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本日入荷おいしい話

夏バテにタイカレー! ジャスミンライスで食欲一段と

2017/7/28

グリーンカレーは青トウガラシの辛さとココナツミルクの甘さのバランスが重要(マンゴツリーカフェ有楽町店)

 札幌でも7月の最高気温が30度を超え、夏バテには要注意の季節だ。ほどよい刺激で暑さを乗り切れるよう、ハーブとスパイスの効いたタイカレーはいかがだろうか。スパイスをたっぷり使ったグリーンカレーやレッドカレーの奥深い味は、暑い日でも食欲を増す力がある。スープの味を引き立てるのはコメ。タイ産のジャスミンライスは世界のコメ市場でも「高級米」として名が通る。日本の粘り気のあるコメと違ってタイ米はさらっとしており、かつては「食べ方が分からない」と敬遠された時代もあった。カレーの魅力を支えるコメに注目してみた。

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 「本場の味わいを楽しめるよう、おコメにもこだわっています」。日本にタイ料理を広めた「マンゴツリー」を展開するミールワークス(東京・目黒)は、カレーをはじめ、鶏ひき肉をぴりっと辛く味付けしたガパオにもタイ産のジャスミンライスを一緒に出している。

 タイ料理人気を支えるのは20~30歳代の女性。気軽に行けるアジアの観光地としてタイは人気が高く、本場の味を経験した人も増えてきた。マンゴツリーは前身となる店が1992年に開業し、2002年には東京駅近くの丸ビルに出店した。現在は東京や大阪に17店舗あり、今後も出店計画がある。「駅ナカやフードコートへの出店要請も多い。多少コストをかけても本格的な味にこだわっている」(同社)

 マンゴツリーカフェ有楽町店(東京・千代田)はグリーンカレーが1番人気。青トウガラシやハーブをすり潰すカレーのペーストから作り、仕上げはココナツミルクに牛乳も使い、マイルドな味にしている。

 カレーはかつてのタイ宮廷にもたびたび登場した。19世紀初頭、ラーマ2世王の料理を紹介した文献にもレッドカレーやマッサマンカレーの様子が書かれている。ラーマ5世王までは各地から王妃を受け入れており、政治的なつながりと共に食文化も多様になっていったようだ。タイ各地の伝統的な味が今は日本にも進出するようになった。

 タイは年間約1000万トンのコメを輸出する、世界屈指のコメ輸出国だ。大手コメ卸の木徳神糧は日本政府が管理するタイ米輸入にも参加しており、マンゴツリーを含むエスニック系の国内料理店に卸している。同社の海外事業部で働くタイ出身のセニーウォン・ナ・アユタヤ・チョンコンニーさんは「最近は日本も現地の味に近いタイ料理店が増えてきた。ジャスミンライスとの相性の良さを実感してほしい」と話す。同社は約20年前からタイ産の最高級米を輸入し、「タイ香り米」として売っている。2016年は約2000トンを輸入した。

タイ産の最高級米は日本のエスニック料理店も利用(木徳神糧が扱う「香り米」)

 「タイ香り米」に使うジャスミンライスの高品質品「ホン・マリ」は、タイ東北部で生産される。論文「タイ産高級米ジャスミン・ライスと東北タイ」を発表している東京外国語大学の宮田敏之教授によると、タイの中でも本来は稲作には条件が厳しい土地で高級米は栽培されている。

 東北部に広がるコラート高原は、年間平均降水量は1200ミリ前後と「稲作に必要な降水量がようやく確保できる地域」。もともとはモチ米が代表的な作物だったが、1990年代に輸出も視野に入れて、ジャスミンライスを盛んに栽培するようになったとされる。

 日本の地理の授業でも習う肥沃地帯、チャオプラヤ川流域はタイ中部。十分な水と肥えた土壌がコメ作りに適しているイメージだが、中部のジャスミンライスはホン・マリよりやや低位の「パトゥン・タニ」という種類になる。泡盛のような焼酎に使う加工用米も中部が産地のケースが多い。

 「タイ香り米」は、都内スーパーに1袋(450グラム)400円(税抜き)程度で並んでいる。ホン・マリのなかでも特に高品質のものが多い。新潟産コシヒカリは450グラム換算180~260円程度で売られており、香り米は1.5~2.2倍高い計算になる。

 

タイ米やレトルトのタイカレー、家庭でも本格的な味が楽しめる商品が増えている

食品製造のヤマモリ(三重県桑名市)は、グリーンカレーやイエローカレーなど定番のタイカレーをレトルト食品としてタイの現地工場で生産している。一番人気のグリーンカレーのレトルトパックは全国8000店の小売店に卸しており、独特の辛さが消費者に浸透しつつある。同社の上野毛戸宏エグゼクティブ・プロデューサーは「日本の家庭でもタイ料理を味わってもらえるようになるとは感慨深い」と語る。電子レンジで温めれば食べられるパックご飯のジャスミンライスを扱っており、今や異国の本格的な味が自宅で手軽に再現できる。

 同社が本格的にタイ料理事業を始めたのは2000年ごろだ。1889年(明治22年)に三重県でしょうゆ醸造会社としてスタートし、昭和の終わりには「同じコメ文化のタイには共通点がある」と判断して同国に進出。しばらく日本式のしょうゆを現地で販売していたが、逆にタイの食文化を日本に持ち込むことにした。今でこそエスニック料理店が都市部を中心に人気となっているが、約20年前はまだマイナーだった頃だ。タイに日本と同じ衛生・品質管理を実現したレトルト食品工場「サイアムヤマモリ」を設立。袋を開けるだけで本場の味を楽しめるよう、日本では手に入りにくいハーブやスパイスを現地の契約農場から調達している。

 上野毛戸さんは「タイカレーは単に辛いだけでなく、味の奥深さが魅力」と語る。レトルトでもスパイスの辛さが舌を刺激して終わりではなく、ハーブの香りが漂いながら食材のコクが口に広がるようこだわった。トウガラシのとがった辛さを和らげる酸味とほのかな甘みも感じさせる。最近はビュッフェでタイカレーを並べるホテルが増え、業務用のカレーペーストの注文も多いという。

 暑い日はタイのビール「シンハー」を片手に、グリーンカレーやレッドカレーを楽しむのも良さそうだ。

(小太刀久雄)

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