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スプリングバレーブルワリーのマーケティングマネージャー、吉野桜子さん

スプリングバレーブルワリーのマーケティングマネージャー、吉野桜子さん

京都半分、東京半分――。2017年の夏、スプリングバレーブルワリーのマーケティングマネージャー、吉野桜子は忙しい。東京・代官山、横浜で成功を収めたクラフトビール店の第3弾をこの秋、京都でも立ち上げるからだ。今、その準備作業の真っ最中。代官山とは違った京都らしいクリエーティブな店を地元、京都の人たちを巻き込みながら立ち上げる戦略だ。「伝統」という土台の上にどんな「今」を乗っけられるか。桜子のアツイ夏が始まった。

このスプリングバレーブルワリーというのは、キリンビールのクラフトビール子会社で専門店を手掛けている。未来のビールを探る壮大なる実験場のような存在だ。

ホップは京都で調達

「脱自前主義」。京都店の立ち上げが決まった時、桜子が立てた誓いだ。相手は1000年の都、京都。いくら桜子が肩肘張ってもかないっこない。正々堂々、力を貸してもらうつもりだ。

漬物、湯葉、豆腐、お麩……。どれをとっても超一流の食材ばかり。そのオールスターの食材たちにクラフトビールの力を引き出してもらう。「意外なマッチングの妙がお客さんを驚かせ、感動させてくれるはず」。

クラフトビールの原料にもこだわる。その1つがホップだ。ホップはアサ科の蔓(ツル)性の植物で、ビールの泡立ち泡持ちを良くするためになくてはならない存在。受粉する前の毬花(きゅうか)の中の「ルプリン」に含まれる独特の香りと苦味がビールの味の決め手となるが、桜子はこのホップを京都で調達しようと考えている。

ちょうど2015年、タイミングよく京都府北西部の与謝野町で京都与謝野ホップ生産者組合が栽培を始めた。ホップは北海道や東北以外での栽培は難しいと言われたが、たまたま日本海側の与謝野町の気候はホップにあっていた。少しずつ収穫量を増やし、周辺の醸造所に出荷しているという。この京都店ではこのホップを試す予定だ。

1年で一番幸せな瞬間

「きっとうまくいく」。桜子には確信がある。それは香りで分かる。夏、桜子はホップ畑でその独特の香りを楽しみながらビールを飲む趣味がある。だいたいいつも岩手県遠野市にまで出かけていき、知り合いのホップ畑でホップに囲まれながらビールを飲む。

桜子にとっては1年のなかで最も幸せな瞬間なのだが、与謝野町のホップ畑で嗅いだ香りはこの時、嗅いだ香りとは少し違った。岩手の野性味豊かなホップの香りとはまた別の気品があった。「このホップなら面白いクラフトビールができる」。

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