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ムール貝に120種もの味付け 欧州で開眼、専門店に

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NIKKEI STYLE

7月23日、約3週間にわたり全長三千数百キロのコースを走る自転車の鉄人レース、ツール・ド・フランスが最終日を迎えた。日本からは新城幸也選手が出場した同レース。選手たちが凱旋するパリにはプレスセンターが設けられ、取材陣が最後の仕事を仕上げに向かった。

実は、長い取材の旅を終えた日本の取材陣には「お楽しみ」の場所がある。ムール貝専門店「レオン・ド・ ブリュッセル」(以下「レオン」)で毎年打ち上げがあるのだ。

肩肘張らずワイルドに フランスの人気チェーン

宴会の幹事はツール・ド・フランス取材歴28年のスポーツジャーナリストの山口和幸さん。10年ほど前よりこの店で打ち上げを行なっているという。

毎年コースが変わる同大会。ムール貝の主要産地である北海沿岸がコースに加わる際は、取材陣もおいしいムール貝を食べたいと楽しみにしているらしいのだが、宿泊先などの関係でありつけないこともある。その「残念!」という気持ちを晴らしてくれるのが、「レオン」での打ち上げらしい。ちなみに、2015年にコースにオランダが組み込まれた際は、地元オランダの人がムール貝をふるまってくれたとか。

「席を予約した時もあるんですが、仕事がなかなか終わらないという人が多く、時間通りに集まらなかったらキャンセルされてしまって。以来、空いた席にまず、最初に集まった数人が座り、人が集まる度にどんどん隣りの席へと陣地を広げて最後は閉店まで楽しんでいます」と山口さんは、大いに盛り上がるうたげの様子を教えてくれた。

「レオン」は1893年創業のベルギーの首都ブリュッセルの老舗ムール貝専門店「シェ・レオン」がフランスで展開するチェーン店。1989年にパリに1号店を開店して以来大人気となり、フランス各地に80近い店がある。

看板メニューは、バケツのような深鍋いっぱいに蒸し上げられたムール貝とフライドポテト。若いころ、パリの店に入ったことがあるが、すべてのテーブルにムール貝の深鍋とフライドポテトが並ぶという圧巻の風景だった。

「外食にしては値段もリーズナブルで気軽に行きやすいのが魅力。『レオン』のようなチェーン店以外にも専門店がありますが、どの店でもみなムール貝とフライドポテトを必ずセットで食べます。肩肘張らない店なので、家族や友達同士で行くようですね」とはフランス観光開発機構の増田真由美さん。

フランス料理というと、高級店でもビストロでもフォークとナイフをお行儀よく使って食べる料理というイメージがあるが、ムール貝を食べる作法は少々ワイルド。「最初の一つはフォークで食べて、後はその貝殻で身を挟んで食べるんですよ」(増田さん)。

少し前まで日本でムール貝と言えば、スペイン料理のパエリアや南仏料理のブイヤベースに申し訳程度に入っているのを見るぐらいだったが、最近「レオン」のようなムール貝専門店を都内でも見かけるようになった。訪れたのは「ピンゼ ロカ 神楽坂店」。経営するプリサ社長の森田淳史さんは、2015年に初めてのムール貝専門店を東京・三軒茶屋に出した。今年4月にオープンした神楽坂店は2店舗目になる。

ワインだけじゃなくビールも 東京にも専門店

サッカーが好きで、トップリーグの試合を観に度々ヨーロッパを訪れていた森田さん。最初にパリのムール貝専門店で白ワイン蒸しを食べた時は、「こんな感じか」というぐらいであまり印象には残らなかったらしい。

ところが、スペインのバルセロナに滞在した時のこと。ハリケーンが街を直撃した晩に夕食はどうしたものかと思いながら宿泊先の窓から外を見ると、雨風が吹き荒れる中、客でいっぱいの店が目に入った。「あの店はなんなんだろう?」。思わず足を運んでみると、それがムール貝専門店だった。悪天候をものとせず店内は大賑わい。

メニューを見ると、以前入ったフランスの店の文字のみのメニューには数種類しかなかったムール貝の蒸し料理が、写真入りで20数種類もあって目移りするほどだった。トマトやニンニクを使ったものを頼んだところ、これが想像以上のおいしさ。思わずもう1品、カレー味を追加オーダーしたところ、これまたすこぶるおいしくとても新鮮に感じた。この出合いがきっかけとなり、自分の店を開くまでになったのだ。

