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「運用益が非課税」の良さを捨ててしまう元本確保型 iDeCoで投資デビュー(4) オフィス・リベルタス 大江加代

2017/7/26

各社の商品ラインアップには必ず元本確保型が用意されているが……

 前回の「iDeCoでなぜ税金が減る? 『所得控除』を今こそ理解」では、iDeCo最大のメリットである「掛け金を積み立てると所得税や住民税が減る」ことの仕組みを説明しました。そしてiDeCoの税制メリットの2つ目にあげられるのが「運用期間中の運用益も非課税であること」です。

 皆さんが毎月の掛け金を預け入れる金融商品は、金融機関ごとにあらかじめ用意されている中から自分で選ぶことになります(これもiDeCoの大きな特徴です)。一つだけを選び、自分の掛け金の100%をその商品に預け入れてもいいですし、複数の商品(場合によっては用意されている商品全部でも可)に自分の掛け金を、パーセンテージで指定して振り分けることもできます。例えば2つの商品に30%と70%、といった形ですね。

■リスク商品か元本確保型か

 さてこのとき、金融機関がiDeCo用に用意している商品には大きく分けて2つのタイプがあります。投資信託のように価格が変動し、元本が保証されていないリスク商品と、定期預金のような元本確保型の2種類です。iDeCoではどちらを選ぶべきなのでしょうか? もちろん何を選ぶかは加入者自身が考えることですが、「運用益が非課税」という観点から合理的な選択肢を考えてみましょう。

 iDeCoから少し離れた一般的な運用の話になりますが、いま仮に、あなたの手元に200万円あったとします。投信は期待通りの収益が得られない可能性(リスク)があるし、投資では「分散」が大事なので、100万円ずつ定期預金と投信の2つに分けて運用することにしましょう。このとき預金を運用益非課税にするか、投信を運用益非課税にするかで、同じリスクにもかかわらず手にする収益金額は大きく変わってきます。例えば、預金の金利が0.01%、投資信託の期待リターンが3%だったとすると、その収益に約6000円も開きが出てくるのです。

 具体的に計算してみましょう(上の表)。定期預金の利息はわずか100円です。その運用益に対する税率は20%(復興特別所得税は省略)ですから、非課税のメリットは20円だけです。一方、投信の収益は3万円ですから、20%の税金分は6000円ですが、それが全部非課税になれば、預金を非課税にした場合に比べてそのメリットはかなり大きいといえます。

 つまり運用益非課税のメリットを生かすには、なるべく期待リターンの高い商品を利用した方が有利だ、ということなのです。大型家電量販店で「全商品2割引」というときに、乾電池1個ではなく、前々から買おうと思っていたエアコンや冷蔵庫などの「値が張る」家電製品を買う方が、同じ「2割」でも金額的にはお得だと考えれば分かりやすいのではないでしょうか。iDeCoについていえば、元本確保型ではなく投信を中心に運用していった方が合理的、となります。

■iDeCoの投信は良品セレクト済み

 私がiDeCoでは投信を使って「投資デビュー」することをお勧めする理由は他にもあります。いま、iDeCo用として各金融機関が提示している投信は、長期の資産運用に役立つ商品として金融機関がセレクトした良品であることが多いからです。日本で購入できる投資信託は全部で6000本以上ありますが、中には仕組みが複雑なうえに運用管理費用がとても高いものや、純資産残高が小さく、商品としての寿命が心配なものも多数あります。

 ところが、確定拠出年金(DC)はiDeCoが話題になる以前から企業型を中心として拡大してきました。このため、特に大企業が金融商品を採用するにあたっては、低い手数料水準が要求されました。結果としてDCでは金融機関の窓口で販売されている投信よりも、手数料がかなり安いものがほとんどです。そしてそういった低コストで良質な投信の多くがそのままiDeCoのラインアップにも採用されています。

 さらに、今年1月のiDeCo加入対象者拡大を前に金融機関同士の競争が激しく繰り広げられ、インデックス型(パッシブ型)投信、アクティブ型投信ともに運用管理費用が一段と低くなりました。品ぞろえも利用者にとって魅力的なものに刷新されました(詳しくは『iDeCo始めるなら今でしょ! 金融機関の競争は収束』もお読みください)。中には、従来のラインアップに何本か追加しただけの残念な金融機関もありますが、多くは加入者が選びやすいよう15本程度までに厳選しているのです。

 このように、初めて投信を買ってみようという方にとって、iDeCoは利用しやすい条件がかなり整っているといえます。iDeCoの非課税メリットを最大限生かすためにも、運用商品は預金ではなく、投信の活用を考えていくのが良いのではないでしょうか。

大江加代
 大手証券会社で22年間勤務し、一貫して勤労者の資産形成に携わる。確定拠出年金については法の成立前から10年以上企業型の現場で関わり、のべ25万人に対する投資教育の企画・運営にも携わった。現在はオフィス・リベルタス取締役で、NPO確定拠出年金教育協会理事として情報サイト「iDeCoナビ」も創設。http://www.dcnenkin.jp/

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