ひと

「足元を見れば人間が分かる」 靴磨き世界一に日本人 靴磨き専門店「ブリフトアッシュ」代表 長谷川裕也氏

2017/9/2

「一番難しいのは、『鏡面磨き』の最後のパートです。靴の皮革は人間の肌に似ています。どこまで靴の表面を磨き上げるのがベストなのかは、指の感触が教えてくれます。これは言葉では表現しにくいです。素材の革も子牛か成牛かで必要なクリームの量や水の量が違いますが、皆同じ水準に仕上げなければなりません。アマチュアならば自分のお気に入り1足だけ注意すればいいですが」

世界大会の決勝で靴を磨く長谷川氏(右)

――カウンター式の靴磨き専門店「ブリフトアッシュ」を2008年に開いて10年目に入りました。

「カウンター越しに顧客と向かい合って靴を磨くサービスは私たちが始めたものです。約40分かけて靴の汚れを落とし、水分とクリームを含ませ、自分の顔が映るまで磨き上げます。基本コースで1足4000円と安くはありませんが、これまで順調に売り上げを伸ばせてきました。女性の靴磨き職人も1人いて、きめ細かい仕事をしてくれています」

「顧客名簿に登録しているのは約1万人。中小企業の経営者が約3割、外資系、金融、広告代理店といった業種の顧客が約4割、靴愛好家の方が約3割です。相手の足元をチェックしている方は自分の靴も大事にしています(笑)。良い靴を長く使いたいというニーズに支えられています」

――ブリフトアッシュ設立までどのような苦労がありましたか。

「高校卒業後は最初に製鉄会社、次に英語教材のセールスをやりました。成績は優秀でしたが(笑)、働き過ぎて体を壊してしまいました。まだ20歳の頃でした。元手ゼロでできる商売として、路上靴磨きをJR東京駅前で始めました」

「最初はテクニックなんて全然ありません(笑)。客になりすましてベテランの技術を盗んだり、東京都の皮革技術センターの研修を受けたりして自分のレベルを上げていきました。中古の靴を使っていろいろな実験もしてみました」

「だんだんと会社経営者などの出張靴磨きなども手掛けるようになりました。そうした常連客と話しているうちにカウンター式の専門店を思いつき、手元資金100万円に公的資金の支援も受けてスタートさせました。顧客は自分でも靴を磨く人が圧倒的に多いです。自宅での参考用に写真などを撮る人もいます」

Latest