スペインでも、それほどムール貝専門店が人気ということに驚いたが、「最近はニューヨークなどでも人気なんです。店を開こうという時に調べたら、ムール貝の身は200グラム食べてもたった200キロカロリーぐらいなんですよね。すごくヘルシーなのにお腹いっぱいになる」と森田さん。健康志向のニューヨーカーが見逃すはずはないというわけだ。

「ピンゼ ロカ」で、森田さんが店を開くきっかけとなった味付けの料理を頼んでみた。深鍋いっぱいのムール貝が運ばれてくると、少し離れたところからでもトマトやニンニクの香りが濃厚に漂ってきた。食欲がぐんとそそられる。国内3カ所の生産者と手を組み自社養殖をしているムール貝は、季節によって大きさが異なるようだが、訪れた時のムール貝は大きく、見るからに食べごたえがありそう。

もうもうと上がる湯気を押し分けかぶりつくと、ふっくらとクリーミーな味わい。トマトの酸味やごろごろ入ったフレッシュ感のある緑色のオリーブともよく合う。「女性のお客様が多いんですが、店によっては地元のおじいちゃんも来てくれるんですよ」と森田さん。残った煮汁はリゾットやパスタなどにもしてくれる。現在、2店舗で1カ月に1.3~1.5トンものムール貝を消費するそうだ。

森田さんがフランスの「レオン」で見たというムール貝のグラタンもあった。「ブルゴーニュ」という味付けを頼んだところ、パセリのみじん切りやニンニク、クルミを使ったエスカルゴバターがたっぷりのり、熱々で運ばれてきた。ムール貝を味わうだけでなく、バゲットでグラタンのクリームまですくって食べたいような料理だ。

蒸し料理もグラタンもムール貝専門店の料理は、白ワインよりビールと一緒に楽しみたい味だと思ったら、フランスでもムール貝専門店ではビールを飲む人が目立つらしい。

「元々、フランスでは結構ビールも人気があってカフェなどでよく飲むんです。それに、この数年、世界的な流行を受けフランスでもクラフトビールが人気で専門店もあるんですよ」と増田さんが話していた。

子どもはタダ 本場ベルギーの店舗

ここまでフランスに「ムール貝文化」を根付かせた、元祖ベルギーのムール貝事情はいかにと思っていたところ、偶然、日本に一時帰国したベルギー在住の友人に会った。かの国での人気のほどを聞いてみると、「みんなすごく好きよ。スーパーには大きな袋にパック詰めされたムール貝が1キロ、2キロの単位で売っているの。売り場には必ず、タマネギなどこの料理を作るのに必要な野菜のパックも置かれていて、両方買って家に帰ればすぐおいしいムール貝料理ができちゃう。うちでもよく作るわよ」。

仕事が忙しい彼女、「子どもが小さいころ、晩ごはんを作るのが大変だと思う時は、よし、今日は『シェ・レオン』に行こうって言ったものよ。だって、子どもはタダなんですもの」と驚きの情報を教えてくれた。「シェ・レオン」のホームページで確かめてみると、親族と一緒に来店した際は、12歳までタダと紹介されていた。なんとうらやましい。「色々な味付けがあるけど、好きなのはブルーチーズ味かな。本当においしいの」。

「ピンゼ ロカ」では、ムール貝を使った蒸し料理を常時50種の味付けで提供している。季節限定のものなどを含めると120以上のレシピがあるらしい。「実は当初、ムール貝専門店として独特の深鍋を使ったムール貝料理の種類の多さでギネスを狙っていたんです」と森田さん。残念ながらベルギーにもっと多くの種類を出す店があったため野望達成ならず、「いつかもう一度挑戦したい」とひそかにリベンジを狙う。

味付けに種類があれば、日本人ならまず色々な味をシェアして食べるが、ベルギーやフランスでは一人ひとりが各自の料理をオーダー、シェアはしない。日本人から見ると、このあたりはナイフとフォークで行儀よく食べる文化の延長のように感じてしまう。ヨーロッパでも和食が大ブームの中、楽しくワイワイと食べるムール貝、そのうち日本人風の食べ方がポピュラーになるかも?

(フリーライター メレンダ千春)

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