順番です。この数字は明らかに市場での需給を表していて、需要(求人)に対して供給(求職者)が不足している職種が顕著に浮かび上がっています。

一方で、この転職前後での年収増加率の背景には、2つの前提が隠れています。1つ目は職種ごとに異なる「転職者年齢」の差異(若い転職者が多い職種ほど前職の賃金水準が低く、前職の賃金水準が低い転職者ほど増加率が高くなりやすい)、2つ目は職種ごとに異なる「賃金水準」の差異(賃金水準が低い職種ほど転職後の賃金増加率が高くなりやすい)です。

「接客・販売・店長・コールセンター」「営業職」は相対的に転職者年齢が若く、「IT系エンジニア」「機械・電気・化学エンジニア」「経理や法務などの事務系専門職」などの専門職は年齢が高くなりやすい傾向があります。また、「接客・販売・店長・コールセンター」は全体的に相対賃金が低く、それがより賃金増加率を上げやすくなっていると思われます。

ちなみに、転職サービスDODAの「平均年収ランキング2016」によると、86職種の平均年収と生涯賃金は、

●第1位 投資銀行業務 平均年収777万円、生涯賃金3億7370万円
●第86位 美容師・エステシャン 平均年収278万円、生涯賃金1億2378万円

と、最上位と最下位で3倍もの格差が生まれています。

35歳からも成長速度を上げなければ、市場価値は低下する

5月の有効求人倍率は1.49倍と1974年以来43年ぶりの高さを記録するなど、圧倒的な人手不足を示す数値がこれだけ続いていても、あくまでそれは平均値としての全体指標でしかありません。上記の職種による差異や、地域による差異、年齢による差異など複合的な要因で、賃金の上位と下位の格差はさらに拡大し続けています。

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